日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

東京都政の問題点を考える

2016年07月06日 09時53分13秒 | 日々雑感
 東京都は地理的、経済的にも日本の中心であり、アルゼンチンやスエーデンと国家予算はほぼ同額にあたるとのことで、その長である都知事の影響力は極めて大きい。東京は諸収入も多く、国からの交付金はゼロであり、47都道府県の中で唯一受けとっていない自治体でもある。この意味でも、国に対して遠慮なく、何でも物申すことは可能であろう。

 舛添要一氏は、2014年2月東京都知事に当選した。これは、それまでの猪瀬氏が金銭問題で知事辞任に追い込まれた結果の都知事選での当選である。舛添氏は新国立競技場の建設資金を巡り、国とやり合い行政手腕を発揮し、その後の活躍が期待された。

 一方では、公用車の私的利用、海外出張費の高さ、等を指摘されたが、それまでのルールに従ってやっていただけで違法性は無いと、詫びれた態度を示さなかった。流石、東京都の知事はそれくらいの権限があるのかと感心していたが、いつの間にか風向きが変わった。

 国会議員時代の2013と14年の正月に千葉県内の「龍宮城ホテル三日月」に家族と共に宿泊した際、某氏を部屋に招き政治的な会議をしたのを政治資金で賄ったという。それは、都知事に就任する前の件であるが、マスコミから激しく追及された。そこで、第3者による厳格な調査を行うと言いながらいい加減な調査で済ましたり、会議をした人物は某出版社の社長と言いながらその存在が疑問視されたりして、自ら墓穴を掘り、辞任に追い込まれてしまった。他人を責めるのは得意であるが、責められるのは慣れていなかったのであろう。冷静に考えれば、いくらでも逃げる手はあっただろうに。

 政治資金の流用で、この程度の話であればどの国会議員でもやっていることであろう。国の大臣就任に際しては身体検査が話題になるほどであるから。兎も角、参院選の直前であったことが、舛添氏には不運であった。参院選への悪影響を考えて、それまで支援してもらった自民党から梯子を外され、悔し涙を流したとのことである。
 
 国会議員時代の政治資金流用以外は、都のルールに従ってやっていただけで違法性は無いとのことであるが、海外出張費の法外な高さといい、都議会はこれまで何をやっていたのか。議員も、都の幹部も同じ穴のむじなで、自らも甘い汁に慣れきてしまっていたのではないだろうか。東京都は財政が豊かなため、身を切る改革など別世界の話なのであろう。

 さて、東京都議会がリオデジャネイロ五輪・パラリンピックに27人の視察団を派遣する計画に批判が集まっている問題で、都議会の議会運営委員会は6月24日午後、持ち回りの理事会で視察の中止を決めた。この計画中止も参院選への悪評を避けるため、自民党上部からの指導が入ったのであろう。あれほど、視察の重要性を強調していたのに、あっさりと中止してしまった。やはり、物見遊山とのうわさを裏打ちしてしまった。やはり、都議もぬるま湯にどっぷり浸かっているのだ。情けない。

 次の東京都知事は誰になるのか分からないが、オリンピック・パラリンピック開催には問題が山積みである。猪瀬直樹前知事の時代に作成された「立候補ファイル」には、大会運営費が3000億円とあるとしたが、昨年暮れには東京五輪費用は、1.8兆円必要と組織委員会試算が出て、当初の6倍ともなり、公的資金投入は必至の事態となった。公共事業費は、計画時の予算は実行時には何倍にも膨らむのは常識であるが、この1.8兆円はまだ予算段階の話である。実行時には更に膨らむ懸念がある。

 アベノミクスに暗雲が立ちこめ、消費増税が見送られる日本経済の下で、オリンピック等開催の為のこの金は大きい。新都知事は費用膨張をどこまで抑えられるであろうか。増田寛也氏が有力視されているが、増田氏は岩手県知事を務め、地方に重点を置く政策で有名であり、もし都知事になればこれだけの金を地方の為に使ってくれるかも知れない。

 しかし、政治家は嘘を平気でつく。舛添氏が典型であるが、著書や選挙演説ではそれが分からないのが困る。日本がお手本とする民主主義の英国において、今回のEU離脱をめぐる国民投票でも同様な裏切り行為が目に付いた。民主主義の良いところは、口先の嘘はいつかは、公に曝されることであろう。それまでの無駄は民主主義の対価として我慢しなくてはならない。
2016.07.06(犬賀 大好-248)

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