日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

たばこ増税より禁止にすれば!

2016年11月10日 09時11分20秒 | 日々雑感
 10月末、山東昭子参院議員は、4年後の東京五輪の際の受動喫煙防止対策として、たばこ1箱を1000円に引き上げるよう菅義偉官房長官に申し入れたようだ。価格を上げることにより、喫煙者を減らそうとの試みである。これは、東京五輪の目玉 ”おもてなし” にも通ずるとも考えられる。

 山東氏は、受動喫煙防止議員連盟会長として、2015年9月にはタバコ税引き上げを求める要望書取りまとめるなど、予てより積極的にタバコ税の増税を推進してきた。たばこ税は、2017年の4月から消費増税10%化と共に、増税する予定であったが、安倍首相の意向により2019年10月に見送りとなっていたが、この官房長官への申し入れにより、たばこ増税の是非の議論が再熱すると思われる。

 増税の是非に関しては、健康上の問題と税の観点からの議論がある。たばこの煙には、400以上の化学物質が含まれ、そのうちニコチン・タール・一酸化炭素がたばこの3大有害物と呼ばれている。ニコチンは殺虫剤と同様な高い毒性を持つと同時に、肺から血液の中に入ると、脳のニコチン受容体を刺激し、快感を生み、これが、依存症の原因となる。タールには発がん物質や発がん促進物質が含まれ、また一酸化炭素は動脈硬化を促進させる作用があるといわれ、呼吸器系や循環器系に様々な害を及ぼす。呼吸器系では、慢性気管支炎・肺気腫などを引き起こす。循環器系の疾患としては、心筋梗塞、狭心症など、がある。これだけの恐ろしい疾患の原因となるのに、たばこを止められないのは、ニコチンによる中毒症である。

 増税により喫煙者が減ると、これらの疾患が減少し医療費の増大を抑えるとの効果が期待される。平成25年度の日本国の歳出総額97兆円であり、このうち医療費の公的負担総額は15.5兆円と約16%を占める。煙草による社会的損失は、煙草が原因の医療費・早死による国民所得損失など5兆6000億円との試算もある。日本の財政面から見ても医療費の削減は国家の喫緊の課題でもある。

 また、平成25年度、国家予算の歳入において、たばこ税は約1兆円であったので、この税収がゼロになっても、差し引きプラスである。たばこは、”百害あって一利無し”と言われる程であるから、思い切って禁止とすればよいのではないか。
しかし、不健康で寿命が短く、一発の病気で死んでくれれば、医療費はそれだけ安く済む。医療費だけでなく、年金も、介護も、社会福祉費用をトータルで考えれば、健康な長寿より、不健康な短命のほうが、確実にコストが安いはずとの乱暴な主張もあるが、それも一理ある。
 
 この議論の是非は、専門家に任せることにして、禁煙により健康体になれば、社会の活性化に繋がることは間違いない。健康な老人は、仕事やボランティア活動を介して、社会貢献可能となる。社会の活性化が経済の活性化となれば、社会保障費の増大があったとしても許されるであろう。

 たばこを禁止にした場合、たばこの生産者、加工企業、販売店等の失業になるので、これだけの議論だけでは結論を出せない。米国大統領選挙で有名になったエスタブリシュメント(Establishment)とは、このような場合、たばこが支えるエスタブリシュメントと表現するのであろう。

 女優、高樹沙耶氏が大麻の所持で逮捕されたが、大麻とたばこでは一体何が違うのか。現法では非合法か合法かの点で決定的な違いはあるが、その科学的な根拠ははっきりしない。大麻は、薬用大麻という言葉があるように、てんかん、気管支喘息、帯状疱疹、多発性硬化症、不眠症、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、パーキンソン病など、の疾患に効果があるとの報告もあるが、その根拠無しとの報告もある。

 世界保健機構(WHO)は、人間の健康影響に関する臨床的、疫学的な研究、化学と薬理学、そして、主要な成分であるカンナビノイドの治療的な使用の研究を含むいくつかの重要な領域には、まだ一層研究する必要がある、と結論付けている。しかし、長年の研究もあるたばこは”百害あって一利無し”だ。

 歴史的な背景から、たばこは許可されエスタブリシュメントが確立された。このエスタブリシュメントを考えなければ、大麻を一部解禁し、たばこを禁止した方が合理的と思えるが。2016.11.10(犬賀 大好-284)

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