日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安倍政権の負の遺産の責任は誰にあるか

2022年05月14日 10時11分16秒 | 日々雑感
 2020年9月16日、安倍内閣は総辞職した。それよりちょっと前の9月3日の朝日新聞社の世論調査では、安倍政権の実績評価を聞くと、71%が「評価する」、28%が「評価しない」だった。反自民党的色彩の濃い朝日新聞の調査ですら評価が高く意外な感であったが、現在再調査すれば同様に高くは無いだろう。

 安倍元首相と言えば黒田日銀総裁と進めた異次元金融緩和である。デフレ脱却を目的に市中の国債を買い上げて資金を市中にばらまき投資を促し景気を回復し、デフレ脱却を目的とするものであった。2022年春、ロシアのウクライナ侵攻等の影響があり、諸物価が値上がりし消費者物価指数が目標の2%を越す勢いである。世界の経済は米国を始めとしてインフレを抑えるために利上げの方向に動き出しているが、黒田総裁はゼロ金利政策を変えようとしない。
  
 財務省はつい先日5月10日、国債などの残高を合計した「国の借金」が2021年度末で1241兆3074億円と、過去最大を更新したと発表した。国の借金はいづれ返さなくてはならないお金だ。国民1人当たりの借金は1000万円以上になるとのことだが、新型コロナウイルス対策で巨額の財政出動を行ったことが影響し、国民1人当たりに換算した借金は約1011万円に上るそうだ。これだけの借金を抱えながら国民が大騒ぎしないのが不思議だ。

 安倍政権発足時時から財政健全化の話はたびたび持ち上がったが、首相は何度も延期した。安倍元首相が今年5月9日、大分市内の会合で”日本銀行は国の子会社”だと発言し、返済の満期が来たら、返さないで借り換えて構わない、と語ったそうだ。

 日本銀行における国債の引受けすなわち買取は、財政法第5条により、原則として禁止されている。異次元金融緩和はこれに違反しているのだが、国会の承認があれば許されるとして、長年続いているのだ。

 戦後のハイパーインフレは日銀の引き受けによる貨幣の膨張が原因であり、これを反省して財政法第5条が成立しているが、その反省はすっかり忘れ去られている。日銀は国の財政の安定を図ることを目的に政府とは独立した機関である筈だが、黒田総裁は安倍元首相と一緒になり、安定より景気回復を優先させた。

 膨大な「負の遺産」は将来世代に重い負担としてのしかかる。世界の経済は利上げの方向に動いているが、日本はゼロ金利政策を止めることが出来ない。もし利上げに踏み切れば膨大な借金の利子が膨らむ。

 安倍元首相はお金は印刷すればいくらでも生まれると語ってきたが、紙で作られたお金は国民の信用があって初めて価値がある。利上げ出来ない日本は円安がどんどん進に、貨幣価値がどんどん下がる。

 日銀の黒田総裁は安倍元首相と一緒になり異次元金融緩和を推し進めて来た。日銀を子会社と考える安倍首相に主導権があったのであろうが、独裁を暴走させるのは取り巻きのご機嫌取りだ。この意味で黒田総裁の責任は重い。2022.05.14(犬賀 大好ー213)


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