日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自業自得の地球温暖化

2016年09月10日 09時13分56秒 | 日々雑感
 今月3日、米中両政府は、2020年以降の地球温暖化対策の国際ルール”パリ協定”について、両国が必要な手続きを終えたと発表した。メディアもこれまで消極的だった米中両国が協調して国際社会を引っ張る構図が鮮明になったと楽観的に報道している。しかし、この協定には罰則規定は無い。努力したけれど駄目だったとの言い訳が今から聞こえてくる。今回の両国の合意も、自分達が世界を引っ張るとの、単なる見せかけの気がする。

 さて、9月に入ったのに連日30度を超える日が続き、冷房装置の無いところでの生活は考えられない。都市では冷房の熱などでヒートアイランド化し、自分で自分の首を占めている皮肉な現象が起きている。人間は、涼しくするための工夫を文明の力でなしてきたが、人間の活動はすべてが地球の温度を上げる方向に向かっているので、自分の首を絞めているのはヒートアイランド現象だけでは無い。

 現在の地球温暖化は地球を取り巻く温室効果ガスの影響とされる。温室効果ガスとは、地表から放射された熱の一部を吸収することにより、ビニールハウスのビニールの如く温室効果をもたらす気体の総称である。二酸化炭素、オゾン、メタンなど、多数の気体が存在するが、二酸化炭素の影響が一番大きいと言われている。二酸化炭素は山火事によっても生ずるが、人間の生産活動の結果が一番大きい。

 地球が誕生し、火山活動が活発な頃、この噴火にともなって、二酸化炭素とアンモニアが大量に大気中に放出されたそうだ。その後、海の形成と共に、海水が大量の二酸化炭素を吸収し、現在のような成分構成になったと考えられているが、その推移は何億年単位の話である。現在のような人間の生産活動の活発化は産業革命からであり、二酸化炭素の増加もそのころからであろうので、ここ200年位の話である。

 しかし、温室効果ガスが無ければ、地球の表面の温度は氷点下19℃と見積もられているそうだが、温室効果ガスのお陰で現在の世界の平均気温はおよそ14℃となっているとのことだ。 ”過ぎたるは及ばざるがごとし”とは、よく言ったものだ。

 地球の46億年の歴史が作り出したこの素晴らしい環境を、更に快適にしようと文明と称する道具により様々に改良を加えた。その結果、地球温暖化と称する人為的現象を招いてしまった。温暖化がもたらす様々な問題が次第に明らかになり、対策が全世界的に議論され始めたが、経済が優先され、思うようには進んでいない。将来の心配より今の生活を重要とするのは、人間集団の本質かも知れない。

 人間個人としては、”若い時の苦労は買ってでもしろ” と、将来に備えた現在の苦労を奨励するが、国の借金が1千兆円を超えても相変わらず借金を増やし続ける厚顔さは、”赤信号みんなで渡れば怖くない” の集団心理ではないだろうか。

 現在の地球温暖化はほぼ人間が招いた結果であることは間違いないが、地球上にはまだ解明されない現象があり、それに期待がかかる。そのひとつがこれまでに何回か繰り返し地球上に生じた「氷河期」の現象である。この原因は一般的には、①大気組成(特に二酸化炭素とメタン)の変化と、②地球の動く軌道上の問題から生ずる日射量の変化、および、③大陸の配置の組み合わせ、の3つの要素がその原因とされている。

 過去地球上では、少なくとも4回の大きな氷河期があったらしい。その他、小規模な寒冷期も含めると、過去数百万年は、4万年から10万年の周期で多くの氷期が起こったそうだ。最近の氷期が終わったのは、1万年ほど前であるそうだ。現在は典型的な間氷期が1万2000年ほど続いていると考えられているが、正確な時期の断定は難しく、世界的な寒冷化をもたらす新しい氷期が間もなく始まると主張する学者もいるそうだ。間もなく始まるからと言っても、数年後のことではないだろうし、しかも人為的な「温室効果ガス」の影響を上回るかも分からない。かくして我々が生きている間は、毎年この灼熱地獄を味わねばならないとは、身から出た錆とは言え、情けない。2016.09.10(犬賀 大好-267)

自衛隊の文民統制を稲田氏は行えるのか

2016年09月07日 09時44分48秒 | 日々雑感
 防衛省は、昨年10月、改正防衛省設置法に基づいて背広組(内局、キャリア官僚)が担う運用企画局を廃止し、制服組(幹部自衛官)中心の統合幕僚監部に権限を大幅に移す組織改編をした。すなわち、部隊運用に関わる計画の策定には、制服組の権限が格段に大きくなったとのことである。元防衛事務次官(背広組トップ)の守屋武昌氏は、これにより文民統制の仕組みが取り払われてしまったことを懸念すると表明した(9月1日、朝日新聞、オピニオン)。

 防衛省によれば、今回の改正の目的は、「政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐の調整・吻合」にあり、これにより”防衛大臣によるシビリアンコントロールを確固たるものとする”ことができるようになった、とされている。つまり、これまで高い軍事専門的見地を持つ制服組による大臣補佐業務が、背広組によって阻害されており、結果として防衛大臣によるシビリアンコントロールが機能しにくくなっているとの理屈付けであり、守屋氏の意見とは真反対である。

 民主的な選挙によって選ばれた文民である総理大臣が、実質軍隊の自衛隊を指揮することによって実現されるシビリアンコントロール(文民統制)とは別に、防衛省内部に文官統制の制度があったが、それを象徴するのが「防衛参事官制度」だ。1954年の自衛隊創設とともにできた防衛庁設置法で規定され、重大事項は防衛参事官(そのトップが防衛事務次官)という局長級以上の官僚だけで構成する会議で最終的に決め、防衛大臣を助言・補佐する仕組みだ。実力部隊である自衛隊が政治に関与しないよう防衛官僚がその間に入り「安全弁」の役割を担ってきたと言う訳だ。守屋氏の指摘はこの安全弁が取り払われたとの主張であろう。

 最近、尖閣諸島を巡り、中国とのつばぜり合いが頻繁である。まさかに備え自衛隊がどう行動すべきか、内部で活発な議論が行われているに違いない。当然背広組と制服組との間では、見解の違いがあるはずだ。この件に限らないが、日頃制服組の意見が国に届かないとの反発が背景にあったのであろう。

 防衛庁・自衛隊発足の当時の内局は戦争を経験して軍事的な知見がある文官で構成されていたから、自衛官にも説得力をもって対応できた。しかし、時代が進むと、戦争の悲惨さ、軍隊の実態を知らないのに、先輩たちを形だけ真似て威張る文官も現れてきた。自衛隊の現場を知ることが文民統制の大前提であるが、文官がその努力を怠ってしまい、国会議員を含む文民が自衛官の任務遂行のために働こうとしなかったとの、守屋氏の指摘だ。

 このような「文官統制」のあり方に異議を唱えたのは制服組だった。背広組に対する不信感である。

 さて、今回稲田朋美新防衛相が誕生した。稲田氏は政治家にしてはおしゃれな美人と有名であるが、防衛相としてどれくらいの認識があるのであろうか。

 稲田氏は、8月23日、神奈川県横須賀市の海上自衛隊の基地を視察した。昨年就役した海自最大の護衛艦「いずも」や潜水艦「こくりゅう」で隊員らに訓示したのだが、艦内をマリンルック風のスーツにヒールのある靴で歩き回ったとのことで、自衛官らは眉をひそめたことであろう。自衛官は常に緊張感の中にいる筈だが、このような雰囲気の中、リゾートファッションで視察するとは、制服組の不信感を増長するだけである。

 稲田氏は右翼的な言動で有名であるが、その言動も単なる人気取りと思われても仕方ない。自衛隊のトップがこんな有様では、部下である自衛官は率直に言うことを聞くはずがない。

 中谷元前防衛省は制服組の権限拡大について、”文民たる自分が防衛相を務めることで文民統制は保たれる”と記者団の質問に答えているが、稲田氏にこの資格はあるのであろうか。2016.09.07(犬賀 大好-266)

年金運用問題から成長戦略を考える

2016年09月03日 08時52分17秒 | 日々雑感
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、7月29日、昨年度の公的年金積立金の運用損が5.3兆円だったと発表した。しかし、安倍政権下では累積38兆円の運用益とのことで、今回の赤字云々は問題外と詫びれた様子はなかった。

 ところが、GPIFが1か月後の8月26日に発表した2016年4~6月期の運用実績は、前期に引き続き5兆円強の赤字となった。2014年10月に資産構成に占める株式の比率を2倍に増やして以降の累積では1.1兆円のマイナスと赤字に転落したとのことである。英国による欧州連合(EU)からの離脱決定などで加速した円高・株安が響いたとのことであるが、原因を人のせいにして済ませられるのは、何とも気楽な商売である。

 GPIFは、市場価格の変動に応じて資産を売買するのではなく、配当や利子で積立金を増やす投資が基本だそうで、従って赤字は株式の評価損が原因であろう。国内株式の保有銘柄はトヨタ自動車1.5兆円など、国内大手企業であるそうだ。銀行利子がほぼゼロ状態の日本の現状では、株式に投資して配当で稼ぐやり方は理解でる。しかし、企業が配当金を出せる安定状態で存続し、株式を長期間保持し続ける前提での話である。

 そもそも、GPIFの年金運用改革の株式比率を従来の2倍の50%に引き上げるとき、運用する株式の選択基準をどのように決めたのであろうか。国民の大切な資金の運用であるので、当然安定した大企業になるだろうと予想されるし、現実そのようになっているようだ。しかし、そもそもこの方針は成長戦略との矛盾も孕む。

 すなわち国はこれら大手企業を保護する方向にもっていかざるを得ず、産業構造の固定化に繋がるであろう。原発維持もその一例である。自然エネルギーの促進も成長戦略の一環であるが、国は二兎を追わなくてはならない状態となる。

 そもそも、GPIFの運営方針は既存の企業の安定維持であるのに対し、成長戦略は既存企業の変革であり、極端に言えば破壊だ。米国で盛んになりつつあるシェアリング・エコノミー・サービスは、物品を多くの人と共有したり、個人間で貸し借りをしたりする際の仲介を行うサービスの総称であり、社会イノベーションである。日本でも赤ちゃん用品や電動工具等の貸し出しを行う業者も既にあるが、個人の所有する物を他人に貸し出すまでには至っていない。

 スマートフォン等を利用して、両者の仲介をするサービスがシェアリングエコノミー・サービスはあり、米国では自動車・自転車・空き部屋等まで対象になっているサービスであり、これからの成長分野であろうが、日本に根付くためには大幅な規制緩和、すなわち既存勢力の破壊が必要である。

 車の共用であるライドシェアの全面的認可は、タクシー業界や自動車メーカのあり方を一変する。これらの業界は、そうはならじと、認可に際しては様々な制限、条件を付けてくるだろう。自動車メーカはGPIFにとっても重要な投資先だ。国としても株価が下がるような規制緩和を容認する筈がない。

 空き部屋の利用でも米国がかなり先を行っている。宿泊スペースを借りたいユーザーと、宿泊スペース物件を持つユーザーを仲介するAirbnbは日本市場への進出において、様々な軋轢と批判を生んでいる。安全面もさることながら、”あまりに安いので、旅館や民宿・ペンションの経営が打撃を受ける”という既存業界側からの猛反発があるそうだ。

 防火・防犯の備えのない施設が無条件に貸し出されるのは安全面で問題ではあるが、遊んでいる資源を有効に使用するのは、正に資源の有効活用である。国も、4年後の東京五輪での宿泊施設の充実を兼ねて民泊の認可を進めているが、既存の業界は、安全を理由に様々な条件を国に要求するだろう。

 しかし、ライドシェアが限られた客を奪い合うのに比べ、空き部屋のシェアは増加する外国からの観光客対策の意味が強いため、観光客が多い間は、既存勢力の破壊までに至らず、共存の道がありそうである。2016.09.03(犬賀 大好-265)