日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

民進党は泥船に乗っている自覚はあるのか

2017年08月12日 09時19分44秒 | 日々雑感
 7月28日民進党の蓮舫代表の突然の辞任発表があった。都議選の敗北の責任を取り野田幹事長が辞任表明したのを受けて後任選びに奔走したが誰も協力しなかったことが、蓮舫代表の突然辞任の理由とのことである。

 民進党には一言居士が多く、蓮舫氏の個人的な人気をあてにして代表に選出したのであろうが、都議選でその力が発揮されないとみるや、一斉に勝手な方向を向き出したのである。

 民進党は8月2日の両院議員総会で、8月21日告示、9月1日投開票とする日程を正式に決めた。これまで、枝野幸男元官房長官、前原誠司元外相の両氏が名乗りを挙げており、共に政権政党を目指すとえているが、傍目にはいよいよ最後の悪あがきの感がする。

 枝野氏はリベラル派、前原氏は保守派と称されており、憲法に対する考え方や他党との協力の仕方の違いで、両者歩み寄りそうにない。お互いに信念を曲げない点では尊敬すべきであるが、いつまでもこの相違点を抱えたままの同床異夢では、自民党に対する対抗政党にはなり得ないどころか、解党の瀬戸際に立っている。

 ほとんどの国民は現在の安倍1ッ強の体制を危惧し、自民党に対する対抗勢力の存在を望んでいるが、民進党には期待していそうにない。何しろ、民主党として政権を担った時のまとまりの無さと、野に下った現在の民進党の体質が全く変わっていないことを知っているからである。

 第2野党としては、民進党を離脱した細野、長島両衆議院議員が恐らく合流するであろう若狭代表の日本ファーストの会に期待するであろう。この会が期待に応えられるかどうかは不明であるが、少なくとも民主党よりはまだ期待できそうであるからだ。 

 そもそも民進党には党を纏める立派な綱領 ”「自由」「共生」「未来への責任」を結党の理念とする”があるが、中身が全くない。例えば、未来への責任とは、補足説明で ”未来を生きる次世代のため、税金のムダ遣いを排するとともに” 等あるが、政権時代 ”事業仕分け”がマスコミを賑わしたが、実の成果を上げているものが残っているだろうか。未来への責任とは、子供たちが安心して暮らせる ”持続可能な社会の実現” であろうが、民進党には将来を見通す展望力が無い。

 最近、イギリス、フランス両政府は、将来のガソリン車の販売禁止を打ち出したのは、画期的であった。イギリス政府は先月26日、2040年以降、国内でのガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表し、フランス政府も、ガソリン車などの販売を2040年までに段階的に禁止する方針を発表した。排ガスによる大気汚染の問題に対応するためとしており、ここでガソリン車禁止を打ち出さなくても、時代の流れとして排ガスを出さない電気自動車(EV)などに必然的に置き換わっていくであろう。この流れは日本でも免れないが、このような政策は日本では考えられない。

 現在の自動車産業は、エンジンをはじめ部品点数も多く、関連産業のすそ野も広く、雇用に与える影響も大きい。日本自動車工業会によれば、車体・部品関連の製造業雇用者だけで約80万人、販売・サービス等の自動車関連産業全体では550万人の雇用者があるといわれる。それに対し、EVは、モーターを中心に部品点数も少なく、雇用吸収力も必ずしも大きくないとされる。

 自民党であれ、民進党であれ、日本でこうした政策を発表することは自殺行為かも知れない。自民党は日本の輸出産業が自動車に大きく依存している点で経済界の反対が、民進党は労働組合に依存するところが大きく、労働組合は当然雇用縮小に繋がる点で、反対する。

 ガソリン車から電気自動車への変化は技術の流れである。ガソリン車の販売禁止を打ち出さなくても必然的に置き換わっていく。ガソリン車への固執は時代に取り残される。

 電気自動車が普及するとどのような社会になるか、想像力を膨らませる必要がある。電気自動車は無人運転車となり、社会構造は大きく変わるであろう。現在の製造業も変革せざるを得ない。

 未来への責任とは、今から何をなすべきかを提案し、出来ることを先取りして実行することであろう。現在の民進党は、労働組合依存体質から脱却しない限り、新たな発想を生み出し得ない。既に泥舟化し、逃げ出す者も多数いる。崖っぷちに立たされていることの自覚はあるかも知れないが、従来のしがらみに縛られ、身動きが取れない状態なのかも知れない。2017.08.12(犬賀 大好-363)

賃上げ要求は労働組合の役目では無かったか

2017年08月09日 09時14分56秒 | 日々雑感
 安倍政権が推進する異次元緩和は、市場の国債を日銀が買い取り、市場に流通する現金を増やすことにより企業活動を活発化し、企業の利益が増加すると共に、従業員の所得も増え、消費が増し、更に企業が儲かるとの、景気好循環を期待した政策の筈であった。

 この金融緩和は円安と結びつき、輸出企業に莫大な利益をもたらしているようだ。しかし、この利益は企業の内部留保として蓄えられ、労働者の賃金上昇にはつながっていないとのことである。

 財務省が発表した法人企業統計によると、大企業の2015年度の内部留保は前年度を13・5兆円上回る313兆円で史上最高額を更新したとのことだ。配当や役員報酬も前年度を上回ったものの、従業員1人当たりの賃金は減少したそうだ。これは、大企業が儲ければ労働者の家計に回るという安倍政権のトリクルダウン政策の破綻を意味する。

 これにより、景気好循環のサイクルの破綻は、企業の利益が従業員の所得に結びついて居ないところが原因であると証明されたのに、未だ従来通りの金融緩和策を取り続けているのは安倍首相や黒田日銀総裁の責任が大きい。

 しかし、労働者の総本山である日本労働組合総連合会(連合)もこの責任の一端を担っているのではないかと思われる。これは、官製春闘と揶揄される春闘に顕著に現れている。官製春闘とは、民間企業の労使が賃金などについて交渉する春闘に政府が支援することであるが、賃上げ要求を労働組合に代わって政府が主導するとは、前代未聞である。

 安倍政権は賃上げがないために消費が低迷し、デフレ脱却の足かせになっていると認識して、2013年に政府、経済界、労働界の代表者らで作る政労使会議を設置し、安倍首相自らが経済界に対して賃上げ要請に乗り出したのだ。これが功を奏して2014年春闘で賃上げが実現して以降、政府は毎年賃上げ要請するようになったため、「官製」と呼ばれるようになった訳だ。

 従来、春闘では労働組合が従業員の要求をまとめ、経営側に賃上げを求めてきた。しかし、1990年代前半のバブル崩壊で、大企業も破綻する現実に直面し、労働組合も会社あっての労働組合との意識が強まり、労働者も経営者の立場に立つ傾向が強くなったため、春闘での賃上げ要求はあまり強く出られなくなった。労働組合は御用組合化し、ストライキも死語になりつつあるのだ。

 今年の春闘でも政府が経済界に賃上げを強く求めたが、経営側には業績の先行き懸念から政府の圧力に抵抗した。政府が果たすべき役割は、経営者の先行きへの不安を取り除くことであり、そのための規制改革や社会保障改革に政府は努力すべきであろう。賃金を上げるための努力は労働者に任せておけばよい筈だ。

 現在、企業が抱える資金は潤沢のようだ。日銀によると、民間企業が保有する現金・預金は昨年6月末で242兆円と過去最高になったそうだ。一方8月は消費支出が物価変動の影響を除いた実質で前年同月比4.6%減と、6カ月連続の減少となったそうだ。実質賃金の伸び率が鈍っていることが響いているとのことだ。

 労働組合も従来のようにストライキでも掲げて賃上げ要求をすれば、政府は弾圧どころか後押しするに違いない。それにしても、最近の労働組合の動きはおかしい。同じ職場に派遣労働者と正規社員が同じように働き、賃金の格差が非常に大きい現実に直面しても、これを解決する動きは特に見られない。かっての労働組合は、自分たちの生活を守るために必死で戦った。現在、正規労働者は恐らく自分らの生活に満足しているに違いなく、非正規労働者は別世界の人間だ。

 非正規労働者や派遣労働者は、従来の組合を頼りにせず、独自の組合を組織した方が、良いのではなかろうか。何しろ今企業は派遣労働者抜きでは存続できなくなっている。2017.08.09(犬賀 大好-362)

残業代ゼロ法案と労働組合の役目

2017年08月05日 09時18分06秒 | 日々雑感
 正式名称を「日本型新裁量労働制」と呼ぶ「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」は、日本労働組合総連合会(連合)自身が「残業代ゼロ法案」と呼んでこれまで一貫して反対し続けてきた。ところが、先日、高プロ制度の導入に連合執行部の一部メンバーの主導で条件付き容認の方針を決めたことが明らかになった。条件付きと言いながら一転して容認したことは、下部から激しい反発を招き、結局、撤回する羽目に追い込まれた。

 そもそも、高プロ法案とは、簡単に言えば、年収1,075万円以上の高度な専門業務に就いている人を残業代の支払い対象から除外しようとするもので、一般労働者は関係ないように思われる。その目的は、労働時間ではなく成果で評価する、ことであるとされている。

 条件付きで容認する方針に転じた連合への抗議デモが7月19日夜、東京都千代田区の連合本部前であったそうだ。日本最大の労働組合の中央組織として、労働者の代表を自任してきた連合が、身内のデモに見舞われるとは前代未聞の話だ。その責任を負い、次期会長予定であった事務局長の逢見氏の会長就任は見送られることになったようだ。

 経済がグローバル化し、競争も世界が相手となると、これまでの日本的な労働習慣を見直す必要が生ずる。その一つが労働生産性の向上であり、時間より成果を重視したくなるのは当然である。

 時間外労働することが常習化してくると、時間内はダラダラ働くようになり、生産性が落ちる傾向になる。この解決には年収1075万円以上の労働者だけではなく、もっと年収の低い労働者にまで対象を広げる必要が出てくる。労働生産性向上のためいづれ全労働者に「残業代ゼロ法案」を広げる恐れがあることが、一般労働者が反対する最大の理由であろう。

 また外国人労働者、特に欧米人と一緒に仕事するようになると、日本人にも成果に対する報酬を望む人材や実力で評価されることを好む人材が増え、彼らが海外へ流出することを歯止めする必要も出てくる。

 そもそも労働組合は、一般の働く人々の権利と生活を守るために動くのがの役割の筈だ。リーマンショック時、会社が倒産し、経営者も労働者も路頭に迷うことになって以来、労働組合も会社があっての労働組合だとの意識が強くなった。労働組合の幹部も、会社を存続させることが最優先と、企業経営者の立場を取る傾向が強くなった。

 労働生産性の向上は従来からの懸案事項であり、20年ばかり前に成果主義が流行った。成果主義とは、業務の成果やその成果に至るまでの過程によって評価し、報酬や人事を決定することであり、向上心がある人は、より自分を高めようと努力することが期待された。

 従来の年功序列型の制度では、成果の高い人が成果の低い人よりも多くの仕事をしているにもかかわらず、給与面での差に大差ないと、労働意欲がア下がり、結果として労働生産性が落ちる欠点となった。

 成果主義を富士通は1993年に導入した。日本企業の中でも先駆的な取り組みであった。また、2014年にパナソニックやソニーが年功序列を廃止し完全成果主義に踏み切ったことで話題になった。国内の企業では年功序列から成果主義へのシフトが試みられているが、現状ではなかなか定着していない。成果主義による目立った成功例がなく、導入当時の制度をそのまま続行している企業は皆無と思われる。

 最大の理由は成果を正しく評価できないことである。日本ではチームで仕事する意識が高く、成果を個人に割り付けることが難しく、また、正当に評価されないとの意識より従業員の会社への信頼感が低下して社員の能力の弱体化に繋がるとの懸念もある。

 高プロ法案は、経済のグローバル化に沿った法案であろうが、日本の労働生産性の低さの改善が背景にある。この意味で連合としても何らかの対策に迫られているのであろう。しかし、連合は労働者の立場からグローバル化に対処すべきだ。企業にはグローバル化で儲けた莫大な資金が内部留保としてあるとの話だ。この金を少しでも労働者に回し、労働意欲を高め、間接的に生産性の向上に資すればよいのだ。2017.08.05(犬賀 大好-361)

記事のタイトルを入力してください(必須)

2017年08月02日 09時19分06秒 | 日々雑感
森友学園問題、加計学園問題、そして稲田前防衛相問題を切っ掛けとして安倍一強体制が揺らぎ始めた。しかし、衆参両議院で与党が過半数を占める現状では安倍首相の座はまだ当分安泰と思われるが、後の世に名相として名を残すためには、今のうちに負の遺産を一つでも解決して、”立つ鳥跡を濁さず” と後の政権に引き継ぐべきであろう。

安倍政権の功罪は色々議論される。成果の一つは外国人旅行者の激増であろう。これは安倍政権の円安誘導のお蔭であるとの解釈もあるが、中国、台湾を始めとする途上国からの旅行者が急増したことからして、これらの国での経済発展のお蔭と見る方が妥当であろう。

さて、安倍政権の最大の目玉であるのは異次元緩和であろう。この目標である物価上昇率2%は、7月20日、またしても先送りされた。黒田日銀総裁は、物価目標の2%達成時期を、2年程度で実現すると大見得を切った。しかし、2013年4月以降、既に6回目の延期であるが、相変わらず同じような政策を続行しており、工夫の余地が見られない。

経済学は学問であるとして大学の経済学部で教えている。学問であるからには、もう少し将来の予想が出来るものと思っていたが、経済のスペシャリストである筈の日銀総裁でも予想が外れるとは、勉強不足か、あるいは元々学問としては全く体をなしていないのかも知れない。

この間着実にリスクは膨らんでいる。日銀の国債保有残高は着々と積み上がり、昨年10月に初めて400兆円を突破したそうだ。日銀が将来、物価目標の2%を達成し、緩和縮小で国債購入量を減らした場合、国債価格が下落し、日銀が保有する国債に巨額の含み損が生じる可能性が高いと素人でもわかる。このリスクに対して、総裁は特に問題は生じないと表明しているが、これまでの実績からして全く信用できない。

そもそも、2%が達成され、景気が好循環し、GDPが増え、税収が増すとの当初の目論見であった筈であるが、この経済の予想はとっくに間違っていると証明されていると思わないのであろうか。黒田総裁は相変わらず金融緩和の出口は「議論するのは時期尚早」と述べるにとどめているが、恐ろしい将来が予想されて何も言えないのではなかろうか。

この金融緩和は現時点では株高をもたらしており大成功と言う人もいるが、将来間違いなく安倍政権の負の遺産となろう。この株高は公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も貢献している。GPIFの平成28年度末の運用資産額は144.9兆円だそうで、時々運用益が何兆円出たと華々しく報道される。GPIFが公的年金資金を株に投資している段階では、他の投資家も安心して投資できるが、資金を回収し始めるとそれに倣って回収を始め、株は値下がりするであろう。運用益が何兆円出たと言っても、表面的な話であり、それをそのまま現金化できる筈が無い。

また、消費増税を10%に上げる法律は2度先送りされた。安倍首相は昨年6月、今年4月に予定されていた消費税の8%から10%への増税を平成31年10月まで再延期することを正式に発表した。理由は、増税による消費の落ち込みであった。

実際に増税した場合、どの程度の落ち込みになったか分からないが、物価上昇率が2%に届きそうにない現状見ると、平成31年になっても、再再延期するのではないかと懸念される。民進党と合意されていた増税による税と社会保障の一体改革は完全に無視された形であるが、民進党からも批判の声は余り聞こえてこない。これも安倍政権が先送りした負の遺産の一つとなろう。

更に2016年12月末の国債と借入金、政府短期証券の合計残高は1066兆4234億円で、前年から21兆8330億円増えて過去最高となった。1000兆円を超える際にはマスコミも随分話題にしたが、一旦超えてしまうと話題性が無くなったのか、余り騒がなくなった。

この赤字を少しでも減らそうとする試みが、プライマリーバランス(PB)だ。 政府は、7月18日に開かれた経済財政諮問会議で中長期の経済見通しの新たな試算を示した。2020年度の国庫の収支は8.2兆円程度の赤字となる見通しで、政府が事実上の国際公約としている基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の目標達成は極めて厳しい状況のようだ。

このように安倍政権は、現在が良ければ良いとの大衆迎合政権であり、将来を考えての身を切る政策は見当たら無い。この大衆迎合が現在の自民党を形成しているのであるが、国民もうまい話には裏があると気付くべきである。

安倍政権が残すであろう負の遺産はこの他、TPPの挫折による成長戦略の頓挫、社会的経済的な格差の拡大、原発ごみの処分問題等色々ある。安倍首相の念願の憲法改正も、一強体制の揺らぎにより怪しくなった。安倍首相は後の世に名宰相として名を残すためには、将来に向けた布石を一つでも多くやるべきであろう。2017.08.02(犬賀 大好-360)