日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

幼児からの早期教育は子供に幸せをもたらすとは限らない

2018年11月10日 08時41分06秒 | 日々雑感
 スポーツ選手に限らず、バイオリンやピアノの音楽家も、幼い頃より練習を始めたとの話もよく耳にするが、子供にとって幸せなことであろうか。

 このような幼児からの早期教育はその道で一流にさせたい親心からであり、これも親の愛情表現の一つと思えなくも無いが、子供の人生を親が決める親のエゴのような気がする。特に芸能界で活躍出来るように、親の方が一生懸命になっている様子を垣間見ると親のエゴ丸出しと感ずる。

 幼児期、もしくは学童期に優れた才能と素質をもった児童に対してその才能を伸ばすための特別な教育をほどこすことが、英才教育であり、才能教育であろう。スポーツ選手同士の結婚や音楽家同志の結婚の場合、子供も同じ遺伝子を有するので当然その道に通ずる筈だとの判断からであろうが、子供にとって親の敷いたレールの上をひたすら走ることは幸せなことであろうか。

 子供は親に反抗する術が分からないまま、親の関心を得るべく一生懸命努力する。その結果、大成すればまだ救われるが、一流になれるのは極一部だ。挫折した場合、他の道を探さなくてはならないが、探す時間があればまだ良い。挫折する時期が遅くなればなるほど取り返しがつかなくなる。

 諦めなければ望みは適う、との言もよく耳にする。確かにその一面があるだろう。登山も途中で登頂を諦める必要がある場合もあるが、その判断は簡単に出来るものでは無い。しかし決断しなければならない時は必ずやって来る。

 スポーツ選手の場合、活躍できたとしても20歳~30歳位が山場であろう。人生80歳と見ても、残り50年の人生を生きる道を探さなくてはらない。

 プロ野球ドラフト会議が先日行われた。プロ球団から指名された高校生は将来の夢に胸弾ませているだろう。しかし、プロの世界で通用するのは一部だ。義務教育の期間中、野球以外の色々な経験、様々な勉強をやってきたであろうか。恐らく野球一筋に励んできたであろうから、野球の道で挫折した場合の喪失感は大きいだろう。

 この点、中日ドラゴンズから1位指名された大阪桐蔭学園の根尾選手には感心する。どんなに疲れていても読書を欠かさないとのことである。常に自分の考えの下、自主的にやることはどんな道を歩んでも後悔することは絶対にないだろう。

 例え、一流になり、オリンピックで活躍できたとしても、引退後、想像もしなかった自己嫌悪や絶望感に襲われ精神的な不調に長く苦しんだとの話も耳にする。燃え尽きて心を病んだり、目標を無くして生き甲斐を失ったりする。世界ではメダリストやプロスポーツ選手がうつ病や不安障害を告白する事例が増えているそうだ。

 英才教育の是非については、随分前から各国で検証されてきた。例えば、1970年代にドイツ政府が、“お勉強中心”の幼稚園と“遊び中心”の幼稚園の子ども達を、長期にわたって比較した調査があるそうだ。

 その調査では、“お勉強中心”の幼稚園の子ども達は、最終的には“遊び中心”の幼稚園の子ども達より読書や算数で劣り、しかも、社会性や感情面でも周りとうまくやっていくことができないということが明らかになり、ドイツ政府は、幼稚園に“遊び”を多く取り入れる方針に回帰したそうだ。

 早期教育は初期の段階では確かに効果があるだろう。しかし、早く知識や知恵がつく代わりに、自分は他の子よりも才能あると勘違いしてしまう欠陥もあるらしい。

 また、知識吸収に時間が割かれ、人と交わる訓練ができないから、協調性や人に対する思いやりなどの社会性が育たないそうだ。

 中でも一番影響が大きいと思うのは、幼児教育は先生の一方的な指導によるため、受け身の勉強癖が身に付いてしまうことである。自主性を育むためには自分で考える時間が必要であり、無駄な時間も必要だ。自主性の無い子供は、挫折した場合、それを乗り越える力が無い。2018.11.10(犬賀 大好-493)

永久凍土の融解が引き起こす災難は日本にも及ぶ

2018年11月07日 09時07分36秒 | 日々雑感
 永久凍土とは年間を通して凍結した状態の土壌を指し、日本では他国の話と思いがちだが、日本でも富士山頂上付近および大雪山頂上付近、北アルプスの立山などに存在が確認されているそうだ。恐らく地下何メートルの所に氷の塊が一年中存在しているのだろう。

 日本の永久凍土は極めて小規模だが、アラスカ、カナダ北部そしてシベリア等、北半球の大陸の約20%の広大な土地に存在し、地球温暖化に対し凍土の融解の影響は日本にも及ぶと予想される。

 さて永久凍土には、純粋な氷の部分もあれば、土壌と水が一緒に凍った部分もある。地表面は夏には融けてしまう0.1〜3m程度の活動層と呼ばれる部分があり、タイガと呼ばれる針葉樹林やツンドラと呼ばれる背の低い植物で覆われた草原地帯となっている。

 活動層の厚さは年や場所によって変化するが、典型的なものでは0.6-4mの厚さであり、その下部は地下数百mから数mの厚さで一年中土地が凍っているそうだ。

 地球温暖化が進むと、凍土が融け始めることが容易に予想される。永久凍土は北極地方の大地を強固に安定させているが、温暖化によって建築地盤の沈下などが生ずると予想されるが、これだけであれば、日本では他人事と安心しておられる。

 環境省は永久凍土大規模融解による温室効果ガス放出量の現状評価と将来予測プロジェクトで、2017年6月に、アラスカで変化の様子を調査したそうだ。調査団は実際アラスカで広大な湿地帯や乾燥地帯を目撃したとのことである。

 地盤が緩るむと樹木が倒れ、樹木がなくなると日光で地面が直接温められ更に融け、加速化する。永久凍土の地帯の年間降雨量は少なく現在の森林は凍土から徐々に水分を補給されて生存しているが、凍土が湿地化しても、最終的には乾燥化、砂漠化すると推定されるそうだ。

 凍土の氷の中には,過去のメタン細菌の働きによると推定されているメタンを多く含む空気の気泡があり、低温高圧の地下にはメタンハイドレートと呼ばれる膨大なメタン貯蔵源もある。温暖化により、メタンガスが放出されると、世界的な温暖化を激化させると考えられている。

 また、2016年にロシアで発生した炭疽菌感染は、永久凍土の融解により地表に露出したトナカイの死骸から菌が人間にも広がったと推測されている。地球温暖化に伴い、他の病原微生物が地上に再び現れるリスクも指摘されている。

 熱帯域では植物の光合成が盛んであり炭酸ガスを吸収し酸素を放出するため、温室効果ガス削減の観点から森林伐採や焼き畑農業が問題視されている。しかし、植物が腐ると分解し、温室効果ガスも放出するため、全体としては収支がバランスしているとの説もある。

 熱帯雨林は炭酸ガス吸収の大きな役目を担っていると信じ込んできたが、放出する分も確かにありそうである。吸収と放出の割合は、先月末、打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星2号が明らかにしてくれるかも知れない。

 兎も角、植物が炭酸ガスを吸収し蓄積しつつあるとすれば中高緯度の森林の方が貢献度は高いと推定される。シベリアの膨大な面積が亜寒帯の針葉樹で被われており,二酸化炭素の大きなシンクとなっている可能性は大きい。この点永久凍土の減少は温室効果ガス削減の観点からも影響が大きい。

 地球温暖化によって、永久凍土は2100年時点で33%〜50%程度減少すると予想する研究結果もあるそうだ。ただし、永久凍土の現在の分布や融解過程には不明な点が多く、予測には大きな幅が生ずるとのことであるが、多かれ少なかれ日本にも影響することは間違いない。2018.11.07(犬賀 大好-492)

残業は個人の仕事を明確化することにより減らせる

2018年11月03日 09時32分48秒 | 日々雑感
 2016年の日本の時間当たり労働生産性は、OECD加盟35カ国中20位であり、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いているそうだ。その理由の一つに無駄な残業が多いことがある。

 残業する理由として、残業代が欲しいもあるだろうが、仲間が残業しているので先に帰りづらい、が結構ある。この結果残業することが日常化し、朝から効率的に仕事を処理しようという意欲も生まれないとのことである。

 この風潮は皆と一緒にいることで安心できるからと、昔から”和をもって尊しとなす”の精神に由来する集団主義と説明されたきた。

 しかし、残業する言い訳としての、自分の仕事が遅れると人に迷惑がかかるとか、自分にしかできない仕事だから、は他人と協力する気が無い、他人に任せたくないであり、個人主義的との指摘もある。

 すなわち、自分1人で仕事を抱え込み、情報を共有しないことで自分の代わりの居ない、会社にとって無くてはならない人材と印象づけることが残業の目的であると結論付ける。この個人単位の損得勘定が根底にある自分中心の考え方が個人主義的であるとの話だ。しかし、これは個人主義と言うより自己主義と言った方が適切だ。

 従来の日本人論では日本人は集団主義的だと言われ、日本人の基本的なイメージになっている。

 日本人は農耕民族として発展してきたからには、やはり皆で協力してやることが身に染み付いていることは間違いない。最近都会の住民が定年後に長閑な農村にあこがれて移住する話をよく聞く。しかし、農村の集団主義に馴染めず、挫折する話もよく聞く。農村では集団活動が今もって続いており、都会でも薄れたけれど残っている。

 また、日本でも20年ばかり前成果主義が流行った。成果主義は、昇給や昇格を個人の仕事の成果によって決める人事制度のことを指すが、欧米諸国に倣った個人主義への変換であろう。しかし、なかなか定着しなかった。

 根本原因は歴史の浅さであり、経験の無さだ。企業の管理職は年功序列で育ってきた人だ。仕事はグループでやるもので細かなルールを決めなくても協調してやるものだとの集団主義的考えが身に染みている。

 とは言え、企業のグローバル化や効率化の流れの中で、2014年にパナソニックやソニーが年功序列を廃止し完全成果主義に踏み切り、各企業も年功序列から成果主義へのシフトを進めようとしている。かっての失敗を反省し、欧米の成果主義をそのまま真似るのではなく、日本式にアレンジしているだろう。

 成果主義の第1歩は仕事の分担を明確にすることである。個人個人の責任分担を皆が納得して明確に出来れば、他人に気兼ねなく仕事が出来るし、やりがいも生まれるだろうし、個人の成果もはっきりする。

 最近、大学医学部の入試で女性差別問題が明るみに出た。医者の世界は、夜勤や残業が多く、肉体的にも女性の活動が困難であることから、女性の入学者を制限しようとしたためと言われている。

 病院に限らずどの職場でも、誰かが急に休むことになっても業務に支障が出ないようにするためには、予め各自の仕事の内容、責任分担を明確にしておく必要があり、それが出来れば、交代も容易に出来る筈だ。

 各自の責任分担を明確にするためには、管理職と職員両者の納得が必要であり、このシステムが円滑に進むためには、経験が必要であり、試行錯誤も必要であろう。欧米では確立されたシステムだ。日本でも、日本式改善を経て、次第に定着していくだろうが、時間がかかる。2018.11.03(犬賀 大好-491)