日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の株価が高いのは政府の保障があるからか

2021年12月15日 10時48分55秒 | 日々雑感
 コロナ禍に拘わらず日経平均株価は9月14日に3万円を越えて約31年ぶりの高値をつけ、その後は3万円を挟んで一進一退を繰り返している。高値の最大の原因は、異次元金融緩和やコロナ禍の経済対策で刷られた大量のお金が行き場を求めているからだと言われている。

 その他の大きな理由として、日本の国家が大量に株式を保有しているため、安心して株式に投資できる背景もあるのではないかと感ずる。その筆頭が公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)である。独立法人と言っても、実体は国であろう。

 GPIFは2020年度末時点の運用資産は186.2兆円にのぼる世界最大級の機関投資家でもあり、安倍元総理が世界最大の機関投資家と豪語していた。GPIFの保有銘柄はトヨタ自動車 やソニーをはじめとする一流企業の銘柄で構成されている。上場企業の株式を直接保有する運用資産が約46兆円に達し、日本全体の株式時価総額748兆円に対して約6.3%を占め日本市場における最大の株主でもあるそうだ。国が大企業の大株主とは社会主義国も同然である。

 さて、日本の年金制度は、2004年の年金制度改革で「百年安心プラン」が成立し、2100年までは安心して老後が過ごせる筈であったが、2019年「老後資金2,000万円問題」が世間を騒がせ、年金だけでは不十分なことが明らかになった。

 日本の年金制度は少子高齢化の波をもろに受けて破綻寸前、否破綻しているも同然であるが、その昔厚労省の年金担当者が金のあるうち使えるだけ使ってしまおうと、保養施設等に無駄な投資をしてたことが夢のようだ。

 このため、GPIFは株式を運用して儲け年金原資を補充することが役目であり、人口減少と生産性の伸び低下にも拘わらず、今年4月から6月の運用実績を発表し、およそ5兆円の黒字となり、2001年度からの累積の収益額が初めて100兆円を超え、過去最大となったと8月公表した。

 この結果、2001年度に市場での運用を始めてからの収益率はプラス3.70%で、累積の収益額は過去最大の100兆3182億円と、初めて100兆円を超えた。

 また、GPIF程ではないが、日銀も同様に株を購入している。2015年は年3兆円の買い付けを行ったそうだ。この金額は年毎に増え、2016年から年6兆円となり、コロナ危機で日本株が暴落した今年の3月から、暫定的に買い入れの上限を年間12兆円まで拡大すると決めたそうだ。正に国による買い支えだ。

 日本全体の金余りとGPIFと日銀の株式の買い支えにより、12月15日の日経平均株価は2.8万円だそうだが、この株高も日本経済の実力以上なんだそうだ。どうも株価は綱渡り状態にあると感ずるが、経済学者の警鐘は聞こえてこない。2021.12.15 (犬賀 大好ー772)

日本のデジタル社会化は政治家が率先垂範すべし

2021年12月11日 14時47分58秒 | 日々雑感
 昨年10月、河野前行革担当相は、約1万5千の行政手続きのほとんどで押印を廃止すると宣言した。それから一年経ってどうなっているかは定かではないが、自治体でも脱ハンコの動きが広がっているようだ。

 さいたま市では新年度から、これまで条例や規則で押印が必要だった行政書類の9割近くでハンコを使わずに手続きできるようになったそうだ。市行財政改革推進部によると、市が書面で交わす行政手続きの種類は約6千件あり、そのうち、市民活動の助成金交付や災害見舞金支給の申請書、市民税の申告書など、押印が必要な書類は約4400件あったが、市は脱ハンコを進める市の指針に沿って約3200件で押印をなくしたそうだ。一方、約300件については実印や法人代表印の押印を残す必要があると判断したとのことだが、これらに代わる信頼性の高い確認法の確立を待つしかないだろう。

 河野前行革相の鶴の一声があったとは言え、1年間でこれほど改革されるとは驚くばかりだ。逆に今まで何をやっていたと、無駄なことを無駄と感ぜずやっていたお役所仕事の前例踏襲主義をつくづく感ずる。このような無駄な仕事はまだ多々あるに違いないが、現場からの改革は無理であろう。

 さて、このような改革により、ほとんどの業務でテレワークが可能になったにもかかわらず、契約書や請求書、決裁のハンコを押すためだけに出社しなければならない場合もまだ残っているようだが、個人レベルでの改革は無理である。

 日本社会のデジタル化の遅れは先進国の中でも抜きんでているようだ。政府はデジタル庁を新設し役人の世界のデジタル化を促進しようと躍起であるが、まず政治家本人のデジタル化を率先垂範することが効果的であろう。

 例えば、政治団体は、1年間の収入や支出を政治資金収支報告書に記載し、総務省か都道府県の選挙管理委員会に提出しなければならない。総務省は11年前、20億円余りをかけて収支報告書をオンラインで提出する現在のシステムを導入し、政治資金規正法は国会議員関係の政治団体に対し、このシステムの利用に努めるよう定めている。

 NHKがことしの利用状況を総務省とすべての都道府県に取材したところ、国会議員が関係する2987の政治団体のうち、このシステムを利用し、提出したのは80団体、率にして2.7%だったそうだ。去年と比べると3倍近くに増えたが、導入から10年以上がたっても、利用はこの程度だ。

 利用しない最大の理由は、手続きの煩わしさより、政治家個人の活動の内容が公になることを避ける為かも知れないが、わざわざ20億円で作り上げたシステムを使わないとは情けない。もっと厳しい罰則を設けて使用するように強化すべきだ。

 国のデジタル社会化は、政治家自身が率先して行えば、その長所短所が実感され、法整備等も進み、もっと良い環境の下で、出来上がるのではないだろうか。2021.12.11(犬賀 大好ー771)

日本のデジタル社会化は当面無理か

2021年12月08日 10時35分36秒 | 日々雑感
 マイナンバー制度は、行政の効率化を図るために全国民個人の情報を一元管理しようとする制度であり、国民総背番号制とも揶揄されている。例えば、社会保険料の減免の対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などの間で整合が必要となるが、住民票コード、基礎年金番号、健康保険被保険者番号など、それぞれの分野で独自の番号で情報を管理しているため、個人の特定に多大な時間と労力を費やしている。このため、一元管理できれば便利なことこの上ないことは十分理解できる。

 マイナンバー制度が目指しているのは、”便利な暮らし、より良い社会”であるが、個人情報が一元管理されるため、システムの不完全さや管理の不手際等により個人情報が他者に漏洩し悪用される懸念が生ずる。

 マイナンバーカードの現在の普及率は35%程度と低く、政府は保有率を上げるために、新たにカードを取得した人に5000円分、カードを健康保険証として使うための手続きをした人に7500円分、預貯金口座とのひも付けをした人に7500円分をそれぞれ支給するとしており、この現金支給に申請者が急増しているとのことだ。

 マイナンバーカードは管理する側には便利であっても、管理される側のメリットが余りないことが、保有率の低さの一要因であろう。現在のマイナンバーカードで公共と民間サービスごとに利用したいサービスの有無をアンケート調査したところ、それぞれで特にないを選択した回答者が46.3%、71.5%と最も多かったようだ。国は引っ越しの際の住民票の移動など格段に便利になると説明するが、引っ越しなど一生の内で何回もあるものではない。現金支給の餌につられて保有率が高まったところでメリットが無ければそのまま机の中にでも死蔵されることになるだろう。

 マイナンバーカードに限らず、日本は先進国の内でもデジタル化の意識が格段に低いとの話だ。菅前首相の肝いりで、今年9月に発足したデジタル庁は、デジタル社会形成のための各種施策において、調整や管理を行う役目である。

 日本のデジタル社会の遅れはデジタル社会のメリットが余り見えないことにあるのではないだろうか。最近コンビニ等でスマホを用いたキャッシュレスサービスが若者の間に広がっているようだが、高齢者は現金払いでないと落ち着かない。

 また、政治資金収支報告書を提出する際、国会議員関係の政治団体は総務省のオンラインシステムを使うことが努力義務とされているが、ことしの利用率が2.7%にとどまったようだ。オンライン化は政治資金の透明性を高めるためにも必要だが、この普及率の低さは、入力の面倒くささより、透明化を避けたい気持ちが先にあるだろう。

 日本のデジタル社会化は、これまでのアナログ社会以上のメリットを如何に提示できるかに関わるだろう。デジタル庁の役目はここにもある。2021.12.08(犬賀 大好ー770)

日本銀行は本来の目的を全うできるであろうか

2021年12月04日 10時52分30秒 | 日々雑感
 国の借金である国債の発行残高は約1000兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1200兆円に達するそうだ。国民一人あたりに換算すると1千万円になろうと言うのに、余り世間は騒がない。

 個人的な1000万円の借金となると首を括りたい程の切迫感があるが、国の借金となるとどこ吹く風となるのはなぜであろう。個人の借金と国の借金は名前は同じ借金でも、返済方等は全く異なるようだ。個人の借金には普通数%の利子が付き取り立てが厳しいが、国の借金は、日本銀行が大量に国債を買い入れている間は金利は上昇せず、返済が遅れても税負担は要らないようだ。国債の返済に関する詳細は分からないが、兎も角皆で渡れば怖くないと言ったところであろうか。

 さて、岸田新政権はコロナ禍での経済回復のために惜しげもなく財政出動を推し進めている。財源は主として赤字国債の発行であろうが、安倍政権が進めた異次元金融緩和政策でも日本銀行が国債を大量に市場で買い入れている。しかし日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されているのだ。

 これは、中央銀行である日銀がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こす恐れがあるからだ。

 これは戦後のハイパーインフレ等の長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためである。

 日本銀行の金融政策の目的は、物価の安定を図ることにある。物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤であり、日本銀行はこれを通じて国民経済の健全な発展に貢献するという役割を担っている。

 しかし、日銀の大量国債購入でも現時点でインフレが起こらず、消費物価指数がほぼ一定で日銀の金融政策は成功しているように思われる。

 これに味を占めているのか、自民党内で財政出動を重視する積極財政派が勢いを増しているそうだ。先の総裁選で大規模な財政出動を訴えた高市早苗政調会長は、党の財政再建推進本部から再建の文字を除いて財政政策検討本部と改組し、安倍晋三元首相を最高顧問に迎えて再始動させた。財政再建派は風前のともしびだ。

 あくまでもコロナ禍で傷んだ経済を回復させるための財政出動と説明するが、1千兆円を越える負の遺産の解消方が頭の片隅にでも残っているのだろうか。最近日常品の値上げラッシュが続いている。物価上昇率2%の達成が間近と思われるが、政府や日銀は緩み切った金融緩和を即中止できるであろうか。中止した場合の副作用が懸念される。2021.12.04(犬賀 大好ー769)

日本の財政が破綻しない理由がよく分からない

2021年12月01日 14時24分39秒 | 日々雑感
 岸田文雄首相はコロナ禍で傷ついた経済の立て直しに向け、当面は積極的な財政出動を続ける方針を示し、このための財政支出が40兆円超となっている。財源は主として国債の大量発行であろうが、国債残高は 1975年の約 15兆円から 93年には約 184兆円へと累増し、ついには1000兆円を越えた。

 国の借金である国債の発行残高は約1000兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1200兆円に達する。この公債はあくまでも借金であるため、利子を払ったり、いずれは買い戻さなくてはならない。

 また、この借金は負の遺産となって子供や孫世代に引き継がれるため、常に少しでも減らす努力をしなくてはならないが、目先の経済が大切とばかり先の衆議院総選挙では、どの政党もばらまき合戦を繰り広げ、国の財源は無限にあるかのようだと、財務省の事務次官から批判された。

 国の予算を立てるにあたって、歳入と歳出が同じであることが理想であり、このために財政健全化が叫ばれている。2020年度の国家予算は約100兆円であるが、歳入の約6割が税金であり、残りの約4割が公債、すなわち借金である。

 財政健全化への取り組みを巡って麻生前財務相は、経済成長と財政再建の両立はしっかり進めていく、との考えを強調していたが、岸田首相も財政再建の旗は降ろさないとしつつも、具体的な取り組みについては何も手を付けていない。

 国の借金が増える一方であり、国の指導者は一応その懸念を示してはいるが、あまり心配していないようだ。個人的な借金は、それが莫大となると借金取りから返却を迫られ首が回らなくなり、自己破産や自殺と言った悲惨な結果が待ち受けている。国の借金は稼ぎであるGDPの2.5と膨大になっているが、財政破綻は心配ないのであろうか。

 その懸念を払拭する一つの根拠が海外保有比率だそうだ。2019年度末の段階で、海外保有比率は9%位だそうだ。すなわち、借金していても、その内の1割程度が借金取りの心配があるが、残りの9割は身内からの借金であり、いざとなったら、ご破算の手も残っているとのことだ。ご破算とは超インフレ等であろうが、国内問題として済まされるからであろう。

 また、政府全体が保有する国有財産とのバランスが重要であり、国有財産を勘案すると実質的な政府の借金総額は約120兆円となり、会計学上”健全な”額の純負債総額となるのだそうで、このままでも何も心配が要らないとする意見である。国有財産とは、国有地、庁舎・宿舎、政府保有株式などだそうだが、これらの財産を個人や外国に売却すれば、金が入ると言うことであろうか。

 いずれにしても、日本国の財政破綻の懸念が無いとの理屈がよく理解できないが、経済学者が余り騒いでいないことを見ると、安心してよいのだろうか。しかし、物価上昇率2%目標を2,3年で達成すると主張した経済学者もいたが、経済学とはあまりあてにならないと思った方がよさそうである。2021.12.01(犬賀 大好ー768)