8日の衆参両院の議院運営委員会で、安倍元首相の国葬に関し岸田現首相は決定の経緯について答弁した。憲政史上最長の首相在任期間や選挙演説中の銃撃などの理由を挙げ国葬が適切だと判断したと述べたが、これまでの説明と同じであり、丁寧に繰り返しただけで、到底納得できる内容ではなかった。
国葬と言うからには真っ先に過去の業績を上げるべきであろうが、最長の在任期間を上げるとは見るべき業績の無さを言っているようなものだ。確かに在任期間の長さ8年8か月は最長に間違いない。しかしこれは安倍政権前の民主党政権の不甲斐無さの為、国政選挙でも連戦連勝だったのは民主党のお陰であっただけだ。また、演説においてもトランプ前大統領と同様に歯切れがよかった。しかし敵を作って攻撃する手法も全く同じであり、テレビ受けしたのも確かであろう。
さて業績であるが異次元金融緩和による景気浮上を最大の功績と持ち上げる人もいる。一面確かであろうが、美味しい所を先に摘まみ食いしただけであり、莫大な負の遺産を残していることも確かであろう。
安倍氏の始めた異次元金融緩和の低金利政策は諸外国が金利値上げの方向にあるに拘わらず、日本は相変わらずゼロ金利政策を続けている。何か勝算があって続けているのならばよいが、続けざるを得ない状況に陥っているとの指摘もある。日本が1千兆円を越える借金を抱えているのに財政健全化を先送りしたのも安倍政権である。
また外交面では、歴代の政権より海外出張が多かったのも事実であろう。プーチンロシア大統領との密接な関係を自慢していたが、従来の北方4島同時返還を北方領土の2島返還と妥協しプーチン氏の好意を期待したが無視された。日本の妥協を引き出したプーチン外交の大成功であり、この裏には脅かせば妥協するとロシアのウクライナ侵攻に自信を持たせたと勘繰ることも出来る。
また、国葬開催の理由に、260を超える国・地域と機関から1700件以上の弔意が寄せられたと明かにし国葬をもってこたえると話し、来日する海外要人と会談し安倍氏が培った外交的遺産を受け継ぎ発展させる意思を示していくと力説した。しかし核拡散防止条約再検討会議や核兵器禁止条約への日本の態度、ロシアのウクライナ侵攻への無力さ等に対し、外交的遺産とは何かを説明してもらいたいものだ。
自民党と旧統一教会の関りの深さが明らかになったが、関わった議員に安倍派が多かったこと等より、安倍元首相と旧統一教会の親密さも次第に明らかになった。岸田首相は両者の関係を巡り”本人が亡くなったいま、確認するには限界がある”と発言した。統一教会が安倍元首相の葬儀をやったとのこと、知りたいことはいくらでもある。本人が存命中でも自ら明らかにする筈もないので、限界まで調査すべきである。
逆に安倍氏が亡くなった後、何の圧力もなく調査が出来る筈だが、今なお安倍氏の亡霊に怯えている感である。2022.09.10(犬賀 大好ー845)