18日。
連れ合いも配達から帰ってくる。私は夕飯の支度をしている。
窓際の座布団で横たわっているソラが、か細い声を上げる。そばに行き、どうしたの、声をかけながら、さすってやる。ソラのしっぽの下のバスタオルが小さく濡れてくる。おしっこがしたかったのだ。こんなに体力もなく、ただただ横になっているだけのソラなのに。
二人で、バスタオルを取り換えてやる。新しいバスタオルの上で、同じように、半分目を開けるようにして、小さくおなかを上下して、休んでいる。
今夜もそばで寝てやることにした。
20日
雨が降り続く。ソラが死んで、一夜が明けた。
ソラの好きだった、テラスの前の庭に埋葬してやろうね、と話していたが、この雨では。台風の大雨も予想される。この辺りは、地下水位の高い、粘土質の土だ。この続く雨では、ちょっと掘っただけでも水が上がってくるだろう。ソラを水につけるのは忍びない。どうしようかと思案。そういえばすぐ近くに、ペット霊園があるのを思い出す。
突然、連れ合いが話しかけてきた。
「ソラは火葬にしようか」
同じことを考えていたのだ。すぐに調べる。営業は9時から。まだ2時間ある。ホームページを調べる。納骨堂もあるし、仏葬もやっている。しかし、ソラは火葬だけでよい。お骨は我が家に安置して、よい季節になったら、庭に埋葬してやればよい。料金を調べると、先日、コメを販売したお金のうち、ソラの治療費にと、渡しておいたお金とぴったり。小さなソラの火葬料は、20000円。
9時になる間も惜しんで、電話を掛ける。今日の午後は、予約が入っているが、10時からならやれるという。お写真があるならお持ちくださいと言われ、ブログ投降した中から、よさそうなものを探す。
こぎれいなペット霊場に到着。ほぼ同じ手順だ。窯の前に横たわるソラにキャットフードを脇に、芙蓉の花で飾ってやる。もうこの姿を見れないのかと思うから、涙があふれる。ソラの体をさすって、最後の別れ。吸い込まれ、扉が閉まる。
小さなソラでも、1時間はかかるそうだ。特に小さな猫たちは、お骨を残すように火葬するには、あまり高温にはできないのだそうだ。11時を少し回ったころ、控室の私たちに声がかかる。ステンレスの容器に入った小さな骨。小さなツボに二人で、お骨を拾い入れる。
ソラの好きだった、電話ファックスの上に骨壺を置き、遺影を飾った。
ちょこんと、首を傾げて。