土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

養源院は、あの茶々さん開基のお寺です。

2013年12月23日 | 京都の古寺巡り


(2013.12.21訪問)


今日は太閤さん関わりの寺社巡りをしようと京都にやってきました。養源院から豊国神社、方広寺、そして
〆にねねさんの圓徳院をというコースです。七条駅では雲間に青空、十分後養源院で小雨、豊国神社に向か
う途中いきなり本降り、見上げると四方黒雲、こりゃいけません、足は京阪七条駅へ。
京にいた時間一時間弱!

浅井三姉妹の長女と三女、その生涯は天地の差。そしてその母君お市さんの波乱の人生、華やかな中に秘め
た悲しい物語は皆さんもよくご存知のこと。長政長女茶々さんが父と母鎮魂の為に立てた養源院を、将軍正
室の三女お江さんが、再興した心のよすが、織田から豊臣へ、そしてドサクサに紛れて天下を奪取したタヌ
キ一族、往時の男社会の殺し合いをお江さんはどう見ていたんでしょう。今このお寺には茶々さんやお江さ
んの片鱗すら感じることはありません。
唯残るは墓標のみ。 


▼ 養源院玄関。手前は枝垂の枝桜、春は相当美観らしいです。





[ 養源院 ]
●山号 南叡山(なんえいざん)
●寺号 養源院(ようげんいん)
●開山 成伯法印(せいはくほういん)浅井長政の従弟
●開基 茶々(ちゃちゃ)豊臣秀吉側淀君(よどぎみ)
●開創 文禄三年(1594年)
●再興 お江(崇源院)浅井長政三女、徳川二代将軍秀忠正室
●宗派 天台宗系 真宗遣迎院派
●本尊 阿弥陀如来立像
▲京都市東山区三十三間堂廻り町656 TEL.075-561-3887
▲拝観料 500円 御朱印300円
▲拝観時間 午前九時?午後四時
▲京阪電車 七条下車 徒歩約10分
 市バス 三十三間堂前下車 徒歩約5分
 市バス 東山七条下車 徒歩3分 

養源院縁起 (養源院由緒書から抄出)
文禄三年(1594年)浅井長政の長女茶々が、父浅井長政追善ため、二十一回忌に豊臣秀吉に願って創建し
た寺院で長政の従兄弟で叡山の僧成伯法印を開山とし、長政の院号を以て寺号「養源院」とした。
その後落雷火災で寺院は焼失。元和七年(1621年)二代将軍徳川秀忠の正室となった三女お江によって再
興されました。現在の本堂は伏見城の遺構を用いて、お江によって再建されたものです。


▼山門。参道両側には散り紅葉の帯が見えますネ。





▼境内参道。寒空に雨がポツリポツリ、枝離れをしない赤い葉が健気に頑張っています。





▼参道脇の石碑を取り巻いて白い山茶花が……。





▼手水舎。





▼右は井戸ですが使われている様子はありません。





▼鐘楼。





▼その証拠に梵鐘はちゃんと架かってます。





▼白鷹龍神と樹齢四百年のヤマモモの巨樹。





▼玄関、拝観はここから。





▼本堂。全景が撮れませんが、お江さんが再興した唯一のお堂です。





▼本堂南面障子戸。





本堂内にはあの建仁寺風神雷神図の宗達の襖絵、杉戸絵を見る事が出来ます。
▼俵屋宗達の杉戸絵「白象図」 (養源院絵はがきから)



本堂には琳派の俵屋宗達の襖絵十二面、杉戸八面があり、伏見城で自刃した鳥居元忠らの霊を慰めるために
描いたものともいい「麒麟図」「唐獅子図」「白象図」が描かれています。

宗達さんは相当高度な技量の持ち主ですね、テクニックをユーモアという衣に包み、思い切ったデフォルメ
で対象を表現、見る人の喜色驚色を想定して描いた如くの凄い腕前だと思いません?
後の酒井抱一さんなどはとことん模写し自身の表現お手本にしたらしいですヨ。


▼俵屋宗達の襖絵「松図」 (養源院絵はがきから)



本堂中央松の間の「松図」は、金地に松の大木の太い枝とそれを支える岩が襖全体に描かれています。



▼護摩堂。





▼お江さんの墓標。この一角だけ華やかさが残っています。





▼浅井三姉妹の母君、お市の方の供養塔。





▼山門を入るとスグ右にある弁財天女堂。境内には、小さなお社と鳥居が点在しています。





▼近隣から掘り出され供養されているのでしょうか、境内南端に石仏の数々。





▼毘沙門堂。





▼表門付近には難転 (南天)がたわわです。





▼表門からの本来の参道でしょう、散り紅葉が敷かれた向こうに勅使門、開かず門です。





▼山門北側に表門、開かず門です。





▼すっかり冬景色のこのお寺の中で、ここだけ秋が……。





▼読めませんけど、御朱印です。お江さん墓の敷き紅葉で。




決して広くない境内に残っている堂宇は、本堂と護摩堂だけ。本堂内部も写真お断りでお見せ出来ませんし、
茶々さんやお江さん名残はありません。ただその雰囲気は柱や壁面の古色、俵屋宗達の襖絵、杉戸絵、本堂
外陣廊下の鶯張り、血天井と云われる天井血痕などで僅かに偲びましょう。
お寺の昔お嬢さんの丁寧なガイドには聞き惚れますヨ。
残念ながら、今日はここでオシマイ。




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