蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

東京原子核グラブ

2011年05月26日 23時18分32秒 | 日記
今日は、市民劇場の5月例会。

演目は「東京原子核クラブ」(作/マキノノゾミ 演出/宮田慶子)
俳優座劇場プロデュース公演だった。

この作品は、ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎博士の若き日々をモデルに
東京は本郷の下宿屋の住人達の青春の日々を描いたドラマ。

マキノさんの作品は一度観てみたいと思い
とても楽しみにしていたため
カン太の稽古日だったが、団員に自主稽古にしてもらい
会場のホクト文化ホールに向かった。

ホクトの中ホールは残響音が長くて
台詞が聞き取りづらく
演劇人たちには評判の悪いホールだったが
壁面全体にカーテンを吊ることで
残響音を減らすことに成功したと聞いていた。

私は一階席の後ろから二列目中央付近で観劇。
以前より随分声が聞き取りやすくなっていたように感じたが
真中あたりはどうだったのだろうか?
今度、市民劇場の事務局長さんに聞いてみよう。

今回の舞台は、まず、舞台セットが凄かった!
下宿屋のセットなんだけど、二階建てで
屋根もあり、扉の開け閉めも全く違和感がない。
水道もあり、精巧に造られているセットだった。

宮田さんの演出は久しぶりに観劇。
以前観た時はそれほど感じなかったが
今日は、役のキャラが明確に違っていて
そのアンサンブルが見事だった。
最初違和感があったキャラクターも
観ていくうちに、その違和感が説得力に変化。
これは、私にとって一番の収穫だった。

そうか…こういうキャラ作りもあるんだな…と。
そして、あんなキャラクターをいずれ演じてみたいとも思った。

あ!
二瓶鮫一さんが出演していたんですけどね
あの年齢で、あの声量!
そしてアクティブな動き!
感服しました。
努力し続ければ、何歳まででも役者は続けられるんだ…と。

前半は、コメディタッチで時々アザトサもあったけど
テンポよく楽しんで観れた。
後半、日本が原子爆弾製造に躍起になっていく裏側が
登場人物の会話によって語られ
その後、空襲があり終戦…
最後は焼け焦げた下宿屋に変化して終わるのだが…

科学者…というか人間の欲求の恐ろしさはわかるし
第二次世界大戦中に日本が湯川秀樹を中心に
原子爆弾製造を試みていたことも知っていた。
知っていたから物足りなく感じたのか…
うーん…
多分…
もっと愚かさかげんをみたかったんだ、私…
ウランが手に入らない以上、原子爆弾が作れるわけもなく
しかも実験設備もお粗末。
そんな日本が設備もウランも持っている米国相手に
戦争を始め、できもしないものを
自分たちの技術力を過信し
入らぬプライドを持ち続け
果ては、米国に原子爆弾を落とされて…

その辺りが、台詞だけでさらりと流れてしまったため
物足りないと感じたのかもしれない。

理化学研究所と下宿屋の着想は
別の作品でも使えるなぁと思ったり。
ただ、あんな凄いセットは夢幻じゃ当分無理ですが。。

その後、私が10年以上前在籍していた劇団KのMさんとお茶。
彼女には、カン太の外部出演をお願いしていたのだが
その前に、オープンエアシアターの特別出演として
夢幻の作品に協力してくれることになった。

私は劇団Kの演出家をされていたK先生に
物凄く恩を感じている。
私の演劇の基礎は、K先生に教わったと言っても過言ではない。
10代の頃から役者はやっていたが
理論的な演出で、わかりやすく指導して下さったのがK先生だった。
いろんなタイプの演出家がいるので
良し悪しは受け取る側次第だと思うが
私が演出家の仕事をする基礎を培ったのは劇団Kであることは間違いない。
K先生の指導方法を思い起こしながら
私なりに改良を加え、今の私の演出スタイルが出来あがったのだと思う。

あ、造っている舞台は、かなり異なるものですけどね…

自己都合で退団したため、Mさんたちとの再交流まで長い時間を要したが
その間もずっと

  いずれ、劇団Kのメンバーとまた一つの舞台を創れたら…

と密かに思っていた。

今回のMさんの出演により、その実現も夢ではないかもしれない。

こうして以前の仲間たちとの繋がりを復活させながら
新しい演劇仲間との繋がりも広げていくことで
長野の演劇界に大きな波を起こすことができたら…
いい…ですよね♪