蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

合同公演終幕!

2016年06月01日 22時26分30秒 | 日記
長い戦いが終わった・・・

まさにそんな感覚(笑)

先日、無事合同公演を終えました。

ご来場を賜りました皆様、誠にありがとうございましたm(__)m

キャスト&スタッフ&ボランティアスタッフの皆様
大変お疲れ様でした。

この舞台の上演にあたり、ご協力及びご支援を賜りました方々に
深く御礼を申し上げます!

そして、お声掛けいただいた村上さん
これまでにない色々な経験ができました。
本当にありがとうございました!

一昨年の初夏、上山田町の劇団「演劇グループ21」で
作・演出をしている村上さんから
上山田に伝わる義民の話を伺い
その後、台本をいただいたのがきっかけ。

江戸幕府が崩壊し、代わって明治政府となり
日本が大きく生まれ変わろうとしてい時代。
未来への明るい展望を持ちながらも
それまでの政策を大転換するには
犠牲や痛みも必要だった…

国民全体に生みの苦しみで疲弊していた時代。

小平甚右衛門さんもその犠牲者の一人―

史実に残っている実際に起きた農民一揆であり
今も末裔の方々が地元で生活をされていて
明治初期に起きたこの事件の痛みを
ずっと抱えながら生きていらっしゃる中で
この物語を舞台化するのは勇気がいることだ。

夢幻も史実を元にした舞台を製作しているが
それらとは全く異なる毛色の芝居。

重たいシーンが永遠に続く―

私にはこういう台本を書くことが出来ない。

作・演出は、私ではなく村上さん

その村上さんから

 青木さんには、初老のやをさんを演じて欲しい

と。

台本を読んだところ、長い一人芝居のシーンが2つ。

夢幻工房を旗揚げして以来、自分が演出をせず
役者のみに専念出来たことはなかった。

役者をやめるかやめないかで、非常に悩んだ時もあった。

周囲が求めているのは、演出家としての私。

けど、元々役者だった私は、どんなに悩んでも
役者を棄てる・・・ということが出来なくて。

今回の芝居に役者として出演することで
どちらかを決断することが出来るかもしれない。

それに、私の演出しか知らない団員にとっても
他の演出で役作りをしてみるのは
良い経験になるのではないか・・・

それに上山田で舞台を上演するのは初のこと。
夢幻を知っていただく機会になる。

また演劇にご興味がない方でも
史実に沿った舞台であれば
足を運んでくださる方が増えるかもしれない。

それは、私が目指す「演劇を広める」を
推進することになるかもしれない――

しかし・・・

団員が受け入れてくれるだろうか・・・
お客様の反応はいかがであろうか・・・

と、悩みつつ、劇団員に相談したところ
いくつか条件はあったが、了承をもらった。

団員にも出演希望を募ったが
それぞれ諸事情があり
キャストに入ったのが
劇団員だけだったのが残念ではあったが。

その年の秋、演劇グループ21との合同公演が決定。
冬にさしかかったある日、両劇団員の顔合わせを行い
2015年の春に上山田町で公演母体になる
実行委員会を立ち上げることに。

この作品に挑む村上さん、金子さん、宮坂さんの思いを伺い
関わる以上、私も精一杯取り組まねば・・・と。

次の年(2015年)春、実行委員会が発足。

実行委員会に出席した私は
皆様から、舞台に対する期待の言葉をいただき
身の引き締まる思いだった。

そして昨年オープンエアシアターが終わって
秋からいよいよ稽古開始、の予定だったが
夢幻工房は、まつもと演劇祭に参加することになり
11月にはサンクス・ギビング・デーもあったため
稽古に合流したのは12月初旬だった。

各シーン週1回の稽古。

中核を担う役者は決まっていたが
あと4人がなかなか決まらず
オープンエア参加者から3人と
恭子ちゃんが習っている剣舞の先生から
丸山先生をご紹介いただき
全キャストが決定したのが、昨年の暮れ。

暮れから1月にかけては、チラシ製作を行い
上山田公演と長野公演を行うにあたり
やらねばならない制作面の仕事に追われ

 あれ?
 役者に専念するはずだったのでは?

と疑問に思うくらい、雑務に追われて
ちっとも役作りが出来ず、いつの間にか2月に突入。

村上さんから

 みんな台詞を覚えているよ
 一番遅れているのは青木さんだ

と言われびっくり。

まあね。
本番2カ月前に台詞を覚えるなんて
これまでやったことがなかったもので・・・

遅れていると言われれば

 まずい!

と思うよね、そりゃ。

で、ギアを変えて、毎晩徹夜で台詞と格闘。
昼間は他のことで忙殺されていたのでした。

毎日夜中に2~3時間・・・
脳がクラッシュするかも・・・という勢いで
僅か1週間で大量の台詞を脳内に叩きこんだ

覚えようと思えば、覚えられるものだね。

ひとまず、まだ記憶力は大丈夫そう―

と安心したのも束の間、覚えたはずの台詞が
稽古場に行くと、ポコポコ抜ける現象が。。

苦労したのは方言。
方言の台詞のため、覚えにくかったと言うのもあるが
やをさんの心情や感情や心理の流れが出来たころ
いつの間にか台詞が身体に染み付いた。

当たり前のことなんだけど
演出をやりながら役者をやっている時は
ここまで辿り着く時間を取れなかった。

10数年ぶりに思い出した役者の感覚。
有難かったし、これは今後に生きると思った。

元々演出家ではなく、役者だった私は
自分で希望したわけではなく
必要に迫られ演出を行うようになり
必要に迫られ必死で勉強し、今がある。

台本執筆も同様だった。

なので、好きか嫌いかも考える余地なく
必要だからやって来たわけだが
今回他者の作・演出作品に出演したことで
両方とも好きになっていたことに
今更ながら気づいた次第。

これに気づけたのも大収穫♪

なんかね~
もっともっと頑張れそう~

好きこそものの上手なれ

って言うけれど、本当にそうだと思う。

才能があるわけじゃないけど
根っから創作するのが好きなんだ。

地方においては、生活の資本になる仕事をやりながら
あいた時間で演劇をつくる人が圧倒的に多い。

そう考えると、週1~2回ずつの稽古で
作って行くというのが主流なのは当然。

夢幻工房が特殊なんだな、やっぱり。

今更かい!っていう声が聞こた(笑)

だから、やれることが増えているわけで
大変だからこその醍醐味もあるわけで

なんと有難い環境なのだろうと
改めて家族や団員やご支援者の方々に
感謝する日々です。

長野公演で何が凄かったかと言うと

アンケートの回収率!

80%を超える方からアンケートをご提出いただきました。

皆様のご協力に改めまして御礼申し上げます。

その他、たくさんの方からメッセージやメールにて
ご感想を頂戴しました。

有難いことです、本当に。

色々なご意見やご感想はあったけど
概ね好評で終えられ、肩の荷が下りた感じ。

一人芝居のシーンは

 お客様の睡眠タイムになったらどうしよう・・・

と心配だった。

動きもなく、ただただ淡々と語るシーン。

案の定、小さい子たちはみんな寝ちゃったようだけど
それ以外の方々には、ご覧いただけたようだし
「良かった」「引き込まれた」と仰ってくださる方も多く
ようやく「役者をやめない」という踏ん切りがついた。

役者はやめないけど、役者をやるなら
環境を整えないと厳しいということもわかった。

つまり、環境が整ったら、また役者をやる!

裏を返せば、整わなければ
二度と板に乗れないということにもなるが・・・

要するに、やめる、やめないで悩むことをやめた。

ようやく心底スッキリした(^^)

今まで以上に、頑張れそうだ。

さて、残務処理はあるが、制作と宣伝部長に委ねて
私は、オープンエアシアターの台本執筆に入る。
今、私に課せられた最重要事項。

来月のアクトスペースでの児童劇公演の準備もあるが
まずはオープンエアシアターの台本をあげ
その後、一気に児童劇を仕上げる―

夏が終わるまで、休む時間はなさそうだ。