ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

しらまゆみ

2017-12-06 04:19:46 | 短歌





しらまゆみ ひきつる糸を かきたちて 欠けし月夜の いたみこそ知れ





*「しらまゆみ(白真弓)」は「春」や「い」や「ひ」をふくむ言葉にかかる枕詞です。辞書をくって魅力的な枕詞を見つけると、使ってみたくなりますね。活用してください。ちなみに白真弓とは、白木のままのマユミの木で作った弓のことです。

「かき(掻き)」は動詞について語彙を強調する語です。語調を整えるためによく使われます。「かき結ぶ」とか「かき抱く」なんてのがそうですね。今の言葉にも残っています。語感もいいので歌が引き立つ。活用しましょう。

枕詞は普通訳しませんが、この歌では意味を持たせています。

白木の真弓でつくった弓に、引いた糸を断って、欠けてしまったあの、月にたとえられる人の、心の痛みを知ることだ。

こそ~已然形の係り結びですが、現代の語感では命令形に感じますが、意は終止形です。ここは注意しておきましょう。よくまちがいます。

詳しく説明しなくてもわかるでしょうが、あなたがたは、きれいだというだけであの人に弓をひいて攻撃し続けた。あの人は何も知らないようで、多くを知っていました。周りの人の目には気付いていた。だが、すべてをわかってしまうと、生きるのが苦しくなりすぎるので、感覚を閉じ、あまりわからないようにしていたのです。

それでも、世間のそしりとはとどくものだ。何を一生懸命頑張っても、決して周囲は認めてはくれない。まじめにいいことをがんばっているのに、無視され続けている。どういうことになっているかくらい、賢い人ならわかります。

何も知らないふりをしつつも、心に受け続けている傷は深かった。半身を砕かれるほど、痛かった。

だからあの人は、この人生から退いたとたんに倒れたのです。

かのじょがどんなに苦しかったかは、あなたがたも、同じ思いをすればわかるでしょう。一度、万人の人に嫌われて、悪口を言われてごらんなさい。何をがんばっても認めてもらえない、寒い人生を歩んでごらんなさい。その上で、すべてのために働いてごらんなさい。

白木の弓などというと、なんとなく素人をにおわせる。

何もわかっていない人、という意味も、乗せられるような気がしますね。






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