4日行われた森喜朗氏の「女性蔑視」発言謝罪会見―――
「……オリンピック・パラリンピックの精神に反する
不適切な表現だったと認識し、
深く反省している。発言を撤回したい。
不快な思いをされた皆様にお詫び申し上げたい」
冒頭こう謝罪した後、記者との質疑応答に。
その最後の記者とのやり取り。
【ノーカット】森喜朗 東京オリ・パラ組織委会長が釈明会見 “女性めぐる発言”で (2021年2月4日)
「どこがどう不適切だったのでしょうか」
「男女の区別をするかのような発言をしたところです」
「オリンピック精神に反するという話もされていましたが、そういう方が組織委員会の会長をされることは適任なんでしょうか」
「さあ、あなたはどう思いますか」
「私は適任じゃないと思います」
「それじゃあ、そういうふうに承っておきます」
「それで先ほど会長としての発言ではないので
責任が問われないといった発言も……」
「責任が問われないとは言っていませんよ。
場所をわきまえてちゃんと話をしたつもりです」
「組織としての場じゃないから、あの場はよかったということなんですか」
「そうじゃありませんよ。私の発言を全部見てから質問してくださいよ」
※森氏の「蔑視発言」はJOC評議委員会に
名誉委員として招かれ挨拶した際のことだった。
それで「責任が問われない」云々のやり取りになっている。
「それから〝わきまえる〟という表現を使われていましたが、
女性は発言を控える立場だという認識だということですか」
「いや、そういうことではありません」
「なぜ、ああいう発言になったのですか」
「場所だとか、時間だとか、テーマだとか、そういうものに
やっぱり合わせて話していくことが大事なんではないですか。
そうしないと会議は前に進まないのではありませんか」
「それは女性と限る必要がある……」
「だから、それは私も含めてと言っているじゃないですか」
「あと、その前段の段階で……」
森氏、質問を遮り、
「おもしろ、おかしくしたいから聞いているんだろう」
こう切れてしまった。
森氏を組織委員会の会長として適任じゃないと思い、
さらに森氏に失言癖があり、切れやすいタイプの人だと
分かっていれば、ついに辞任にまで追い込んだ、
この会見はまさに記者の思うつぼだったのでは?
随分前の話になるが、テレビの討論番組でのことだ。
「安倍政権は史上最悪の政権だ」と批判したジャーナリストに対し、
司会役のアナウンサーが、
「では対案を示すべきではありませんか」と迫った。
すると、「ジャーナリストは対案を示す必要はありません」と突っぱねた。
そして「コオロギは泣き続けたり嵐の夜」、
これこそがジャーナリストの使命だと続けたのである。
これは信濃毎日新聞の論説委員だった桐生悠々氏の有名な言葉で、
「もし社会が良くない方向に向かっている懸念があるなら
新聞は言うべきことを(コオロギのように)言い続けなければならない」
そういう意味だ。これにまったく異論はない。
ただ、対案を示さないにしても「史上最悪の政権」だとまで判断した、
その理由、基準くらいは示してもらわないと、
やはり「なぜ」と問い続けたくなる。