Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

散り散りの時代

2021年04月24日 12時54分09秒 | エッセイ

      定年から平均寿命まで生きるとして20年余。
      「人生100年」時代であれば、さらに長らえるかもしれない。
      長い──それをどう生きていくか。容易な話ではない。
      おまけに新型コロナウイルスによって、
      これまで慣れ親しんできたライフスタイルは
      大きく変えざるを得ない。
      人の移動は制限され、知人、友人と
      気軽に会うこともままならず、
      娘や孫たち家族との行き来も遠慮がちになる。

       
      ビジネスの世界を見れば、クライアントの元に足繫く通い
      実績を上げていた営業マンは、大いに戸惑わされているし、
      学校ではリモート授業により級友との触れ合いも希薄になる。
      『課長 島耕作』で知られる漫画家の弘兼憲史さん流に
      言えば「散り散りの時代」なのである。

              
      コミュニケーションにおいて、実際に会って
      口振り、仕種、表情などから微妙なニュアンスを
      察知することを大事にしてきた僕なんかには、
      ひどく寂しく、酷な時代だと思えるのだ。
      だが弘兼さんは非情だ。
     「それはごく限られたケースだし、そのニュアンスを
      忖度することは必ずしもプラスになるとは限らない」
      と言うのである。
      そのうえで「これからはビジネス、プライベートを問わず
      ITをうまく利用したコミュニケーションが必要だ」と続ける。
      ITと言われ、僕ら高齢者はまたまた腰が引け気味になる。
      それでも「中高年はITへの苦手意識、
      偏見を捨てなければならない」と容赦ない。
     
      弘兼さんは、高齢者に対しとんでもなく非情な人なのか。
      著作「『老春時代』を愉快に生きる」を読めば、
      そうでないことが、よく分かる。
      本の帯にあるように「『コロナ』で変わった
      『人生100年時代』の歩き方」というものを、
      弘兼流にアドバイスしているのである。

            
      
      定年後の20年、30年を第二の青春時代=「老春時代」と呼び、
      「この老春時代はただ漫然と生きていたのでは訪れない。
      人生の後半期を充実させるために必須なのが、
      ITを上手に使いこなせるスキルだ。さまざまな情報の獲得手段
      としてはもちろん、ビジネスパーソン、家族、友人との円滑な
      コミュニケーションの手段として、
      あるいはエンターテインメントを愉しむ手段として、
      パソコン、タブレット、スマホは欠かせない」
      というのである。
           
           

      またまた難題を突き付けられたような気分なのだが、
      そう言われれば「なるほど」とは思うことも多い。
      弘兼さんの助言に素直に従って、ガラケーから変えたばかりの
      スマホで知人にLINEしてみよう。
           
              
            「元気? 変わりない?」



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