いとおしい。
朝の6時頃、電話が鳴った。病院からだった。車を走らせる。
看護師さんの腕の中に小さな、小さな女の子。
僕の腕にそっと渡された。
初めての孫。こわごわ、わくわく。何だか妙な感覚。
腕にきゅっと力を入れた。

側にいる、その子はもう23歳。
間もなく留学中のアメリカの大学を卒業し、東京にある会社に入社する。
いよいよ、独り立ちだ。
パソコンを開き、「私、こんな仕事をするのよ」と話して聞かせる。
僕の世界を超越し、よく理解できぬまま「頑張りなさい」と返す。
あんな小さな、小さな子が、こんなに大きく成長し、
やがて手の届かないところへ行ってしまうのだろう。
いとおしい。
背中のギターが体をすっぽり隠している。
この子が「僕、ギターやりたい」と言ったのは小学5年生の時だった。
それから高校を卒業するまでミュージック・スクールに通った。
煽られるように僕も同じスクールで歌を習い始めた。
そして、孫との共演が2度実現した。
斉藤和義の「やさしくなりたい」とビートルズの「Something」、
忘れられるはずもない。

高校3年生の時同級生とバンドを組み、
文化祭で青春を思い切り発散させもした。
だが、ギターはそれが最後だった。
大学生になるとギターに代わって、ひどく興味を示したのがファッションだ。
何せ,184㌢の長身。うん、なかなかに格好良い。
モデルまがいの見栄えだ。
ギターをやめたのは残念だが、これも彼なりの生き方。
4月から最終学年となる。
あんな小さな、小さな子が、こんなに大きく成長し、
やがて手の届かないところへ行ってしまうのだろう。
いとおしい。
いよいよ4月から大学生だね。
小学校の校門の前で真新しいランドセルを背に
記念写真を撮ったのは、ついこの間のように思える。
背丈も僕を追い越した。

がんを克服した母が産んでくれた、大事な、大事な一人娘。
そして、この娘が大きくなっていくにつれ、
母娘はまるで友人みたいになっていった。
旅行に行くのもいつも2人一緒だし、娘が高校生になると
母が子に従うようにさえなった。
また、母娘とも「嵐」の大ファン。コンサートにも一緒に行くほどだ。
そんな娘が大学生に。嬉しさ半分、寂しさ半分……。
じぃじ、ばぁばも同じ気持ち。
僕の3人の孫たち。
あんな小さな、小さな子たちが、こんなに大きく成長し、
やがて手の届かないところへ行ってしまうのだろうね。
ううぅ、胸がキュンキュンしちゃいました。
僕は今、長女がお年頃。以前なら「ギューしてぇ!」が「キャー近づかないでぇ!」に変わりました…。
生まれた時は、僕の人差し指が長女の足の長さだったのに、すでにいっぱしの口でツッコミまくりです。
ホント、嬉しさ半分、寂しさ半分です。
同じ市内に住んでいる孫たちですが、小さい時はしょっちゅう遊びに来てくれていたのに、大きくなるにつれ寄り付いてくれなくなりました。自分たちの世界が出来るわけですから、しようがありませんが、やはり寂しいですね。仕方ありません。
どなたも同じだと思いますが、孫のためならどんなことも出来そうな気がします。孫はやはりかわいい。
健康で元気で育ってくれるのがいちばんですね。