Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

また歌います

2021年07月06日 17時00分00秒 | エッセイ


     大塚直之先生、お久しぶりです。
     でも、こうやって思い切り声を出して
     歌うのって楽しいですね。
     年甲斐もなく、うきうき、ドキドキしますよ。


ソウルミュージックの大塚直之先生です

     コロナのせいで、昨年3月から自粛していた
     ミュージックスクール通いを再開した。
     高齢とあれば仕方のないことであったが、
     「書くこと」「歌うこと」を心の支え、
     楽しみとしてきただけに、
     片腕をもぎ取られたような思いで、再開できる日を待っていた。


     それが、2回目のワクチン接種も済ませ、
     抗体ができるとされる日数も過ぎた。
     ならばと、意を決し大塚先生に再開したい旨を伝え、
     まさに足取りも軽く先生が経営する
     「ソウルミュージック」へと向かったのだった。


     1時間のレッスンは、まず声出しから。
     だが、思っていた通りだ。
     何せ、こうやって大きな声を出すのは昨年3月以来のこと、
     満足に出るはずがない。
     おまけに80近い爺さん、
     さらに加えれば生来のかすれ声である。
     情けなくはあったが、これは織り込み済み。
     続けているうちに少しずつだが、出るようになってきた。


    「じゃ歌ってみますか」と先生に促され、
     以前歌っていた歌詞カードから、
     3、4曲引っ張り出してみた。
     先生のギター1本のアコースティックだ。
     浜田省吾の「傷心」、さだまさしの「無縁坂」、
     松山千春の「時のいたずら」はさすがにキーを下げてもらった。


     さらに先生が「洋楽はどうです?」と言われるので、
     「それでは」とパラパラとめくったのが
     「Sound of Silence」だった。
     これは先生とハモることになり、気に入っている曲だ。
     久し振りゆえ、少々心配だったが、大きくミスすることなく、
     歌い切れた。満足、満足。

       ゆるゆると、
         それでも心弾ませながら生きていくことにしよう。





たまにはこんな時間が……

2021年07月03日 15時24分05秒 | エッセイ


     2人の娘は、幾つになったろうか。
     長女には今春晴れて社会人となった女の子と、
     大学4年生の男の子がいる。
     次女の方には大学生になり立ての一人娘。
     何歳と言わなくとも、2人とも立派なおばちゃんである。

          
    
     それほどの年齢だから、もうとっくに「親離れ」しており、
     自分たちの世界を築いている。
     対する親の方はなかなか「子離れ」できず、
     そんな親心に任せて子どもの世界に迂闊に立ち入ろうものなら
     鬱陶しがられ、時には冷たくあしらわれて寂しい思いをさせられる。


     特に男親は哀れなもので、
     そんな年齢になった娘に対する術を見つけきれないのが常だ。
     2人とも福岡市内に在住しており、
     車だと30、40分で行き来できるのだが、
     格別な用事がなければ会うことはほとんどない。

           
     対して母親。
     「親離れ」している娘に対し、「女同士」という武器を使う。
     たとえば、買い物へ行くと、野菜や肉、魚といった総菜類を
     「えらく多く買うな」と思ったら、
     何のことはない娘たちの分まで買っているのだ。
     そして、「○○があるよ。いるなら持って行こうか」と電話する。
     娘たちも主婦なのだから、
     少しでも家計の足しになるとあれば、むげには断らない。
     娘たちに会いたいがための母親なりの手口に違いなく、
     男親は内心にやにやしながら、
     妻と食材を乗せ、娘宅へ急ぐことになる。


     この日も同様の手口で野菜類、
     それに乃が美の高級食パンを長女宅へ届けた。
     長女は自宅でネット通販会社を営んでおり、
     妹である次女がそれを手伝っている。
     親にすると、姉妹が仲良く一緒に
     仕事をしている姿を見るのは何よりのことである。
     ちょうど昼時、久し振りに親娘4人が買ってきたパンをかじり、
     コーヒーを飲みがら談笑した。

           
     
     会話はやはり家計のこと、子どものことになる。
     利殖の話になると、母親がちょっとした指南役となり、
     何かとアドバイスする。
     女3人の会話に男親はなかなか割り込めない。
     「まあ、いいか」
     娘たちがつつがなく暮らしてくれれば言うことはない。
     1時間半ほど──何物にも代えがたい心和む時であった。
     もう一度、「まあ、いいか」