【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

教育

2012-04-28 19:15:09 | Weblog

 何かを教え込むことも必要でしょうが、それはいわば“肥料”であって、そこにどんな種(自分の人生の目標)を蒔くかを自分で決める力を持てるようにすること、そしてそこに蒔いた種をきちんと育てる(目標を達成する)力を持てるようにすること、それが教育の目標なのではないかと私は考えています。「いつどんな種を蒔き収穫をいつやってどのくらいの収量を得るか」を全部他人が指示するのは、「教育」ではなくて「ノルマ」でしょ?

【ただいま読書中】『海上保安庁の仕事につきたい!』私の職業シリーズ取材班 著、 中経出版、2011年、1200円(税別)

 24歳の下真也(しもしんや)という青年の中学生時代から話は始まります。小学生の時プールで25メートルも泳げなかった少年が、中学時代にあるきっかけから「人を救う職業」に憧れを感じ、高校で目標を海上保安大学校に絞ります。勉強が苦手だったのに目標が定まると猛勉強も苦ではなくなります。見事に合格(ちなみに、海上保安大学校の学生は、すでに国家公務員です。ですから試験は「入試」ではなくて「学生採用試験」だそうです)。他にも海上保安官になる道は、海上保安学校・有資格者を対象とした海上保安官採用試験・国家公務員一種採用試験があるそうです。
 海上保安官の仕事は多岐にわたります。海上の治安維持・海難救助・海上交通の安全確保・海上防災や海洋環境保全……「海の警察官」「海の消防士」さらには「海の環境省」まで兼ねているようです。
 大学は全寮制。その日課は、見ただけで「きっつー」と言いたくなるものです。でも、これは“スタート”にすぎませんでした。下さんは学生時代に潜水士になろうと決心し、さらにハードな訓練に突入していきます。そしてついに憧れの潜水士に。しかしそれが“ゴール”ではありません。次に下さんが目標にしたのは、海難救助のスペシャルチーム「特殊救難隊員」です。この訓練がまたハード。どことなくイギリスの特殊部隊の訓練を思わせる部分もあります。
 しかし……潜水士が(死体の回収ではなくて)「生きている人」を救助できるのは在職中に一回あるかどうか、だそうです。そのためにここまで毎日ハードな訓練をするとは、本気で「有事に備える」のは大変なことなんですね。
 他にも、通信士・通訳士・航海士・灯台守・機関士……いろいろな「海上保安官」がいます(原子力発電所の警備をやっている保安官もいます)。それらからいくつか具体的に「どうやってその職に就いたか」が紹介されますが……人の人生って、本当に様々なんですね。一直線の人もいれば紆余曲折の人もいます。そういった「様々な人の集団」だからこそ「総合力」で勝負できるのかな。