【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

西部劇

2020-03-10 06:49:24 | Weblog

 東部劇ってないのか?と子供時代の私は不思議に思っていました。

【ただいま読書中】『アメリカ西部開拓史』スコット・スティードマン 著、 マーク・バーギン 画、 猿谷要・清水真里子 訳、 三省堂、1994年

 「アメリカ西部開拓」と言われたら、私がすぐ思い出すのは「幌馬車」「インディアン」「ゴールド・ラッシュ」「大陸横断鉄道」「西部劇」です。
 ヨーロッパから白人がやって来るようになってから19世紀末まで「アメリカ」国内ではずっと戦いが続いていました。各国からやって来た植民者はお互いに戦い、インディアンと戦い、イギリスやメキシコと戦い、南北戦争もありました。その戦いの拠点となったのは「砦」でした。最初は、軍隊のキャンプ地だったり小さな村を木の防柵で囲ったものでしたが、やがて賑やかな町に発展するところもありました。そういえばパリも最初はローマ軍の駐屯地だったのが町に発展したものでしたっけ。
 「インディアン」と雑に言いますが、北アメリカの先住民は300以上の部族に別れていて、何種類もの異なる言語を話していました。その中でもっとも強力だったのは現在のメキシコに住んでいたアステカ族です。そこに入ってきた入植者は、自分たちで勝手に「法律」を作りそれに基づいて土地の所有権をやり取りしました。もちろん先住民の許諾などきちんと取りません。当然トラブルが多発。「インディアンの襲撃」から自分たちを守るため、砦がどうしても必要になったのです。
 本書には「砦の建築」が図解されていますが、日本の山城とは全然違った発想で建設されていることがよくわかります。律令国家時代に朝廷が東北に建設した砦と発想は近いかな。
 開拓者の小屋も図解されています。最も簡単なのは丘の斜面をくりぬいた芝土の家ですが、これは『大草原の小さな家』にも出てきましたね。そういえばあのシリーズも、一家が州を越えてあちこち引っ越していましたっけ。
 そして、1848年カリフォルニアで金が発見され、人びとの奔流は西を目指します。そして、中国や日本では、アメリカ西海岸を目指す「東への人の流れ」も始まっていました。アメリカの西部開拓は、実は日本にも大きな影響を与えていたのです。