貯蓄に回させない
「新型コロナウイルス、第三弾の緊急経済対策はどうなるか?」(ニッセイ基礎研究所)
》現金給付や所得税減税なども検討の俎上にのせられるだろうが、それらは貯蓄に回りがちなため、より積極的に消費者の背中を押す仕組みが必要になってくる
一番手っ取り早いのは「一箇月間消費税0%」でしょうが、これは金持ちばかりが大喜びしそうですね。貧乏人が大喜びしそうでしかも「貯蓄に回り」にくそうなのは、ベーシックインカムのようなものでしかも期限付き(「早く使わないと損をするぞ」)のもの、たとえば有効期限1箇月の10万円クーポンを全国民に一律に配布。これだったら、私は大喜びで、さっさと使います。大金持ちは「なんだ、一人10万円か」でしょうけれど。
【ただいま読書中】『ソフトウェア博物誌 ──世界と機械の記述』マイケル・ジャクソン 著、 玉井哲雄・酒匂寛 訳、 トッパン、1997年、3400円(税別)
ソフトウェア開発を「体験」ではなくて「体系」によって行うべき、と世界に示してきた著者の、一種のエッセイ集です。
「階層構造」は、プログラム開発に無関係の人間でも楽しめます。会社の組織図とか、世界の階層構造とか、そういったもので世界の理解が楽になる、と言われたところで「ネットワーク構造は?」と茶々が入ります。固定的で、トップダウンあるいはボトムアップにしか情報が流れない階層構造ではなくて、流動的なネットワーク構造は記述が非常に難しくなります。だけど、「本当の世界」はどのように構成されていましたっけ?
そう、ソフトウェアは世界に関する記述ですが、世界そのものではないのです。しかしソフトウェア開発は、世界の一部を作り世界を変えていきます。
本書はソフトウェア開発の視点から世界を次々記述します。それはまるで世界をプログラミングしているかのようです。「宇宙は数学の言葉で書かれている」はガリレオ・ガリレイの言葉ですが、「世界はプログラミング言語でも書くことができそうだ」が著者の考えなのかもしれません。考えてみたら、私の専門領域でも同じこと(「世界は○○学の言葉で書かれている」)ができそうです。ただ、異業種の人に楽しんでもらえるように記述できるかどうかはわかりませんが。
そういえば、20世紀末頃、やたらと「オブジェクト指向」という言葉が流行りましたが、その意味を本書で私は初めて知ることができました。ありがたやありがたや。