「エスキモー(イヌイット)は雪の名前を○種類持っている」という文章は、“伝言ゲーム”で「○」の部分の数字がどんどん大きくなっていった、という話をきいたことがあります。実際に聞き取り調査をしてみたら“真実”はわかると思うのですが、誰かきちんとやってみませんか?
【ただいま読書中】『雨の名前』高橋順子 著、 佐藤秀明 写真、小学館、2001年、2400円(税別)
面白い本です。「日本にはこんなに『雨の名前』がある」と辞書的に列挙するだけではなく(もちろん本書の多くの部分はそういった「列挙」ですが、その解説が一つ一つ入念に手を入れられています)、著者のエッセイや古い和歌の引用が効果的にはさまれ、さらに各ページにきれいな「雨の写真」が載せられています。この写真がまた「苦労しただろうな」と思うものです。撮影の時にはずぶ濡れになるでしょうし、「雨の写真」といっても、漫然と撮影したらただの「妙に薄暗い風景写真」にしかなりません。だからといって「雨粒」をアップで撮るだけではしかたない。文章の内容とも響きあうように、さまざまなバリエーションで撮影された写真をぼーっと見ているだけでも、幸せになれます。
本書は、各季節ごとに分けられた章が4つと、最後に「季(とき)知らずの雨」の全5章で構成されています。索引を見ると、「雨の名前」が5ページにわたってぎっしりと、421も挙げられていました。知らない言葉も多いのですが、それでもなぜか馴染みを感じます。私個人がそういった雨の多くを経験してきたからでしょう。そして、写真をながめていると、「雨」は日本では、単に「気象現象として」だけではなくて、季節や風土とも密接に言葉を介して結びついていたものなんだなあ、と感じることができます。別に知識だ教養だ、と身構えなくても、ぼんやりと感覚的に「日本の風土」を身近に感じる時間を楽しめる本でした。
【ただいま読書中】『雨の名前』高橋順子 著、 佐藤秀明 写真、小学館、2001年、2400円(税別)
面白い本です。「日本にはこんなに『雨の名前』がある」と辞書的に列挙するだけではなく(もちろん本書の多くの部分はそういった「列挙」ですが、その解説が一つ一つ入念に手を入れられています)、著者のエッセイや古い和歌の引用が効果的にはさまれ、さらに各ページにきれいな「雨の写真」が載せられています。この写真がまた「苦労しただろうな」と思うものです。撮影の時にはずぶ濡れになるでしょうし、「雨の写真」といっても、漫然と撮影したらただの「妙に薄暗い風景写真」にしかなりません。だからといって「雨粒」をアップで撮るだけではしかたない。文章の内容とも響きあうように、さまざまなバリエーションで撮影された写真をぼーっと見ているだけでも、幸せになれます。
本書は、各季節ごとに分けられた章が4つと、最後に「季(とき)知らずの雨」の全5章で構成されています。索引を見ると、「雨の名前」が5ページにわたってぎっしりと、421も挙げられていました。知らない言葉も多いのですが、それでもなぜか馴染みを感じます。私個人がそういった雨の多くを経験してきたからでしょう。そして、写真をながめていると、「雨」は日本では、単に「気象現象として」だけではなくて、季節や風土とも密接に言葉を介して結びついていたものなんだなあ、と感じることができます。別に知識だ教養だ、と身構えなくても、ぼんやりと感覚的に「日本の風土」を身近に感じる時間を楽しめる本でした。