「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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震災、津波に襲われ、奇跡的に助かった石巻の若者が、北海道・夕張で、福島の子ども支援に取り組む決意。

2013-06-02 15:24:30 | 福島第一原発と放射能

  原発事故、津波、どちらにしても、今回の震災は大きな爪痕を残しました。しかし、一番重要なのは、復興復興といった掛け声で、誤魔化しの復興をすることでは、毛頭ありません。原発事故のおこした放射性物質の拡散が、どのくらい広がっていて、それによる健康被害がどの程度は考えるべきなのか、これより重要な話はありませんが、医学者でもない東大教授が、率先して隠ぺいし、安全宣言の御先棒を担ぐ事態は、この国の知識人や大学教授といった「権威」が実際に優れているというよりも、国や特定勢力の追認を続けることでしか、実は存在価値がないことをまざまざと見せつけてくれました。

 そうした勢力に、さらに追随する一部の一般の人達の動向を見ていると、長いモノには巻かれろというのは、日本の隅々に行きわたっていて、一見、反対の言説を弄する人々の中にも、実は相手側にとりこまれている人もいますし、そうした権威側の言説と追随して、匿名で他者攻撃を繰り返している輩が大変に多くて、この日本人の意識の病をいつも感じています。

 また、津波に関しても同じことで、津波の危険というのが、日本国内で、映像もこれほどまでにリアルにかんじられたことは、初めてでしょうが、この津波危険から、沿岸部の町を現実的にどう守るのかという取組は実は二の次になっています。仙台市若林区で、ふつうの住宅地が津波で根こそぎ壊滅している状態を、現地でも確認していると、沿岸部に大量居住した都市機能を置きつづけることが、日本で今後本質的に可能なのだろうかという思いは拭えないままです。また、同じことが、他でおきるのではないのかと。

 3.11.の時に、宮城県石巻市で被災した30歳の青年が、その後に北海道・夕張へ避難、永住を決めたそうです。彼は事務所で洪水の水に首までつかりながら、流されていく自分の車を見ていたそうです。たぶん助かったのは奇跡的に幸運だったからでしょう。

「原発の事、放射能のことを考えると、この地を捨て、新天地で自分の人生をやり直したい、落ち着いたら家族も呼び寄せたい」そういう思いで、夕張への避難・移住を決められたそうです。夕張が津波がありえない地域ということもあります。そして、この若者は『夕張夢再生館』という支援ネットワークで、現在、福島の子どもたちの保養支援に取り組んでいます。

 僕には、夕張という地域が、日本のエネルギー政策の結果、捨てられた街となり、日本で最も経済的に破たんした自治体と認識しています。この夕張で、津波で奇跡的に助かった石巻の若者が、原発事故で過酷な状態にある福島の子ども支援をしているという構図。

 

 日本という国の、そして東京とは、違う断面を認識することが、今の僕にも、貴女にも、必要な気がしています。


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1.夕張への移住

 3.11当時私は、石巻に住んでいました。仕事先で被災し、地震から約2時間後、津波が会社を襲いました。(会社は海から約1.5Kmくらいのところでした)幸いあと数10㎝のところで難を逃れ、助かることができました。しかし、目の前で自分の車が波にのまれる様子を見て、本当に現実なのだろうかと疑いました。

 私は、今回の震災で、自然の驚愕した力をまざまざと見せつけられ、決して人は自然にかなわないことを悟りました。

 福島の原発で事故が起きたことを知り、恐ろしいことになったと思いました。当時、原発は安全といわれていましたが、事故が起きれば、致命的な結果を招くことになることは知っていました。石巻も、近くに女川原発があり、いつ事故が起こってもおかしくないと感じました。これだけ大きな地震が起こった後、必ずまた余震として大きな地震が起こることは知っていましたので、女川も危ないと思い、私は、恐怖で石巻を離れねばならないと感じました。

 そこで、新たな移住先を考えました。まず、西か北のどちらに移住すべきかと思い、かつて、短い間でしたが北海道に暮らしたことがあり、そこの人たちの温かさがとても印象的でしたので、北海道を移住先としました。次に、津波の心配のない場所を考えました。そこで、被災者支援受け入れ先に夕張市がありました。夕張は、数年前に財政破綻をし、そのときのニュースが記憶に残っていました。財政破綻で苦しいにもかかわらず、被災者の受け入れをしてくれる夕張市に感銘を受けました。また、全国で最年少市長が誕生させた夕張市民に期待を抱き、こんな私でも、必要としてくれるのではないかと思い、夕張市と何度か連絡をし、2011年5月13日に移住しました。

また夕張市はかつて炭都として隆盛を誇り、沢山の方が暮らしていたので、私のような移住者を受け入れる住宅なども多いのではないかと思いました。

 私は、今回の震災を経験しますます今後に危機感を抱いています。震災の大きな余震が再び東北を襲った場合は、石巻に暮らしている、家族・親族を夕張に呼び寄せようと考えています。まだまだたくさんの人が住める夕張であるからこそそれは可能と考えます。

 

2.被災者支援夏休みふれあいツアー実施

 夕張に移住するまでの間は、知人や友達の支援や、震災ボランティアの皆さんのご支援、また、義捐金など多くの人たちにお世話になりました。石巻では、余震の恐怖におびえながら、前向きな行動ができませんでしたが、夕張に移住後は安心した生活が送られるようになりました。このような震災から助かったことで、生かされていることを自覚しました。震災当日、家に帰ることはできないと思い駐車場の車の中で仮眠を考えていましたが、その選択をしなかったことで生きることができました。そのような結果からも私は生かされたことの意味を考え自分なりに果たすべき役割があると考えました。

震災の体験を通して、今後は自分なりに人のお役にたてるよう行動したいと思いました。最初は、震災体験についての講演などを開催し、防災に関して市民の方に伝えるようなことをしてきました。

 夕張の皆さんと一緒に様々な市民活動を通して、未だ不安に暮らしている現地の方々に対して、何かできないかと思うようになり、昨年の夏に福島から5組のご家族を招き約1週間夕張を中心とする保養ツアーを行いました。

 参加者の子どもたちが安心して、満面の笑みを浮かべ、外で遊んでいる様子を見ると、思わず涙が出そうになるほどうれしく思いました。震災前、外で、子どもたちが楽しく遊ぶことは当たり前であったことが、震災後できない世界になってしまったことを考えると、私たち大人の責任はいかに重いと感じます。

 参加者の皆さんに福島の現状をお聞きすることができたのですが、想像以上に困難な状況であることがわかりました。このお話を聞き、このツアーは今後も継続していかねばならないと思いました。

 昨年初めて行なった保養ツアーですが、参加者の皆さんには大変感謝いただくことができました。また、このツアーは、夕張の様々な分野の方が一体となって協力できた活動でもあります。このツアーは、参加者の皆さんだけではなく、私たち夕張市民にとっても大きな成果を得ることができました。

 今回のツアーは、今まで別々の活動をしていた団体などとも結びつくことができ夕張の市民グループがいっしょになって同じ活動ができました。夕張市は財政破綻から脱却しなければなりません。しかし、そのためには様々な課題があります。その課題を乗り越えるためにも、市民が一体となって協力して活動することが重要です。今回一体となって協力できたことは今後の夕張の活動においてその意味で大きいと思います。

 

3.被災者支援プロジェクトへの想い

 私が夕張に移住して二年が経ちましたが、この二年間、安心した生活を送ることができました。夕張という地域は、地震の非常に少ない地域であり、また、採炭地でもあることで、地盤も強い場所でもあります。地震に関して不安な毎日を送っている方々にとっては安心が得られると思います。

 また、夕張市は、かつて炭鉱町として栄えましたが、国のエネルギー政策の転換で急激に衰退することになってしまいました。現在、原発事故で大変な思いをされている福島の皆さんも、結局は国のエネルギー政策によって被害を受けたと思います。つまり、夕張も福島も国のエネルギー政策による被害を受けた地域です。だからこそ、夕張市民は、他の地域よりも福島の皆さんの辛さが理解できると思います。

 私が、夕張へ移住した当初、炭鉱について学んだ際に現在の福島原発事故と夕張の炭鉱とが同じ構図であると思いました。

 戦後、日本は経済重視の社会を築き、物質的豊かさを求めました。しかし、逆に精神的豊かさは失われていったと思います。今後は、この精神的豊かさの方を重視すべきだと思います。便利さを求めてきましたが、ある程度不便であることも必要だと思います。さらに、私たちは、自然と対峙するのではなく自然と共生すべきであると思います。自然の素晴らしさに感謝し、自然と共に生きていくべきだと考えます。夕張には、便利な施設のかわりに、雄大な自然があります。今回のツアーに参加いただける方にはその自然を満喫していただきたいと思います。特に、子どもたちが笑顔あふれるよう自然を楽しんでいただきたいと思います。その笑顔が、私たち、夕張市民にも大きな力を与えてくれると確信しています。

参加者の皆さんが、今後も夕張を訪れたいと思うようなツアーを実施したいと思います。夕張に皆さんをお招きすることで、私たち夕張市民も財政破綻からの再生に向けて行動する力を与えていただけるのです。

 今後の私たちにとって、かけがえのない財産は、これからの将来を担う子どもたちとこれから生まれてくる子どもたちです。そのような子どもたちが危機にさらされている現在において、その子どもたちを危機から救うことこそ我々大人の責任ではないでしょうか。

本来は、国が主体となって行なうことだと思いますが、もうこの国は残念ながら大人の責任を放棄しています、ならば、このように考えて行動する私たちが行なっていくしかないのです。

 私は、そのような想いから、何としてでも、今回のプロジェクトを達成したいのです。

現在、クラウドファンディングという方法を用いて資金を集めていますが、残り2週間を切りまだ目標金額の半分も集まっておりません。私たちが未熟であることは十分承知の上で皆さんにご支援をお願いしたいのです。資金提供いただいた方は、ご支援いただいた額に応じて、夕張特産の品と交換することができます。

 あて先は以下です。(クラウドファンディングホームページ)

https://readyfor.jp/projects/yubari-yumesaiseikan_in-summer

 私たちのこの被災者支援プロジェクトは、今後の夕張のまちづくりにとっても大きな結果を得ることができると思います。皆さんのご支援が、被災者の皆さんのお役にたつと同時に、財政破綻した夕張の再生にもつながります。ご支援のほどよろしくお願いいたします。

被災者支援ネットワーク『夕張夢再生館』副代表     橋章郎 


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 ここからは皆さんの自由意志の話ですが、夕張は、ご存知の通り、借金だらけの自治体で、福島の保養ツアーを行うのにも、わずか数十万円の工面が難しく、苦境だそうです。この男性の文中にあったクラウドファンディングというネット上で集める手法も苦戦しているそうです。ネットに長けている方は、先ほどのページにアクセスして下さい。

それよりも次のページで、http://www.yubarisaisei-shiminkaigi.org/

 この男性が副代表をしている『夕張夢再生館』のロゴが出ている下に募金のゆうちょ窓口が明示されています。支援方法としては、こっちのほうが簡単だろうと思います。

  この方たちのことは、つい先日までは、僕は全く知りませんでした。でも、話の中身を確認して、このメールも読んで、掲載することに致しました。

 こうした支援されている夕張の方からは、国のエネルギー政策に翻弄され、ひとたび事故(石炭採掘現場では重大事故は過去に多かった)があれば、身内や知り合いの生死を確認するまで夜も眠れない・・・そんな生活をしてきた夕張市民だからこそ、福島の現状を見過ごしにできない、何かでお役にたちたい・・・そんな思いで活動しています」ということばも、僕には届いています。

 勿論、「お金のないやつが支援するな」的な言説を吐かれる方もいると思います。でも、本当にそうなのでしょうか。福島は特に、北海道には親和性が高い。昔から多くの福島の人達は、北海道移住をした親族がいて、土地的ななじみがある。気候的にも理解しやすい。そうした場所には、行きやすいことは事実です。

 さらに、夕張という街の役割を考えた時に、日本のエネルギーの中核を担った地方が捨てられ、人口が激減し、それが壊滅的になったときに、再生可能性はあるのかというテーマを抱えていることにもなります。そうすると、この場合、こうした人が多く住むことのできる物理可能性がある場所に(過去はそうでした)、再び多くの人々が移住してくるようになったら(但し、僕は保養は入り口にしか過ぎない、移住推進の立場です。明確に。)、やはり新たな可能性が見いだせることになります。

 石巻で危うく難を逃れた若者が、福島の子どもを助けたいために、夕張を活性化させようとする話が成立するのか、否か。

日本という国の在り様が、ある意味では、わかるストーリーだと僕は感じています。 


貴女はどう思いますか?


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こちらも大阪の在り様が、そして日本の在り様が、違う意味でわかる話です。
橋下市長リコール問題などにも言及します。皆さんの意見も伺います。

 

【6/8(土)木下黄太講演 IN 大阪】   

 「大阪ガレキ問題から考える放射能汚染」

 橋下市政で揺れ動く大阪市で、開催します、木下黄太講演会。 

大阪市が4人の逮捕者を出しながら、市民の強い反対の中、強硬に推し進めた被災地瓦礫の受け入れ。只今、焼却が小休止しています。 中国から飛来する黄砂やPM2・5の数値の悪化の報道の中、大阪の大気汚染の実態は、ほんとうのところどうだったのか?鼻血、ぜんそくの悪化、呼吸困難、皮膚病の悪化など、健康被害についてのレポートもあります。
がれきの焼却による、水や農産物の放射能の汚染は、どこまで広がるのでしょうか?そのリスクは? 

 

5/25~6/13まで、ガレキ焼却がストップしている期間なので、大阪開催に踏み切りました。  

日時:2013年6月8日(土)13:15開場 13:30開演 16:00 終了予定   

会場:天王寺区民センター ホール   

残席22席ほど。

申込詳細はこちらへ⇒http://kokucheese.com/event/index/91250/


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橋下氏の弁護士としての懲戒請求の署名は、全国から提出できます。
 
懲戒請求書本文

送付先⇒「〒530-0047 大阪市北区西天満6-7-4 大阪弁護士ビル6F603

弁護士法人 大手前ノーベル法律事務所大阪事務所」

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ブログ記事にコメントしたい方は、メールタイトルは統一して⇒「ブログのコメント」

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僕の方でこうしたコメントのうちで、僕が意味のあると判断したものだけ、1と2のみを明記し、ブログ記事の一番後ろに加えてゆきます。コメントの掲載されるのがどの記事なのかに関しては、僕の都合になります。

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コメント

 

1.ミーコ

2.木下様、いつも、読ませていただいております。本当に活動ありがとうございます。こちらは、別に載せても、載せなくてもどっちでもいいのですが、今日行った映画の感想です。
名探偵コナン。いつも、子供に連れられて一緒にいきます。大人がみてもとっても楽しんで観れる内容です。
ところが、今回の内容が、イージス艦の見学のときに起こる事件の話なのですが、イージス艦はこんなに、すごいんだ、防衛省やら、海上保安庁やら、日本の国を守るんだとか、あの国のスパイやら、、、もしかして、これは無垢な子供を軍国主義国家の頭に洗脳するためにアニメを使い出したのかとおもってしまいました。
やたらとでて来る日本国旗。私の思い過ごしでしょうか?
サザエさんを使っての洗脳やら本当におもったことを口にできない世の中になってきている気がしました。

 

子供にそれを気づかせるべきか、長いものに巻かれよと、教えていくべきか、、。