雄大な自然が広がるアイスランドの小さな漁村。
思春期に差し掛かった少年たちは船着き場で上半身裸になって日の光を楽しんでいる。
その中で小柄なソールだけは、きちんとTシャツとズボンを穿いてみんなから「脱がないのか?」とからかわれても素知らぬ顔。
ソールはまだ大人になっていない自分が恥ずかしい。
そのうち、魚の群れを見つけてその辺りにある棒きれや縄で魚を捕り始める彼ら。
捕った魚の頭はすぐにぶつけて跳ねないように殺してしまう。
美しい魚の中で偶然に釣れてしまった一匹のカサゴ、「醜い魚だな、まるでクリスティアンみたいだ。」
みんなで、それを代わる代わるいたぶって殺す。
そこにはすでにクリスティアンが異質な人間であると言う予兆があります。
前半は、決して少年時代が美しいものなどではなく、
芽生えた自我を持て余しながら、少年たちが残酷な仲間の中でいかに上手くはみ出さないように生き抜くか
と言う様子が描かれています。
父親は出て行き、母親と姉二人とで生活しているソールと、両親は揃ってはいるけれど暴力的な父親に悩まされているクリスティアンは親友。
2人は誘い合って、女の子の話をしたり、廃車置き場で遊んだり、酪農の仕事を遊び半分に手伝ったり、といつも一緒。
クリスティアンは、何くれとなく細やかにソールに寄り添う
ソールが興味を持っているベータと言う女の子とソールが上手くいくように応援しているクリスティアン。
だが次第に、ベータと上手くいくソールの様子に胸が苦しくなっていく。
このソールへの気持ち、どうすればいいんだろう
もしソールにそのことがばれてしまったら、友達でいることすら出来なくなってしまう
それに、この閉鎖的な村で自分の異質なセクシャリティを知られてしまったらどうやって生きて行ったらいいのか分からない
しかし、次第にソールへの思いが抑えきれなくなっていくクリスティアン。
自分の好きな人の視線が、誰か別の人へと向けられる、、その心の痛み、若かった頃を思い出しました。
何とか、隠し通してまたソールと上手くやって行こうとするクリスティアンの思いを敏感に感じ取り
慰めようとするソールの姉に「もし、あなたがそういう人間であったとしても何も恥ずかしがることはないのよ。」と言われたことから
事件は起こります。
若い心は危うく常に死と隣り合わせ。
彼の取った行動に傷つき苦しむソール。
映画初出演ながら、ソールを演じたバルドル.エイナルソンの繊細な演技が素晴らしいです。
そのうち、どこからともなくクリスティアンが遠くへ引っ越すと言ううわさが流れる。
ベータの助けもあって、まだ傷が癒えずベッドで寝ているクリスティアンに会いに行くことが出来たソール。
「君に会いに行くよ。」クリスティアンのおでこにそっとキスするソール。
娯楽施設などほとんどないどこまでも過酷な自然が広がっているだけのこの地から、抜け出して会いに行く事なんかできるのだろうか、、
映画を観た方は、誰もが一瞬そう思ったかもしれないけれど、いつか再び出会える日が来る、私はそう感じました。
そして、最後、ソールが海を眺めていたらまだ小さな少年が釣りをしている場面が
その少年が釣り上げたのはカサゴ、「こんなのいらない。」と海に投げ捨てられたカサゴは、すいすいと沖へと泳いでいくのです。
そして、カサゴをクリスティアンに重ねたのでしょうか、その様子を見て微笑むソール。
切ないけれど希望が感じられるラストシーンが心に残りました。
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向かって右がソール、左がクリスティアン
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映画に出てくる自然は、美しいと言うよりは厳しく閉鎖的な感じを抱かせる自然でした。
ソールが断崖絶壁を体に綱を付けて降りていき、カモメの卵を採りに行くシーンがありましたが、
そうやって色々と経験しながら過酷な自然の中で生きていく術を身につけるんでしょうね。
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おませなベータとその友達
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ソールのお姉さん2人は、この映画を撮ったグズムンドゥル.アルナル.グズムンドン監督の実のお姉さんがモデルらしいです。
下のお姉さんは、映画の中でもファンタジックな詩を書いたり不思議な絵を描いたりする芸術家肌のように描かれていますが
実際も画家でいらっしゃるそうです。
アイスランドでは、小人や妖精、悪神が登場する神話が多く存在し、子供の教育上で重要な位置を占めているらしいです(監督のインタビューから)
ベネチア国際映画祭で最優秀LGBT映画賞を受賞したそうですが、それほどLGBTにスポットを当てた映画ではなく
普通に切なく美しい青春の一こまを切り取った映画だと思いました。
思春期に差し掛かった少年たちは船着き場で上半身裸になって日の光を楽しんでいる。
その中で小柄なソールだけは、きちんとTシャツとズボンを穿いてみんなから「脱がないのか?」とからかわれても素知らぬ顔。
ソールはまだ大人になっていない自分が恥ずかしい。
そのうち、魚の群れを見つけてその辺りにある棒きれや縄で魚を捕り始める彼ら。
捕った魚の頭はすぐにぶつけて跳ねないように殺してしまう。
美しい魚の中で偶然に釣れてしまった一匹のカサゴ、「醜い魚だな、まるでクリスティアンみたいだ。」
みんなで、それを代わる代わるいたぶって殺す。
そこにはすでにクリスティアンが異質な人間であると言う予兆があります。
前半は、決して少年時代が美しいものなどではなく、
芽生えた自我を持て余しながら、少年たちが残酷な仲間の中でいかに上手くはみ出さないように生き抜くか
と言う様子が描かれています。
父親は出て行き、母親と姉二人とで生活しているソールと、両親は揃ってはいるけれど暴力的な父親に悩まされているクリスティアンは親友。
2人は誘い合って、女の子の話をしたり、廃車置き場で遊んだり、酪農の仕事を遊び半分に手伝ったり、といつも一緒。
クリスティアンは、何くれとなく細やかにソールに寄り添う
ソールが興味を持っているベータと言う女の子とソールが上手くいくように応援しているクリスティアン。
だが次第に、ベータと上手くいくソールの様子に胸が苦しくなっていく。
このソールへの気持ち、どうすればいいんだろう
もしソールにそのことがばれてしまったら、友達でいることすら出来なくなってしまう
それに、この閉鎖的な村で自分の異質なセクシャリティを知られてしまったらどうやって生きて行ったらいいのか分からない
しかし、次第にソールへの思いが抑えきれなくなっていくクリスティアン。
自分の好きな人の視線が、誰か別の人へと向けられる、、その心の痛み、若かった頃を思い出しました。
何とか、隠し通してまたソールと上手くやって行こうとするクリスティアンの思いを敏感に感じ取り
慰めようとするソールの姉に「もし、あなたがそういう人間であったとしても何も恥ずかしがることはないのよ。」と言われたことから
事件は起こります。
若い心は危うく常に死と隣り合わせ。
彼の取った行動に傷つき苦しむソール。
映画初出演ながら、ソールを演じたバルドル.エイナルソンの繊細な演技が素晴らしいです。
そのうち、どこからともなくクリスティアンが遠くへ引っ越すと言ううわさが流れる。
ベータの助けもあって、まだ傷が癒えずベッドで寝ているクリスティアンに会いに行くことが出来たソール。
「君に会いに行くよ。」クリスティアンのおでこにそっとキスするソール。
娯楽施設などほとんどないどこまでも過酷な自然が広がっているだけのこの地から、抜け出して会いに行く事なんかできるのだろうか、、
映画を観た方は、誰もが一瞬そう思ったかもしれないけれど、いつか再び出会える日が来る、私はそう感じました。
そして、最後、ソールが海を眺めていたらまだ小さな少年が釣りをしている場面が
その少年が釣り上げたのはカサゴ、「こんなのいらない。」と海に投げ捨てられたカサゴは、すいすいと沖へと泳いでいくのです。
そして、カサゴをクリスティアンに重ねたのでしょうか、その様子を見て微笑むソール。
切ないけれど希望が感じられるラストシーンが心に残りました。
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向かって右がソール、左がクリスティアン
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映画に出てくる自然は、美しいと言うよりは厳しく閉鎖的な感じを抱かせる自然でした。
ソールが断崖絶壁を体に綱を付けて降りていき、カモメの卵を採りに行くシーンがありましたが、
そうやって色々と経験しながら過酷な自然の中で生きていく術を身につけるんでしょうね。
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おませなベータとその友達
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ソールのお姉さん2人は、この映画を撮ったグズムンドゥル.アルナル.グズムンドン監督の実のお姉さんがモデルらしいです。
下のお姉さんは、映画の中でもファンタジックな詩を書いたり不思議な絵を描いたりする芸術家肌のように描かれていますが
実際も画家でいらっしゃるそうです。
アイスランドでは、小人や妖精、悪神が登場する神話が多く存在し、子供の教育上で重要な位置を占めているらしいです(監督のインタビューから)
ベネチア国際映画祭で最優秀LGBT映画賞を受賞したそうですが、それほどLGBTにスポットを当てた映画ではなく
普通に切なく美しい青春の一こまを切り取った映画だと思いました。