囚われないことで発揮できること

ecute物語ー私たちのエキナカプロジェクトーを読んでみた。

大宮駅・品川駅最近では立川駅とエキナカのショップが賑わいを魅せている。
2005年、第一号店のエキュート大宮が完成したときには「えっ、駅の中に！？」
と目を見張り斬新な着想に関心を寄せていた。そのプロジェクトの立ち上げから完成までのドキュメントを綴ったのがこの本である。
「斬新」というキーワードに嵌りやすい私は待ってました、とばかりにすぐに飛びついた。
　プロジェクトリーダーは３０代半ばの女性。（うん、ショップの行き届いた出店の選択は女性の目線だよな、と納得）
チームメンバーは３５才以下と若い。ＪＲの各部署から投入されたメンバーの日々の格闘を淡々と語る。

立ち上げから完成までの短期間での仕事を要求され、時間との戦いの中で睡眠時間が数時間の日々が続く。「始めて」の試みはいつだって前例とか固定観念の壁に行き当たる。そこを、当たって砕けて当たって砕けてを何度も繰り返す。情熱の核を粘り強さで固めて、ジョークで和らげ、完成へと突き進んでいく若い人の機知と感性が眩しい。購買する側からの目線では気づかない、出店の「裏」の工夫のあり方が興味深い本でもある。

「格闘」という言葉がけっして大げさではなかった完成までの過程を読んでみると、このプロジェクトに出会えて戦えたものたちの幸運を思う。
そして、このプロジェクトを彼らに託した上司の大きさに思いを馳せ、チームを纏めた「鎌田さん」の度量に惚れぼれする。

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