4月終わりに高架下でアリ探しをしたのですが、その時見つけたアリの検索をしてみました。といっても、たぶん、トビイロシワアリだろうと思い、また、トビイロシワアリはこれまで何度か検索をしてきたので(たとえば、こちらをご覧ください)、今回は主だった個所の顕微鏡写真を載せるだけにします。
4月21日に撮って、4月28日のブログに出した写真をもう一度出しておきます。写真がいまいちなのですが、腹柄節が2節になっていて、体にしわがあり、腹部に艶があるところなどが分かります。
朝倉書店の「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表で最初から調べていこうとすると、次の20項目を調べることになります。
①腹柄は2節(腹柄節と後腹柄節)からなる;腹部末端の背板は単純で、微小な鋸歯の列はない;頭盾前縁側方に小突起はない
②触角の挿入部は額葉によって多少なりとも覆われている;前伸腹節刺をもつものと持たないものがあるが、触角挿入部が裸出している種の場合は顕著な前伸腹節刺ある;複眼がある
③跗節末端の爪は単純;複眼の長径は大腮を除いた頭長の1/4以下;額葉は互いに離れる フタフシアリ亜科
④触角は11~12節;触角棍棒部は2節以上からなる、あるいは不明瞭
⑤後腹柄節は腹部基部端に接続する;前伸腹節気門は前伸腹節後面にまでかかることはない
⑥前伸腹節刺は前方に向かって反り返らないか、あるいは前伸腹節に刺がない
⑦腹柄節の丘部が山型に隆起し、柄部と区別される;前伸腹節背側縁の前方に小突起はない;腹部腹面側方には隆起縁による輪郭はない
⑧触角棍棒部は3節以上からなる、あるいは不明瞭;触角は12節からなる(一部の種では11節)
⑨頭盾前縁に複数の小突起はない;額隆起縁は張り出し、触角挿入部は少なくとも部分的に隠される;触角は12節からなる
⑩頭盾前縁は大腮にかかるまで伸張することはない;触角収容溝はないか、あっても頭部後方角まで伸張しない
⑪大腮は通常の三角状
⑫触角棍棒部は3節からなる
⑬腹柄節後縁は側方から見てほぼ直線状;腹柄節後縁背部は突出しない
⑭頭部や胸部背面に体毛をもつ;後腹柄節は背面から見て幅は長さの1.5倍以下
⑮前伸腹節の後背部に1対の刺もしくは小歯状の突起を形成する;頭盾前縁中央の剛毛は対になる
⑯胸部は側方から見たとき、背方の輪郭は全体的に平らか、ゆるやかに弧を描くが、前中胸のみが明瞭に隆起することはない;働きアリは顕著な2型を示さない
⑰頭盾両側部は触角挿入部の前方で顕著な隆起線を形成する;前伸腹節の気門は前伸腹節刺の先端から基部までを引き伸ばした線の後方に位置する;大腮は普通7歯をもち、先端の3歯は大きい シワアリ属
⑱前伸腹節刺は歯状で短く、側方から見て先端は後胸後縁の角に達しない
⑲腹柄節柄部は短い
⑳中胸側縁は背方から見て側方に張り出さない;体は褐色から黒褐色;頭部・胸部の立毛はより長い トビイロシワアリ
今回は検索表に沿って調べていくことはやめて、特徴的な部分の顕微鏡写真を示すだけにします。
最初は横から写した写真です。胸部と腹部を結ぶ部分が腹柄節ですが、腹柄節と後腹柄節の2節あることが分かります。それで、フタフシアリ亜科ということになります。また、腹柄節は丘部と柄部が分かれていて、柄部はそれほど長くはありません。また、前伸腹節(後胸と腹部第1節が融合したもの)の後ろに刺が出ていることが分かります。さらに、胸部背面には比較的に長い毛が生えています。
これは頭部を斜め前から写したものです。触角基部が額葉と呼ばれる「ひさし」により覆われています。
これは頭部を前方から写した写真です。頭楯の前縁は単純で、中心に一対の長い毛が生えています。また、触角基部の前方に隆起線があることが分かります。大腮には7つの歯があり、そのうち、前方の3つは大きくなっています。
これは触角を写したものですが、触角は全部で12節。そのうち、先端の3節は太くなっていて、棍棒部を形成しています。
これは前伸腹節を写したものです。前伸腹節には刺が1対あります。また、前伸腹節気門は側面にあり、背面にはかかっていません。
こんな特徴から、このアリはトビイロシワアリであることが分かります。
最後はおまけで撮った写真ですが、ついでなので載せておきます。これらの写真のうち、アリ全体を写した2枚は実体顕微鏡下で写したもの、頭部や前伸腹節を写したものは生物顕微鏡に10倍の対物レンズを取り付けて写したものです。
4月21日に撮って、4月28日のブログに出した写真をもう一度出しておきます。写真がいまいちなのですが、腹柄節が2節になっていて、体にしわがあり、腹部に艶があるところなどが分かります。
朝倉書店の「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表で最初から調べていこうとすると、次の20項目を調べることになります。
①腹柄は2節(腹柄節と後腹柄節)からなる;腹部末端の背板は単純で、微小な鋸歯の列はない;頭盾前縁側方に小突起はない
②触角の挿入部は額葉によって多少なりとも覆われている;前伸腹節刺をもつものと持たないものがあるが、触角挿入部が裸出している種の場合は顕著な前伸腹節刺ある;複眼がある
③跗節末端の爪は単純;複眼の長径は大腮を除いた頭長の1/4以下;額葉は互いに離れる フタフシアリ亜科
④触角は11~12節;触角棍棒部は2節以上からなる、あるいは不明瞭
⑤後腹柄節は腹部基部端に接続する;前伸腹節気門は前伸腹節後面にまでかかることはない
⑥前伸腹節刺は前方に向かって反り返らないか、あるいは前伸腹節に刺がない
⑦腹柄節の丘部が山型に隆起し、柄部と区別される;前伸腹節背側縁の前方に小突起はない;腹部腹面側方には隆起縁による輪郭はない
⑧触角棍棒部は3節以上からなる、あるいは不明瞭;触角は12節からなる(一部の種では11節)
⑨頭盾前縁に複数の小突起はない;額隆起縁は張り出し、触角挿入部は少なくとも部分的に隠される;触角は12節からなる
⑩頭盾前縁は大腮にかかるまで伸張することはない;触角収容溝はないか、あっても頭部後方角まで伸張しない
⑪大腮は通常の三角状
⑫触角棍棒部は3節からなる
⑬腹柄節後縁は側方から見てほぼ直線状;腹柄節後縁背部は突出しない
⑭頭部や胸部背面に体毛をもつ;後腹柄節は背面から見て幅は長さの1.5倍以下
⑮前伸腹節の後背部に1対の刺もしくは小歯状の突起を形成する;頭盾前縁中央の剛毛は対になる
⑯胸部は側方から見たとき、背方の輪郭は全体的に平らか、ゆるやかに弧を描くが、前中胸のみが明瞭に隆起することはない;働きアリは顕著な2型を示さない
⑰頭盾両側部は触角挿入部の前方で顕著な隆起線を形成する;前伸腹節の気門は前伸腹節刺の先端から基部までを引き伸ばした線の後方に位置する;大腮は普通7歯をもち、先端の3歯は大きい シワアリ属
⑱前伸腹節刺は歯状で短く、側方から見て先端は後胸後縁の角に達しない
⑲腹柄節柄部は短い
⑳中胸側縁は背方から見て側方に張り出さない;体は褐色から黒褐色;頭部・胸部の立毛はより長い トビイロシワアリ
今回は検索表に沿って調べていくことはやめて、特徴的な部分の顕微鏡写真を示すだけにします。
最初は横から写した写真です。胸部と腹部を結ぶ部分が腹柄節ですが、腹柄節と後腹柄節の2節あることが分かります。それで、フタフシアリ亜科ということになります。また、腹柄節は丘部と柄部が分かれていて、柄部はそれほど長くはありません。また、前伸腹節(後胸と腹部第1節が融合したもの)の後ろに刺が出ていることが分かります。さらに、胸部背面には比較的に長い毛が生えています。
これは頭部を斜め前から写したものです。触角基部が額葉と呼ばれる「ひさし」により覆われています。
これは頭部を前方から写した写真です。頭楯の前縁は単純で、中心に一対の長い毛が生えています。また、触角基部の前方に隆起線があることが分かります。大腮には7つの歯があり、そのうち、前方の3つは大きくなっています。
これは触角を写したものですが、触角は全部で12節。そのうち、先端の3節は太くなっていて、棍棒部を形成しています。
これは前伸腹節を写したものです。前伸腹節には刺が1対あります。また、前伸腹節気門は側面にあり、背面にはかかっていません。
こんな特徴から、このアリはトビイロシワアリであることが分かります。
最後はおまけで撮った写真ですが、ついでなので載せておきます。これらの写真のうち、アリ全体を写した2枚は実体顕微鏡下で写したもの、頭部や前伸腹節を写したものは生物顕微鏡に10倍の対物レンズを取り付けて写したものです。