電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

日本でいちばん有名な校長先生

2004-09-16 08:58:31 | 子ども・教育
 放浪の女流作家・林芙美子が通っていたという広島県尾道市立土堂小学校。そこの校長に昨年の4月になった、蔭山英男先生だ。蔭山校長は、前任の兵庫県朝来町立山口小学校での教育実践をまとめた『本当の学力をつける本』(文藝春秋刊)がベストセラーになり、家庭の主婦からも俄然注目されるようになった。我が家も例外ではない。蔭山校長の本は、大体買って読んでいる。

 そんな蔭山校長について、最近二つの記事を目にした。一つは、「朝日わくわくネット」のコラム「児童らの集中力にびっくり」という記事であり、校長になってから2年目の2学期の始業式の様子を見学した未来読者開発ディレクター・上島誠司さんのレポートになっている。もう一つは、月刊現代10月号に掲載された「百ます計算とサッカーの共通点」という横浜F・マリノス監督の岡田武史監督との対談である。

 どちらにも共通しているのは、「児童の集中力」は大人が少しちゃんと指導すればすぐたかまるとといい、そのために蔭山校長が力を入れているのは、「百ます計算」や「漢字前倒し指導」、「古典の音読」などのいわゆる「蔭山メソッド」といわれているものよりも、まず「体力・気力」を充実させることだという主張だ。ある意味では、「体力・気力」が充実してくると、いわゆる蔭山メソッドによる学力が確実に身につくのだという。

……「よく寝て、よく食べる」。本当に基本的なことなんですよ。でも現代はこの基本ができていないから、ここを直すだけで子供たちは見違えるように元気になる。体力がつくんです。ただ、その時点では、脳そのものは目覚めていません。ですから、生活面を整えて体力がついたところで、「百ます計算」や「音読」をやらせて脳をトレーニングしていく。そうすると子供たちの学力は一気に伸びるんです。土堂小学校の子供の知能指数は、たった1年で110近くまで上がっています。(「月刊現代10月号」P124・蔭山発言)


 それにしても、蔭山校長の実践を見ていると、国が教育改革と言っていることがすべて空々しく見えてくるのは、私だけだろうか。指導要領の内容を見直したり、教育制度を見直したり、はたまた教員養成の仕方を見直したりということは、確かに重要なことには違いない。そういうものは、時が経てばやがてボロが出てくるものだからだ。しかし、今本当に教育に必要なものは、「確かな学力」というより「確かな指導」だと思う。家庭も学校も国も、それぞれの立場で子どもに対する「確かな指導」が必要なのだ。

 蔭山校長の実践は、現行の教育制度でできることばかりだ。特別に新しい制度が必要ではない。家庭・学校・国の教育に関わる人たちが、もう少し柔軟に、もう少し真剣に取り組めばできることばかりだ。蔭山校長の新しさとすばらしさは、多分、誰でもできることを取り上げ、それを徹底させたことと、そしてそのことを自分で身を以て証明して見せたことだと思う。そして、教師というのはある種のスターであることを自覚し、それにふさわしい行動を取っていることだと思う。こういう校長先生を尊敬し、まねをする人がもっと出てもいいのではないのか。私も、自分の子どもともう少しまともに向かい合ってみたい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 衝突までの時間を計算する神... | トップ | 大都市圏に偏在する団塊世代 »

コメントを投稿

子ども・教育」カテゴリの最新記事