昼休み、会社の近くを散歩していて、コンクリートでできたマンションの入り口の軒下にツバメの巣があるのを発見した。ツバメは、とてもスマートな飛び方をする。まるでマンションの壁にぶつかりそうなところまで飛んできて、すぐに角度を変え、しかも、次の障害物をさっとよけ、知らぬ間に、自分の作った巣に戻っている。そこでは、まだ小さな子どものツバメが口を開けて、母鳥からのえさを待っていたりする。そのすばやい動きを見ていて、ふとツバメが考えたらどうなるのだろうかと思った。「あ、ぶつかる。危ない」と考え、障害物を避けるのだろうか。もしそうなら、きっとツバメも、その時にスリルを感じるかもしれない、などと馬鹿なことまで考えた。しかし、そんな悠長なことでは障害物を避けられない。
ここで、ツバメも脳を持っていて、その脳で考えると仮定する。向こうに壁があるという情報は、ツバメの場合もおそらく視覚による情報である。近づくに従って、視覚の情報は変化する。この情報の変化を元に、このまま進むとあとどれだけかでぶつかるかという計算をし、そこで回避行動を取る。おそらく、普通の人間ならこのように考える。そして、それで半分は当たっている。当たっているというのは、ほぼそれに相当する神経細胞の反応の過程があると言うことであり、当たっていないのは、おそらくツバメは考えていないというと点だ。およそ動物は一般的にこういう場合、「衝突までの時間」を計算する仕組みを持っているようなのだ。
ここで、ツバメも脳を持っていて、その脳で考えると仮定する。向こうに壁があるという情報は、ツバメの場合もおそらく視覚による情報である。近づくに従って、視覚の情報は変化する。この情報の変化を元に、このまま進むとあとどれだけかでぶつかるかという計算をし、そこで回避行動を取る。おそらく、普通の人間ならこのように考える。そして、それで半分は当たっている。当たっているというのは、ほぼそれに相当する神経細胞の反応の過程があると言うことであり、当たっていないのは、おそらくツバメは考えていないというと点だ。およそ動物は一般的にこういう場合、「衝突までの時間」を計算する仕組みを持っているようなのだ。
……研究の結果、動物たちは、「衝突までの時間」を、障害物を避けるための指標にしていることが判った。衝突までの時間とは、もし今のまま飛行していったら、何秒後に障害物に衝突するか、それまでの時間を指す。近づいてくる物体をハトに見せた実験では、衝突の約1秒前に活動するニューロンがハトの脳内から発見されている。どうやら、「衝突までの時間」を計算するというアプローチは、ハエなどの小動物を含め、飛行する動物において広く採用されている戦略のようである。(『心を生みだす脳のシステム』P137)これは、茂木健一郎さんの『心を生みだす脳のシステム』(NHKBooks)からの引用だが、茂木さんによれば、この「衝突の約一秒前に活動するニューロン」というのが、くせ者なのだそうだ。三角関数と微分法を使った簡単な計算で、視角とその変化率だけから、見かけの大きさや距離に関係なく、「衝突の時間」が計算できるのだそうである。だから、光の三原色にそれぞれ反応するような神経細胞があるように、網膜に映る情報から「衝突の時間」を計算するような神経細胞があればよいわけだ。そして、事実、地球上で空中を飛行している動物は、「衝突までの時間」が一定になると発火するニューロンを進化の中で獲得してきたのだという。
……もちろん、これらの動物が、そのような戦略を裏付ける幾何学的な理屈を明示的に理解しているわけではない。脳の中にあるのは、「衝突までの時間」が一定になると回避行動をとるというシンプルなメカニズムだけである。このシンプルなメカニズムを持った脳が、動物の身体を通して環境と相互作用すると、結果として障害物と衝突せずに空間を動き回れるという、環境的知性へと翻訳される。シンプルな戦略をとる脳が、環境と相互作用すると、そこに高度な知性が立ち現れるのである。(同上・P139)高度な知性かどうかは判らないが、環境に対する的確な判断が脳で行われていることは確かだ。こうした神経細胞の活動のおかげで、ツバメは瞬時に自分の行動をコントロールできることになる。ひょっとすると、初恋とか、一目惚れなどというのは、同じような心的過程があるのかも知れない。初恋の人というのは、自分の母親のイメージを引きずっていることが多いというのは、脳の母親のイメージをインプリンティング(刷り込み)された神経細胞が発火して、そうなるのかも知れない。一般的に私たちが、特定の人を好きになるのは、自分にとっての好ましい人のイメージがインプリンティングされた神経細胞のせいなのだ。だから、そうしたイメージを持てなかった人は、恋愛ができないということになるかもしれない。
昔から『ツバメが巣を作る家は栄える』といわれていますが、これには根拠があり、ツバメは、人の出入りが激しいところを狙って巣を作ります。人の出入りが激しい家というのは栄えていることに違いないと燕は思っているからです。なぜ人の出入りの激しいところを好むかというと、からすや蛇などの外敵が少ないから安全と言うことみたいです。燕の脳はかなり賢いのではないかと思われます。
人間のことを好きだというわけではないので、ちょっと切ない気もしますが、頼られているのだから守ってあげたい・・・と思ったりしますけど・・・。
コメント、ありがとうございました。