電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

WALKMAN

2008-11-08 23:59:27 | 生活・文化

 「メモリープレイヤーのおすすめは何か」と姪に聴いたら、すぐに「ソニーのWALKMAN」という言葉が返ってきた。iPodも考えたが、今回は、素直に姪の助言に従い、池袋のBICカメラでソニーのWALKMAN(NW-S738F・ブラック)を買った。メモリーは8GB。動画はほとんど見ないので、これくらいあれば、私の場合は大丈夫だと思った。現在は、通勤途中に、音楽と英語の勉強、そして小林秀雄、吉本隆明、茂木健一郎の講演を聴いている。電車の中で、本を読むのとは違った楽しみができた。

 前に書いたことがあるが、電車の中で本を読むのはとても疲れる。東京から埼玉に引っ越しをしてから、しばらくは通勤電車の中ではほとんど本を読んでいた。しかし、会社の中で、PCを使い、インターネットに常時接続をしているようになると、会社にいるだけでかなり目を酷使することになる。その上、振動の激しい通勤電車に乗っての読書は、目に悪いことこの上ないと思われる。実際、私の目はそのためにいろいろ故障している。というわけで、WALKMANを買うまでは、どちらかというとうつらうつらして半分眠っていたわけだ。

 ところで、音楽を聴いたり、語学の勉強したりというのは、よくある話であり、それはそれで面白いこともあるのだが、私には、講演の楽しさを知ったことが、とても大きな事件だった。本の朗読を聴くということも面白そうだが、講演は面白い。「新潮」12月号で、小林秀雄について、茂木健一郎と白州信哉の対談が載っているが、この中で、小林秀雄の講演がかなり準備されていたものらしいことを知った。私は、少しの資料だけからその場の即興で話しているのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。白州信哉さんは小林秀雄のお孫さんであり、彼の話なので本当なのだろう。

白州  練り上げたどころじゃなく、原稿も時間をかけて作り上げて、練習も相当くり返したみたいです。口調が志ん生に似ているというのは、本当に志ん生の落語のテープを聴いていたらしいですから。そもそも講演はほとんど引き受けなかったんですよ。でも、たとえば義理があるから仕方なくといった場合は、覚悟のようなものを決めて、プロフェッショナルとして努力を積んだのでしょうね。頼まれたからにはきちんと務めようというような、几帳面なところもあったし。その成果がいまCDに収められているわけです。(「新潮」2008年12月号p192より)

 頭のちょうど真ん中あたりで、小林秀雄と吉本隆明と茂木健一郎が話をしている。彼らに、共通しているのは、一つのことを、いろいろの方向から語っていることだ。彼らは、対象としている概念を明確にするために、とても多様な言葉を使う。彼らの著作の中では、彼らはおそらく一言で言い表して終わりにしていることに対して、いろいろな言い方をしてみせる。彼らは、そこで、本を書くのとはかなり違う方法で、彼らの思想を語っているのだ。本で言っていることとは全く別なことを言っているわけではないが、茂木健一郎の言葉で言えば、彼らは語ることによって何かをそこに創造しているようなのだ。本では絶対に読み取ることができない何かをそこで私たちは聴くことができる。

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