長内那由多のMovie Note

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『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』

2020-06-10 | 映画レビュー(て)

 『ハンナ』以来、ジャンル映画にも積極的に出演するようになっていたシアーシャ・ローナンが女子高生殺し屋に扮したバイオレンスアクション…と思いきや、中盤から『殺しの烙印』『ピストル・オペラ』みたいな展開になる異色作。監督はスラムのどん底で生きる巨漢女子高生の現実にシュールな夢想を挟んでアカデミー脚色賞を獲得した『プレシャス』のジェフリー・フレッチャー。今回もブランドもののドレス欲しさに殺しをやる女子高生たちをファンタジーとして描いており、何よりシアーシャ・ローナンのコスプレが可愛く、美しく撮られているのでアイドル映画として正しい。彼女を導くアレクシス・ブレデル(当時30歳!)が年齢不詳に見えるのは意図的な演出であろう。

 2人の危険な放課後に揺さぶりをかけるのが故ジェームズ・ガンドルフィーニ。危険な匂いを発する巨体と父性を湛えた柔和な眼差しは名優たる繊細さであった。

 常々思うのだが、少女期というのは本当に短く、決して遡って演じられるものではない。若手女優にはジャンル映画だろうが何だろうが、その刹那をスクリーンに刻んでほしいものである。


『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』11・米
監督 ジェフリー・フレッチャー
出演 シアーシャ・ローナン、アレクシス・ブレデル、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ダニー・トレホ、マリアンヌ・ジャン・バプティスト
 
 

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