人気作家ジョゼフの元にノーベル賞受賞の吉報が届く場面から映画は始まる。別室でその報せを聞く妻ジョーンの顔には何とも言えない不思議な表情が広がっていた。妻を演じるのは本作で実に7度目のオスカー候補となったグレン・クローズ。映画は彼女の微かな表情の変化を克明に撮らえていく。大芝居を封印した静的な心理演技はまさに名優のなせる技だ。
夫婦はやはり作家である息子を伴って授賞式の待つスウェーデンはストックホルムへやって来る。冗舌な夫の陰に立ち、内助の功を称えられるジョーン。人間の浅はかさを体現する夫役ジョナサン・プライスの“内助の功”もあって、クローズが体現する真にインテリジェンスな人だけが持つふくよかさが際立つ。名優2人の二重奏が本作の見所だ。
やがてジョーンこそが称えられるべき作家である事が明らかになる。かつて女の作家が本を出す事は叶わなかった。彼女は夫のゴーストライターとして執筆を続けてきたのだ。
原題は“The Wife”。ゴーストライターの悲哀が主題ではなく、これはジェンダーバイアスによって道を閉ざされ、“妻”という役割を押し付けられた全ての女性を指しているのではないか。“妻”という言葉の向こうには望まぬ人生を送ってきた女性達の姿がある。
アカデミー賞では実質、助演だった『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマン、ブラッドリー・クーパーとのW主演だった『スター誕生』のレディー・ガガよりも、ワンマンショーであるクローズが評価されるだろう。未だ熱演が良しとされるオスカーで“静かな芝居”が勝利する事はもちろん、ネオウーマンリヴ映画としても記憶されるハズだ(3/12後述、御存知の通り、アカデミー賞はオリヴィア・コールマンに渡った。予想ハズれましたね、ハイ)。
夫婦はやはり作家である息子を伴って授賞式の待つスウェーデンはストックホルムへやって来る。冗舌な夫の陰に立ち、内助の功を称えられるジョーン。人間の浅はかさを体現する夫役ジョナサン・プライスの“内助の功”もあって、クローズが体現する真にインテリジェンスな人だけが持つふくよかさが際立つ。名優2人の二重奏が本作の見所だ。
やがてジョーンこそが称えられるべき作家である事が明らかになる。かつて女の作家が本を出す事は叶わなかった。彼女は夫のゴーストライターとして執筆を続けてきたのだ。
原題は“The Wife”。ゴーストライターの悲哀が主題ではなく、これはジェンダーバイアスによって道を閉ざされ、“妻”という役割を押し付けられた全ての女性を指しているのではないか。“妻”という言葉の向こうには望まぬ人生を送ってきた女性達の姿がある。
アカデミー賞では実質、助演だった『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマン、ブラッドリー・クーパーとのW主演だった『スター誕生』のレディー・ガガよりも、ワンマンショーであるクローズが評価されるだろう。未だ熱演が良しとされるオスカーで“静かな芝居”が勝利する事はもちろん、ネオウーマンリヴ映画としても記憶されるハズだ(3/12後述、御存知の通り、アカデミー賞はオリヴィア・コールマンに渡った。予想ハズれましたね、ハイ)。
『天才作家の妻 40年目の真実』17・スウェーデン、米、英
監督 ビョルン・ルンゲ
出演 グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレイター、マックス・アイアンズ、エリザベス・マクガヴァン
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