ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

ブルックリン

2016-07-07 11:59:27 | 映画
映画「ブルックリン」を見てきました。ジョン・クローリー監督作品です。
評判に違わずいい映画でした。

主役を演じるシアーシャ・ローナンは「ラブリーボーン」の頃と比べると大人の女性に成長していてとても美しい。NYで生まれアイルランドで育ったシアーシャ・ローナン自身の人生とも重なるようで、それもあって彼女がとてもいいです。

あらすじ(少しだけネタバレになりますが)・・
アイルランドの田舎に住んでいたエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は姉の勧めでNYに移民として移り住むことになります。
1950年代のアメリカには、ヨーロッパから大勢の移民が移り住んでいました。
アイルランドからNYには船で渡ります。生まれて初めて故郷を離れ、一人で生きていかなくてはいけないエイリシュ。

昔、田舎から東京に働きに来た経験のある人たちには、実に胸に迫るものがあると思います。
ああ、私もそうだった、と。

エイリシュはNYのデパートで店員として働き始めるのですが、何しろアイルランドの田舎出の少女なので、機転はきかずお客の対応もイマイチ。
それでもシアーシャは、がんばります。寮に帰れば同じく移民の若い子たちがいて、彼女に(ちょっと意地悪もするけど)いろいろ教えてくれます。

そんな中、ダンスパーティで知り合ったトミーというイタリア系の青年と知り合い、恋仲になり、NY生活も順調にいったかに見えた矢先、故郷から訃報が届きます。
彼女を支えてくれていた姉が亡くなったという知らせです。

エイリシュは一か月の予定で故郷に戻るのですが、
故郷も、たくましくなったエイリシュには、以前とは違って見えてきます。
素敵な青年との出会いもあります。
そして、エイリシュは迷うのですね。
故郷に残るべきか、NYのトミーのところに戻るべきか。

「故郷も愛も二つは持てない」というのが映画のコピーですが。
まさに二つの世界の間で揺れ動く乙女心。

この辺りのエイリシュの心理描写は秀逸ですね。
女性ならよくわかる。
彼女は決して二股をかけているわけではありません。
ただ、一つだけ選ぶことが難しいのです。
自らの力で切り開いてきたNYの生活と、なつかしくやさしくいとおしい故郷。

でも、結局、エイリシュは賢い選択をしたと思います。

NYに来たばかりの頃の地味で冴えないファッションから、次第にNY流に変化していく様子も見所です。50年代のファッションが楽しい。

何より私が思ったのは、これって「魔女の宅急便」よね、でした。
もちろん、エイリシュはもっと大人ですが、田舎から大きな街に出て、辛い目にもあいながら経験を積み、大人になっていく様子は、どこの国でも同じです。

故郷から何千キロも離れた街で、たった一人で人生を切り開いていかなくてはいけない。ホームシックにかかり、涙しながら故郷を想い、それでも明日に向かって生きていく。若いということはどんなことでも、可能にするのですね。
皆に勇気を与えてくれる映画です。

冒頭に載せた、エイリシュが壁の前に一人佇む姿は、さて、どのシーンでしょうか?
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