今日はNetflixで配信されている映画「夜が明けるまで」を紹介します。
なんと、ロバート・レッドフォードとジェーン・フォンダの共演!
今や二人とも80代ですねん。嘘みたい。
ストーリーはわりと地味です(以下ネタバレ)。
派手なアクションや色恋沙汰はほとんどない(少しあるけど)。
ある日、妻を亡くしてからずっと独り身のルイス(ロバート・レッドフォード)の家に近所に住んでいるアディ(ジェーン・フォンダ)がやってきます。
アディはルイスに
「夜さびしいから、一緒に寝てくれない?」と申し出るのです。
この大胆さ、直接さ!
でも、アディの申し出はセックスをしよう、といったものとはちょっと違います。何せ二人とも80代だからね。
ベッドに並んで寝て少しだけおしゃべりしよう、とそれだけの提案です。
ルイスも寂しかったので、さっそく応じます。
最初の晩、一つのベッドに並んで寝ますが手を握ることさえなく、アディはすぐに眠りに落ちます。
それからも、毎晩のようにルイスは通ってきますが、二人の間には何もない。
ただ同世代の隣人として、互いの夜をなぐさめあうという関係です。
ところが、ご多分に漏れず近所の人たちが気づきます。そして、
小さな田舎町のこと、噂はすぐに広まります。
同時に、ルイスとアディ、お互いの家族の歴史が徐々に明らかになってきます。
ルイスは若い頃不倫をして、一時家族のもとを離れます。彼は家族を捨てた男として知られています。
アディはもっと深刻で、娘が11歳、息子が5歳の時、突然娘が交通事故で亡くなります。
以来、アディの家族はすっかり変わってしまいます。
息子は今もなお、母親が姉の死に対して自分を責めていると思いこんでいます。
一見、平和で幸せそうに見える家族にもそれぞれの歴史があり、機能不全に陥っていることが見えてきます。
そんな中で、
アディの元に息子が7歳の孫ジェイミーを連れて来て、しばらく預かってほしいと頼みます。
アディとルイスはジェイミーと一緒に遊んだり、キャンプにでかけたりします。
80歳でキャンプって大丈夫かって思ったのだけど。ダイジョブでした。
ジェイミーはマシュマロを焼いたりしてすごく楽しそう。
「普通の人々」という映画に少し似ています。
(ロバート・レッドフォード監督作品です)
この映画でも、母親が死んだ兄ばかりを愛して自分は愛されていないと感じる弟、そして兄の死以来変わってしまった家族関係が描かれます。
アメリカの家族だけじゃなく、日本だって同じです。
傍から見れば幸せそうな家族にも抱えている暗部が必ずあります。
でもこの二人、歳をとり経験を重ねたからこその優しさと思いやりにあふれていて、見ているうちに自然と涙がこみあげてきます。
本人たちを差し置いて、噂が流れ周囲が過剰反応したとしても、やがて皆は受け入れてくれる、ということもわかりますし、
何より、この二人の勇気に感服します。
思えば、私もそう遠くない未来に待ち受けている寂しさや孤独、それをどう乗り越えるのか、人生最後の試練といえるでしょう。
家族がいないことの孤独、家族がいることの孤独、
両方に孤独や絶望感があると語るのは「絶望読書」という本ですが(近いうちこの本について書きます)。
たしかに、家族というのは一番身近で一番厄介な存在のようです。
最後に二人は別れ別れになりますが、
でも、大丈夫。
二人を繋ぐアイテム(スマホ)がこの現代には存在するのです。
世界のどこにいても、人と人を繋ぐアイテムがあるのはありがたいことです。