「バグダッド・カフェ」を覚えていますか?
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「バグダッド・カフェ」(原題"Out of Rosenheim" パーシー・アドロン監督 西ドイツ)
1989年に公開された映画で、当時見て面白い映画だなあ、と思ったのは覚えていますが、詳しい内容は忘れていました。
今回見て、すごい映画じゃないの!と思い、同時に、
これって、お片付け映画よね、と思った。
お片付けと掃除をして家の中がきれいになると、人生が変わる、というお話(もちろんそれだけじゃないけど)。
基本、大人のおとぎ話ですが、とってもいいのよねえ。
主人公は二人の女性。
モハーヴェ砂漠でモーテル「バグダッド・カフェ」を営むブレンダ、そして、ドイツから観光のために夫と共にアメリカを訪れたジャスミン。
舞台はこのバグダッド・カフェ(映画のタイトルでもある。原題よりこっちのほうがずっといい)です。
周囲に何もないモハーヴェ砂漠のど真ん中に一軒ぽつりと立つモーテル「バグダッド・カフェ」。ここを営むブレンダは幸せじゃない。夫は無能、二人の子ども(ティーンエイジャー)は扱いが難しく、おまけに息子には赤ん坊までいてブレンダが世話してる。
彼女は何もかも一人で切り盛りしなくてはならず、フラストレーションがたまりにたまって、周囲にがみがみ怒鳴り散らす毎日を送っています。
ブレンダはついに夫にキレて、出ていけ! と怒鳴り散らし、夫は出ていきます。涙にくれるブレンダ。
そこへ、大きなスーツケースをひきずりながら歩いてくる一人の太った女性が・・
これがジャスミン。
彼女もまた夫と別れて(夫を捨てて?)このモーテルにたどり着きました。
こうして二人の傷心の女性が出会うのです。
ジャスミンはドイツ人で根っからのきれい好き。お掃除大好き。
ブレンダが留守の間に、ジャスミンは勝手に、ボロボロで朽ちかけたモーテルと雑然として埃だらけのカフェを片づけ掃除しまくります。
この映画のキモはここね。
何しろジャスミンのお掃除の手腕は大したもので、あっという間に汚いカフェと事務所が見違えるようになります。
帰ってきたブレンダは怒りまくります。
誰が片付けていいって言った! 元に戻せ!
そこでジャスミンが箱の中からガラクタを一つずつ取り出して、きれいになった机の上に並べ始めると、
もういい!
とブレンダはまたもや怒ってジャスミンを制止します。
ブレンダだって、書類が散乱した汚い事務所より、きれいな事務所のほうがいいとわかっている。
こうして、
まさに朽ち果てようとしていたモーテルが、ジャスミンの手により蘇るのです。
すると、あら不思議。
お客たちも集まるようになり、
ジャスミンが余興で始めた手品が受けて、バグダッドカフェはモハーヴェ砂漠のオアシスになる・・
(ジャスミンのお掃除の手腕はまるでマジック・・という暗喩でもある)
これが基本のストーリーです。
登場人物たちがそれぞれ実にユニークでいい。
大きなトラックに便乗してやってきた若い女性(終始無言。たぶん娼婦)は最後にみんなが仲良く盛り上がっている最中にモーテルを出ていきます。
なんで出ていくの?と聞かれて彼女は答えます。
仲良すぎよ。
この人の視点も面白いなあ。
また、冒頭でジャスミンが見上げた空に幻日が浮かび(光が二か所に分かれて見える)、そこにUFOらしきものの編隊が飛んでたりして、
いろんな示唆に富んでいてすごく面白い映画なので超お勧めです。
サントラも印象的。
BAGDAD CAFE(バグダッド・カフェ)- Calling You
from film "Bagdad Café" (Out of Rosenheim). 1987 Germany. 1987年公開 西ドイツ...
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雨の週末に見るにはもってこいの映画よ。