「侍タイムスリッパー」の余韻はまだ続いています。
思い出すたびに楽しく幸せな気分になるので、予告編だのYouTubeだのを繰り返し見ては、本当にいい映画よねえ、と独りごちてます。
この余韻、まだしばらく続きそうです。
いろんな人が多方面から解説しているので、今更言うことなど何もないのですが、
私が強く感じたのは、やはり日本人のモノ造りの素晴らしさですねえ。
あの映画は、江戸時代の侍が現代にタイムスリップした悲喜劇であると同時に、映画製作者の話でもあります。
そして、ここには、日本のモノづくりの原点が描かれていると思いました。
以前、ここでも紹介しましたが、世界で初めて飛行機を造った二宮忠八や、ゼロ戦を設計した堀越二郎、そしてはやぶさを宇宙に飛ばしたJAXAのスタッフ、この人たちに共通するもの、それが、
「職人気質」
なのではないか。
安田監督が語った映画のテーマとは、「真剣の重さを映画で見せる」だったといいます。
インタビューの中で、高坂新左衛門を演じた山口馬木也が、役どころの難しさについてこう語っています。
本物の侍高坂新左衛門が竹光の刀で切られ役をしなくてはならず、真剣の重さを知っている彼は竹光の刀をどう扱ってよいか戸惑う。でも、新左衛門が持っている真剣もまた映画の小道具であるわけで、しかも映画の中でさらに映画を撮っているという何重にも入れ子構造になったストーリーでもあるわけで・・
最後のシーンは劇中劇の真剣勝負という設定なのですが、実際にはもちろん真剣を使うことはできず、ここで使っているのも竹光の刀で、その刀を真剣の勝負に見えるように演じるのが役者であり・・
「ぼくはアーティストというより職人だと思います。」
と山口馬木也は言います。
高坂新左衛門そのもののような、山口馬木也という俳優のまっすぐさ、真摯さがうかがえます。
その通りの人なんだろうなあ、と思って、彼のあり方、生き方そのものに共感し感動しました。
そして「職人気質」というのは、あの映画を創った監督および俳優陣やスタッフすべてに共通する気質なのではないか、とも思いました。
折から、日本のお家芸である自動車メーカーの不祥事が相次いで日本人の職人気質はどうなったんじゃろかと危惧していましたが、
どっこいまだ生きてるぞ、と実感できました。
アーティストではなく「職人」というのがいいよねえ。
私たちは、アーティストだの芸術家だのを持ち上げがちですが、モノを造る職人に原点回帰するのがよいのではないかとも思いました。
もちろん、アーティストや芸術家は素敵だけど、
小さな町工場で自動車やロケットの部品を造り続けている職人たちもすごい。
職人であることの誇りがロケットを宇宙に飛ばす原動力であるように、
職人であると自称する役者の存在が、素晴らしい映画を生みだすのだと今回実感しました。
というわけで、劇場公開が続いている間、もう一回観にいきたいと思っています。
年末で忙しいのだけど、スケジュール空けられるかなあ~
でも、観に行くぞ!
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