ホルヘは私の言葉に肯いて言った。
僕の爺さんはババラオ、アフロ信仰の司祭だよ。
スペイン語とハイチアーノ語(ハイチ風のフランス語、一種のパトワ)を喋るんだ。
じゃ、祖先は、ハイチ経由でキューバにきたんだね?
おふくろの苗字がフランス風のモリエールで、
ホセ爺さんはおふくろの父なんだ。
私たちはいっとき翌年の山登りの話で盛りあがった。
やがてホルヘが申し訳なさそうな顔をしてこう言った。
明日、僕の娘に会いに行くんだ。娘の誕生日でさ・・・。
私が黙って聞いていると、ホルヘは言葉をつづけた。
離婚した女性との間に六歳の娘がいて、いま娘は元妻と一緒に住んでいる。
明日、誕生日のプレゼントを何か持って行ってやりたい。
今度小学校に入るから、運動靴とか・・・。私は事情を察して、少し援助してあげることにした。
(つづく)
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