翌日の夕方には「死者たちに捧げるカホン」の憑依儀式があった。
打楽器のカホンや鉦の音、ラム酒や葉巻に誘発されて、神がかりになる人が続出した。
儀式の最後のほうで、儀式をとりしきっていたサンテロ(司祭)彼自身が死者の霊に取り憑かれている様子で、
いきなり私を中央に引きずりだした。
皆が取り囲むなかで、私のめがねを乱暴にはずし、死者たちの口伝をほどこした。
現在の仕事のほかにもう一つ仕事をやっているか、と訊く。私のマドリーノのブランカが必死で通訳する。
ろれつがまわらないので、通訳が必ず必要になるのだ。
シ、シ、シ(はい、はい、はい)。
私も慌ててそう応じると、現在か将来においてそうとう金が儲かるという。
そのためにも、亡くなった祖父のために花やろうそくや線香を捧げる必要がある、とサンテロは付け加えた。
(つづく)
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