あるとき、ホルヘがさりげなくこう言った。
ホセっていう僕のお爺さんが山奥に住んでいるんだ。来年、一緒に会いに行ってみない?
私は木の枝に鳥の卵を見つけた大蛇ボアみたいに、その言葉に飛びついた。
それって、どこの山?
ホルヘは、嬉しそうな顔をして言った。
ちょっと遠いけど。椰子の葉を葺いた屋根だけの小屋にひとりで住んでいるんだ。
どうして?
ホルヘはいっそう嬉しそうな顔をして言った。
この町、ごみごみしすぎてるって。
私たちは、腹を抱えて笑った。エル・コブレには、そこかしこにプラタノと呼ばれる、料理に使う大型のバナナをはじめ、熱帯の木々が生い茂り、これ以上ないくらいに緑豊かなところだからだ。
ホルヘが思い出したように付け加えた。
爺さんに言わせると、アフリカみたいに空気がよいところに住みたいって。
(つづく)
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