越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

海外の長編小説ベスト10

2008年04月06日 | 小説
海外の長編小説ベスト10 

越川芳明(アメリカ文学・ボーダー文化論)
どんなに狭隘な世界に住んでいても、私たちの生活はグローバルな世界経済、国際政治と切り離されてはいない。

自分だけに通用する常識やイデオロギーを「他者」に投影するような素朴な語り口では、そうした複層的な世界を表現できないばかりか、害悪でさえある。

小説のよしあしは、そうした複雑きわまりない世界や語り手の自意識をどのように処理するかにかかっているが、それを大まじめにやりすぎると、一般読者を遠ざける難解なものになってしまう。

しかし、ここにあげた小説は、複雑な世界と歴史を扱いながらも、物語としてリーダブルなものばかり。すぐれたポストモダン小説の模範だ。

1コーマック・マッカーシー(黒原敏行訳)『血と暴力の国』(扶桑社文庫)

2ブルース・チャトウィン(芹沢真理子訳)『ソングライン』(めるくまーる)

3オルハン・パムク(和久井路子訳)『雪』(藤原書店)

4フアン・ルルフォ(杉山晃・増田義郎訳)『ペドロ・パラモ』(岩波文庫)

5マーガレット・アトウッド(鴻巣友季子訳)『昏き目の暗殺者』(早川書房)

6ピーター・ケアリー(宮木陽子訳)『ケリー・ギャングの真実の歴史』(早川書房)

7アラスター・グレイ(森慎一郎訳)『ラナーク 四巻からなる伝記』(国書刊行会)

8ドン・デリーロ(上岡伸雄訳)『コズモポリス』(新潮社)

9リチャード・フラナガン(渡辺佐智江訳)『グールド魚類画帖――十二の魚をめぐる小説』(白水社)

10レイナルド・アレナス(安藤哲行訳)『夜になるまえに』(国書刊行会)


(『考える人』(新潮社)2008年春号 アンケート回答)

参考 『考える人』のサイト http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/

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