旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

芝桜と秩父神社と天覧山と 西武池袋線・西武秩父線を完乗!

2024-04-13 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

急行の赤い電光表示も誇らしげに、飯能ゆきの10両編成が3番ホームに入ってきた。
この6000系電車は1992年のデビューと云うから、すっかりベテランの貫禄を身につけている。
西武鉄道線を完乗してから9年が経った。このあたりで再び沿線を呑み歩きたい。

最初に旅する池袋線の起点は西武池袋駅、池袋のランドマークとも言える西武池袋本店の1階にある。
このビルは昨年9月に米投資ファンドが買収、売場・ブランドは次々に取り扱い終了となり改装に入っている。
よもやこの青い看板が落ちるようなことにだけはなって欲しくない。。

所沢を出てから、池袋線は緩やかな勾配を直線的に駆け上がってきたのだけれど、
狭山市に差し掛かる頃には、耐え切れず、大きなカーブと急な勾配で狭山丘陵を登る。
途中下車した入間市駅も、そんなカーブと勾配の中にあった。

航空自衛隊の町入間には、旧陸軍航空士官学校跡地に「修武台記念館」という歴史資料館がある。
チャンスがあれば見学会に応募してみたい。今回は敷地外から F-86F-40 をパチリ。

隣接する「彩の森入間公園」では噴水が飛沫をあげ、新緑が木陰をつくっている。
沿線に住んでいたなら、バケットとチーズとワイン、それに文庫本を持って昼寝に出かけたい。

丘陵を登ってきたのは40000系電車、転換するとクロスシートになって座席指定列車として運用される。
FREE Wi-Fi や多目的トイレを設備し、乗って快適な新型車両だ。

入間市駅から3つ目の飯能駅はスイッチバック構造になっている。
ここから向きを変えて吾野方面へは本格的な山登りになるが、特急を除くほとんどの列車は飯能止まりだ。

飯能駅を背に飯能大橋まで来たら、薫風に吹かれて入間川沿いを下流へ向かって歩いてみる。
加治橋の袂に “天覧山” の五十嵐酒造を訪ねる。純米酒を中心に何本か求めたので何れご紹介したい。

旅の続き、西武秩父ゆきの4000系は、ライオンズカラーの2扉セミクロスシート車両。
いわゆる旧国鉄の急行車両のようなタイプ、たっぷりの旅情に車中酒を楽しむにはこれでなくちゃ。
構内コンビニでワンカップを買って準備万端、でも発車間際に駆け込んできたカップルと相席に。残念。

ところがだ、この華人のカップルは呑み人の前で、不埒なほどイチャつき始めるのだ。
しからば止むなく或いは対抗上?ボクはカポッと “秩父錦 金印” を開けるのだ。
コクとキレのある淡麗辛口にアテの “いぶりがっこチーズ” がよく相応う。これって絶品です。

終点ひとつ手前の横瀬駅で降りると、芝桜の丘(羊山公園)は近い。
秩父のシンボル武甲山を背景に、見ごろを迎えて、色とりどりの花じゅうたんが美しい。

芝桜は北アメリカ原産の多年草で別名をハナツメクサという。
数ある種類の中でも、この “スカーレットフレーム” と “多摩の流れ” が好きかなぁ。

横瀬駅を発った4000系が大きなS字を描いて荒川の河岸段丘を下りる。っとそこは秩父線の終点 西武秩父だ。
秩父線は池袋線の事実上の延伸路線なのだけれど、戦前に開通した吾野までの池袋線と区別している。
秩父線(吾野〜西武秩父)が開通した1966年、同時に特急レッドアローが誕生している。

西武秩父駅はフードコート「祭の宴」や日帰り温泉「祭の湯」を併設した駅舎を持つ。
レジャーランドのような駅は、休日ということもあって、家族連れ、グループ、カップルで賑わっていた。

これだけで腹が膨れるのは分かっていながら、どうしても食べたいのが秩父のB級グルメ “みそポテト” だ。
きょうは秩父そばの人気店「立花」を訪ねて、秩父地粉と武甲山の伏流水で打つ二八蕎麦をいただく。
少し豪華に過ぎる天ぷらを持て余しつつも、喉越し良く、二八を一枚、ズズっと啜って美味しい。

世に名高い例大祭 秩父夜祭(ユネスコ無形文化遺産)で知られる秩父の総鎮守 秩父神社を訪ねる。
お元気三猿、子宝子育ての虎 と つなぎの龍(いずれも左甚五郎作)と極彩色の彫刻が施された社殿は、
徳川家康の命により建てられたものというから、その時代の、例えば東照宮の雰囲気に似ていなくもない。

さて、御本殿に奉納されていた菰樽の一つ “武甲政宗” の蔵が、その重厚な佇を残している。
お約束通りに利き酒を楽しんだら、お気に入りの純米酒を求めてご満悦なのだ。

さて今宵の一杯は飯能駅まで戻って、いや宵というより寧ろ昼呑みの時間ではある。
駅近の隠れ家的居酒屋「なかよし」は、午後2時に縄のれんが掛かる稀有な店だ。

件の縄のれんを潜る。L字に切った年季の入った白木のカウンターが7席、居酒屋というより小料理屋って感じ。
お通しの大根とごぼう天の “おでん” が絶品、上品な出汁がいい味を出している。
唯一がっかりしたのは、地酒の “天覧山” を切らしてしまったんだって、そりゃないよ。

それでは東北の酒で揃えようと、一杯めは秋田県は八峰町、山本酒造店の “白瀑 ど辛” を択ぶ。
“お刺身盛” をつまみながら、日本酒度+15の超辛口が飲みごたえ十分なのだ。

後客が入ってくる。座敷に入った予約客はゴルフコンペの帰り。
小上がりに上がり込んだ5人はリュックを背負ってきた。
なるほど合点が入った。午後2時から暖簾をかけるのは、こういう来客ニーズがあるからだね。

次なるアテは “若鶏の甘唐揚げ”、いいテリをしてるし、これは美味しい。
福島の “会津中将 純米” は、濃醇だがしかしすっきりとした味わい、肉料理にも上手に相手をしてくれる。

さてと、カウンターに常連の二人連れが入るのを潮に店を出る。八十八夜を過ぎて外は明るい。
ゴルフに登山に呑み鉄に、大人の遊びに優しい町に感謝しながら、西武池袋線、西武秩父線の旅を終えよう。

西武鉄道 池袋線 池袋〜吾野 57.8km 完乗
西武鉄道 秩父線 吾野〜西武秩父 19.0km 完乗

君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/ 中原めいこ 1984



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