底冷えがする学研奈良登美ヶ丘駅、夕陽に照らされるようにオレンジに染まった近鉄7020系電車が並んだ。
行政区域は奈良市になるんだね。でもこの街に住む人や機能は奈良中心部ではなくて大阪を向いている。
冬の低気圧が張り出した日、近鉄けいはんな線〜Osaka Metro中央線を呑み潰して、大阪の海を見に行こう。
大阪・奈良の府県境に立ちはだかる生駒山地(生駒山=642m)を穿つのは、4.7kmと長大な生駒トンネルだ。
その長い急勾配を駆け下りて、Osaka Metroの24系電車が、麓の新石切駅に滑り込んできた。
第三軌条方式の複線が地下に潜って長田駅で乗務員が交代する。ここが近鉄とOsaka Metroの結節点なのだ。
さらに4つ目、JR大阪環状線との乗換駅森ノ宮で2度目の途中下車、大阪に来たら太閤はんにご挨拶したい。
弱々しい冬の陽に照らされて、さしもの5層8階の大天守も、なんだか黄昏ているようにも見える。
豊國神社前に立つ豊臣秀吉公像、軍配を手に陣羽織、具足を身に着け、彼方を見据える。何を思うのだろうか。
森ノ宮駅にスペクトリウムグリーンの20系電車が滑り込んできた。すでに車齢40年に近いベテランなのだ。
葉が落ちたイチョウ並木にパープルのイルミネーションが煌めく御堂筋、今宵の大阪は粉雪が待っている。
堺筋本町で3度目の途中下車、箒屋町筋は「本町ぼんてん」の縄のれんをくぐる。以前から気になっていた店だ。
縦長のコの字カウンターを10席ほどが囲む。炉端焼きになっているんだね。客層はむしろお嬢さんが多い。
能勢の酒 “秋鹿” を択ぶ。超辛口の純米吟醸は、香り爽やか、口当たり瑞々しく、ふくよかな旨味が楽しい。
小ぶりな焼き物に “お刺身盛合せ”、先ずはモンゴイカとタコにレモンを絞っていただく。美味しい。
“宇和島のじゃこ天” を焼いてもらった。おろしポン酢でいただく。ちょっぴり七味も振ってね。
冷えた生原酒がグラスを曇らせる。二杯目は交野の “片野桜”、深いコクとふくらみある味わいの雄町がいい。
新酒の季節、“大治郎” は大阪を飛び出して東近江の酒、フレッシュなうすにごり生原酒が美味い。
凍えるこんな日は “播磨産カキ入り湯豆腐” を。さっぱりした出汁に柚子を散らして温かいアテがいい。
マスクの中に新酒の余韻を残して、帰宅ラッシュが始まった堺筋本町から大阪市街を横切り海をめざす。
終点手前の大阪港駅、降車客のほとんどは外国人だ。欧米の方と中国系の方と半々って感じだろうか。
もちろん目的地は海遊館、なんだかその情景が寂しいと思ったら、激しい季節風に観覧車が止まっているのだ。
新鋭の30000A系にやっと当たった。最後の1区間、大阪港咲洲トンネルを潜ると終点のコスモスクエア駅だ。
Hold me tight 大阪ベイブルース ♪、恋や夢のかけらを流した冬の海が悲しい色をしている。
近畿日本鉄道 けいはんな線 学研奈良登美ヶ丘駅〜長田 18.8km 完乗
Osaka Metro 中央線 長田〜コスモスクエア 17.9km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
悲しい色やね / 上田正樹 1982
奈良の登美ヶ丘から堺筋本町ってディープな奈良と大阪をご存知ですネ♪
本当に地方のことまでよくご存知です♪ビックリ!?
この歌を知っていたので 歳を感じます。
御堂筋と言えば 私の場合
雨の御堂筋(欧陽菲菲)
たそがれの御堂筋(坂本スミ子)
でかなり大昔の曲
暖かくなりましたね。X‘mas、いかがお過ごしですか。
出張先がこの辺りにあるので、お店、気になってました。
はじめましての街・町で呑むのもなかなか楽しいです。
もしかして京都でX’masでしょうか。
羨ましい限りです。
残すところわずかですね。
寒くなってきました。ご自愛ください。