旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

神磯の鳥居と海鮮丼と月の光と 大洗鹿島線を完乗!

2023-09-09 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

深紅と橙を満載して2両編成の6000形気動車が鹿島サッカースタジアム駅にやってきた。
大洗鹿島線の終着駅は、試合開催日に一部の列車のみが停まる臨時駅になっている。

そろそろ青春18きっぷの残りを持て余しそうな土曜日、常磐線に乗って水戸をめざす。
朝のビールを買い込んでグリーン車に乗ったはいいけど、後10両は土浦で切り離しだって、
えっ、いつからそんな運用になったの?呑み人は少しおかんむりだ。

少し短い水戸駅の8番ホームに8000形の気動車がたった1両、エンジンを響かせている。
描かれているカッパは何だろう。(あとで調べたらJX金属という会社のPR大使らしい)
ボクは「伝染るんです。」という4コマ漫画を思い出してしまう。

水戸を発った “カッパーくん” は暫し常磐線と併走した後高架に上る。
ここまで踏切は2箇所、この先は終点まで連続立体交差になっている。意外と高規格なローカル線だ。

“カッパーくん” の1135Dは途中の大洗止まり、時間にしてわずか15分の旅だ。
たった1両ではあるけれど、乗車率150%くらいの満員の乗客は何処へ何しに行くのだろうか。

真夏の青空を背景に、大洗駅前では青い背を煌めかせて、カジキマグロが跳ね踊っている。
ボクの目的はいたって単純で、美味い海鮮を食べながら一杯やる。って純粋?なものだ。

真っ白な磯浜灯柱が目印の大洗海岸、海水浴もこの週末あたりが最後だろうか。

大洗海岸を見下ろす断崖の上には「大洗磯前神社」が鎮座している。
御祭神が降臨された岩礁を「神磯(かみいそ)」と言って鳥居が建ち、大洗のシンボルといえる。

その御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)、
国造りの神話においてはこの二神が共演する場面が多いようだ。

神が舞い降りた地で醸す “月の井”。やや辛でさっぱりした夏純米をいただく。
傍にイワシの “骨せんべい”、こいつをボリボリやりながら着丼を待つのが愉しい。

店の名前を冠した “海鮮丼” は、なかなか贅沢な丼だった。これに “かに汁” を付けてご満悦。
ご飯の上に “カニのほぐし身” を敷き詰めたら、厚切りの “大トロ” をのせる。
ふんだんに “イクラ” をぶっかけたら、“カニ爪” でマウントをとる。赤のグラデーションがキレイだ。

先ずは小鉢と “大トロ” を肴に夏純米を堪能する。
たっぷりと溶いたわさび醤油を垂らして丼にかかる。口に運ぶほどに赤が溶けあって美味しい。
汁からのぞく “カニ足” をほぐす。御多分に洩れず無口になってしまう。いやそもそも一人だけど。

満足の腹を抱えて大洗駅に戻ってきた。口の中がまだ甘い。美味い酒と丼に至福だ。

13:59発の145Dは、鹿島サッカースタジアムに停車するこの日最初の便、
なのにたった1両はつらいなぁ。ショルダーバックのワンカップに出番はなさそうだ。

夏草を巻き上げて8000形が疾走する。ほぼ直線の高規格線路だから気動車といえども90km/hを超える。
キラキラと輝く北浦を離れると色づき始めた田圃が広がる。遠くに筑波山のシルエットが浮かんでいるね。

大洗から1時間、8000形気動車は満員の乗客を余すところなく吐き出す。
1番線には水戸行きの気動車が入ってきた。この駅で上り下りの列車が交換するようだ。

鹿島サッカースタジアム駅は、JR鹿島線と大洗鹿島線、双方の終点となっている。
実際の運用は大洗鹿島線が、JR線をひと区間乗り入れて、水戸〜鹿島神宮を走っている。

駅からスタジアムまでは、香ばしい匂いと煙がサポーターを誘うキッチンカーの通路を抜ける。
生ビールと牛串で一杯やるのもいいかなぁ。でも呑み人はここでは完全アウェーだ。
深紅のアントラーズサポーターは列を作ってゲートから階段へと続く。むしろアントって感じかな。

後続の149Dが到着すると4つのドアから深紅が溢れ出す。時々混ざる橙はアルビレックス新潟のサポーターだ。
ほぼ空になったこの6000形気動車は、昭和生まれのいささか古い車両だけど転換クロスシート。
気動車のエンジン音と少し大きめの揺れに身を委ね、当間隔で頬を撫でる扇風機に吹かれながら、
良く冷えた生酒をちびりちびり呑んだら愉しいだろうな。でも終点まではあと一駅だ。

鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線 水戸〜鹿島サッカースタジアム 50.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
恋はご多忙申し上げます / 原由子 1983  



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (イワセアグリセンター)
2023-09-10 06:42:29
イワセアグリセンターと申します。
素敵な旅ブログを、ワクワクしながら拝見しています。
今回の茨城ブログは、見慣れた景色が何とも美しく
嬉しく読ませていただきました。
神磯の鳥居は清々しい気分になれる、大好きな場所です。
大洗鹿島線から見える田んぼも、長閑で良いですよね。
ぜひまた茨城にお越しください!
返信する
大洗 (tsakae)
2023-09-10 08:10:24
茨城県民時代になんどかいきました。
那珂湊鉄道(ひたちなか海浜鉄道)
は完走しましたが
大洗鹿島線は水戸駅で車両を見るだけで
乗ったことはありません。
今思うと 乗っておけばよかったと思います。
大洗磯前神社には初詣に行ったこともあります。
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イワセアグリセンター 様 (呑み人)
2023-09-10 17:15:08
こんにちは。コメントありがとうございます。
今年は2度目の大洗です。春には単車でネモフィラを見に行って、
今回は鹿島臨海鉄道で呑み鉄しての訪問です。
神磯が清々しくも神々しく、身が引き締まる感じがしますね。
いつか日の出を見たいと思っております。
ところで、もう少しで「秋そば」の季節ですね。楽しみに待っております。
宜しかったら、このページにもまたお訪ねください。
返信する
tsakae 様 (呑み人)
2023-09-10 17:20:52
こんにちは。いつもご訪問ありがとうございます。
大洗磯前神社の初詣、いいですね。
よく写真で見る波飛沫と日の出の風景を見たいものです。
やっぱり相当に混雑するのでしょうね。
tsakae様は、いろんな所にお出かけでいらっしゃいますね。
羨ましい限りです。
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Unknown (コタパパ)
2023-09-11 06:02:33
訪問ありがとうございます。
良い旅をされてい、羨ましいです。
お身体に気をつけて下さいませ。
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Unknown (呑み人)
2023-09-11 20:28:18
コタパパ 様、こんばんは。
ご来訪ありがとうございます。
食の探訪、旅先の丼、拝見させてください。
コメントありがとうございます。
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