08:00 「日野宿」
日野宿は本陣1、脇本陣1、問屋1、旅籠20軒、大久保長安によって整備された。
このあたりで漁れる多摩川の鮎は将軍家に献上されたという。
甲州街道を歩く第3日目は日野宿本陣前をスタートする。
甲州街道は日野駅前で直角に西へと向きを変える。辻にはギャラリーカフェが在る。
ほどなく左手に宝泉禅寺、新撰組六番隊組長、井上源三郎の墓がある。
井上は鳥羽伏見の戦いで戦死している。
その先、坂下地蔵堂は“西の地蔵”と呼ばれ、ここが日野宿の京方の入口であった。
道は中央本線に塞がれてしまうので、一旦駅前に戻ってガードを潜って反対側へ。
庚申塔(元禄7年のもの)に見送られ日野台へと大坂を上る。
08:40 「日野台一里塚」
日野自動車工場敷地を過ぎた日野台交差点辺りに江戸日本橋から十里目の一里塚の跡。
北塚は昭和初期、南塚も昭和30年代に取り壊されたそうだ。
この辺りの甲州街道はR20に上書きされているが、大和田町付近に旧い道筋が残っている。
馬頭観音、道祖神を見ながら、大和田橋で浅川を渡り、八王子市街に入って行く。
09:30 「竹の鼻一里塚」
八王子宿に向かう新町の枡形手前に一里塚跡碑が建っている。
並びの永福稲荷には江戸中期に活躍した力士八光山の金剛像が在る。
09:50 「八王子宿」
八王子宿は、東から横山宿・八日市宿・八幡宿からなる約2kmの宿並みの総称。
酉の市で有名な市守大鳥神社が江戸方の入口で木戸があったそうだ。
横山宿の本陣は八王子横山町郵便局のあたりだ。
八王子市夢美術館前には、八日市宿跡碑がある。
八木宿には酒蔵「桑の都」の小澤酒造場がある。最も醸造場自体は移転してしまっている。
絹織物の産地の八王子は別名「桑都」、この名前を銘柄に戴いたのが小澤酒造場の酒。
酒蔵は宿場の華なのだ。
八王子宿の京方は追分となっている。「左甲州道中高尾山、右あんげ道」の道標。
あんげ道とは甲州街道の裏街道である陣馬街道のこと。
左甲州街道は追分から多摩御陵入口まで美しい銀杏並木が続いている。
多摩御陵入口の先でも甲州街道は旧い道筋を辿ることができる。
摩耗した古い地蔵尊に出会ったり、黒塀の旧家を見ることができる。
道路脇には用水が流れて街道情緒を感じる。
11:20~11:50 高尾駅
甲州街道が再びR20と重なると高尾駅。いちょう祭と高尾山の紅葉狩りで賑わっている。
駅前の蕎麦処「岸本屋」の暖簾を潜る。品書きに先ほどの小澤酒造場の「桑の都」がある。
まだ先の道のりがあるのだが、ついつい手が出て山菜の盛り合わせで一杯。
ほろ酔いになったところで〆に名物「とろろそば」をいただく。
気を取り直して再び歩き始める。中央本線を潜る両界橋の袂に古い石地蔵尊。
これを過ぎるとR20を右手に分かれて線路沿いに勾配を上り始める。
駒木野病院の脇には新旧の地蔵尊が祀られている。
12:20 「小仏関所」・「駒木野宿」
“入り鉄砲に出女” を厳しく取り締まった小仏関所。
碑の前には「手形石」と「手付き石」が残っている。
隣接する駒木野宿はこの先の小仏宿と合宿、問屋の業務は月の後半を勤めた。
本陣1、脇本陣1、問屋3、旅籠12軒がその規模だ。
駒木野宿を抜けると念珠坂碑と地蔵尊、その先荒井地区には庚申塔など石仏石塔がある。
右手頭上に中央道と圏央道の八王子JCT。道沿いの道標は「是れより高尾山道」を刻む。
13:00 「小仏宿」
甲州街道はいよいよ本格的な山道となって小仏川沿いをいく。
小仏宿は本陣、脇本陣は無く、問屋1、旅籠11軒と難所小仏峠を控えては寂しい規模だ。
道沿いに十数件の民家があるが、宿場を感じさせるものは無い。
宿場を抜けるとバスの折り返し所、高尾山から下りてきたハイカー達で混み合っている。
日野宿~八王子宿~駒木野・小仏宿 16.0km 所要5時間、次回は小仏峠を越える。