「空港で犯罪者扱い」…
韓国はなぜ中国の最初の報復対象となったのか
中国が10日に韓国と日本に対して取ったビザ発給停止措置が、その他の国へも拡大するかに関心が集まっている。中国当局は立場を明確にしていないが、可能性は示唆している。
中国外交部の汪文斌報道官は10日のブリーフィングで「韓日以外の国に対してもビザ発給を中止するのか」と問われた際、「我々は一部の国が中国に対して取っている差別的入国制限措置に断固反対し、相互措置も取る」と答えるにとどまった。意図を明らかにしつつも具体的な内容は言わない中国式の話法を用い、両国以外に対しても同様の措置を取る可能性を示唆している。中国の官営メディアもこの日、中国当局の韓日両国に対するビザ発給停止について報じつつ、今回の措置を「1次措置」と表現した。2次、3次の措置が取られる可能性があるというニュアンスを漂わせたのだ。
韓国だけでなく日本もビザ発給停止の対象国とされたことから、さらなる報復の可能性が高まっている。韓国は中国に先立って中国人に対するビザ発給を停止しているが、日本はビザ発給を停止しておらず、中国からの入国者に対してPCR検査を義務付けるにとどまっている。今回の措置が「目には目を」という相互主義原則のみに則ったものではないことを示すものだ。
したがって、日本と似たような措置を取っている国々も中国の追加報復の対象となる可能性が生じている。ただし現在のところ、中国からの入国者全員に対して入国後のPCR検査を強制している国は韓国、日本、台湾のみ。欧州連合(EU)は最近、27の加盟国に中国からの入国者に対する防疫を強化させているが、全員に対するPCR検査ではなく無作為検査を奨励している。米国もPCR検査は中国からの入国者全員に対して行ってはいない。中国は、これらの国に対してはビザ発給停止ではなく、それより低い段階の措置を取る可能性がある。
中国が韓国を最初の報復対象としたことについては、中国が公式に掲げる「相互主義」の他にも、韓国に対する中国内部の不満も影響を及ぼしているとみられる。このところ中国のマスメディアやSNSでは、中国に対する各国の防疫関連の制限措置に対して不満を吐露する文章が多く見られるが、特に韓国政府の措置を批判する書き込みや記事が広範に広がっている。一部の書き込みは1億回以上読まれており、韓国に対する怒りを広めている。
例えば、中国人が仁川(インチョン)空港に到着すれば必ず黄色の標識をかけさせられるが、中国のネットユーザーらはこれについて「全世界の入国者の中で中国人だけにイエローカードをかけさせる。屈辱的だ」「犯罪者扱いしている」と強く糾弾している。また、入国後に感染が確認された際に隔離される施設の環境が悪く、中国人の必需品であるお湯も提供されないとの批判も見られる。
中国当局が韓国に対するビザ発給停止を発表した直後の10日午前0時、中国官営の「グローバル・タイムズ」は社説でこのような内容を報じ、韓国政府に釈明を求めている。