IBK経済研究所は報告書で、「米国企業とそれ以外の企業に対する補助金の格差が拡大する余地がある。韓国企業のファウンドリ占有率が低下する可能性がある」と語っている。

2024-07-21 19:15:12 | 韓国を知ろう
 

トランプ有力論の台頭で…バイデンに投資した韓国企業は超緊張

登録:2024-07-18 00:37 修正:2024-07-18 08:03

 

韓国の二次電池、自動車、半導体メーカーなど 
トランプの保護貿易強化予告に苦心
 
 
                                    米国のドナルド・トランプ前大統領/AFP・聯合ニュース

 11月の米国大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領再選の可能性が高まるにつれ、韓国産業界の緊張感も高まっている。トランプ前大統領は電気自動車(EV)の拡大などのエコ政策には否定的であるうえ、普遍的な基本関税の導入など、保護貿易の強化を予告しているからだ。バイデン政権の政策に沿って投資を増やした韓国の二次電池、半導体、完成車メーカーの苦悩は深まっている。

■トランプ「自動車を100%電気自動車にはできない」

 トランプ前大統領は16日(現地時間)のブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューで、「自動車を100%電気自動車にはできない。彼ら(バイデン政権)は誰もまともに分かっていない莫大な補助金(IRA)を与えている」と語った。IRAによってEVの拡大を推進してきたバイデン政権の政策を覆すということだ。

 トランプ前大統領はまず、IRAに手をつけるとみられる。2022年8月に施行されたIRAは、米国内で作られたバッテリーやEVに限って補助金を与え(消費者)、税額を控除する(企業)制度だ。LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDIなどの韓国の二次電池メーカーは、この制度をテコとして米国現地に攻撃的な投資を続けている。ただし、IRAは廃止より縮小の可能性の方が高いというのが大方の見方だ。共和党の強い地域もIRAにもとづいた投資が増えるなどの恩恵を受けているためだ。サムスン証券地政学分析チームのチーム長を務めるユ・スンミンさんは、「IRA廃止は立法手続きを踏まなければならない。だが各州の利害が異なるし、共和党が議会を圧倒的に支配できなければ廃止の推進は難しい。大統領固有の権限である行政命令でIRAの効果を低下させようとするだろう」と語った。産業研究院のファン・ギョンイン副研究委員は5月に発表した報告書で、「IRAの変化が可視化すれば、韓国のバッテリー産業は困難に直面する可能性が高い」と述べている。

■自動車の対米貿易黒字「ブーメラン」

 現代・起亜自動車も米国の大統領選挙の影響下にある。米国第一主義を強調するトランプ前大統領によって、海外完成車メーカーが貿易収支の赤字を減らすための「ターゲット」とされる可能性があるからだ。昨年の自動車産業(完成車、EV、部品)の対米輸出額は453億ドルで、4年前(223億ドル)から103%増加している。産業研究院のキム・ギョンユ先任研究委員は、「トランプが政権に返り咲いた場合、韓国車の対米輸出は大きな打撃を受けることが予想される。韓国は『普遍的関税の対象国』とされる可能性が高い」と述べた。現在、米国への完成車、EVの輸出は基本関税が2.5%だが、韓米自由貿易協定(FTA)によって「無関税」の適用を受けている。トランプ前大統領は大統領選挙の公約として、無関税協定を締結しているかどうかとは関係なしに、すべての輸入品に10%の関税を課すことを掲げている。

■米中競争の中で半導体への影響は限定的

 米中戦略競争の核心をなす半導体産業に対しては、米政府の支援が継続されるだろうとの見方が有力だ。中国をけん制し、半導体産業を自国内に誘致するという戦略は、党の違いを超えて支持されているからだ。ただし、トランプ前大統領が台湾問題に言及した際に「彼ら(台湾)は米国の半導体事業の約100%を持ち去った」と述べたことを考えると、「半導体支援法」に則った補助金を米国企業に集中させる可能性も排除しがたいという見解もある。IBK経済研究所は報告書で、「米国企業とそれ以外の企業に対する補助金の格差が拡大する余地がある。韓国企業のファウンドリ占有率が低下する可能性がある」と語っている。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「今の北朝鮮は再び挑発を続けている」とし、「しかし、われわれが再会すれば、私は彼らとうまくやれる。彼はおそらく私に会いたがるだろうし、懐かしく思うだろう」と述べた。

2024-07-20 10:40:40 | 朝鮮を知ろう。

トランプ前大統領

「ラブレター」交わした金正恩委員長に「私に会いたがるだろう」

登録:2024-07-20 08:38 修正:2024-07-20 09:42

 

「核兵器を多く持つ彼と仲良くするほうがいい」
 
 
米国のドナルド・トランプ前大統領が18日、共和党全党大会の会場で指名受諾演説をしている/AFP・聯合ニュース

 米国の共和党大統領候補に選出されたドナルド・トランプ前大統領が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に対する格別の連帯感を誇示した。

 トランプ前大統領は、共和党全党大会の最後日の18日(現地時間)、指名受諾演説で「私は北朝鮮の金正恩とうまくやってきた」とし、「メディアはそれを嫌った。どうやって彼とうまくやっていけるのかと言った」として、金委員長を引き合いに出した。

 トランプ前大統領は在任中、金委員長と歴史上初の朝米首脳会談を実現させた。ハノイ会談は「ノーディール」で終わり、実質的な成果を引き出すことはできなかったが、その後も退任時まで、いわゆる「ラブレター」と呼ばれた親書を交わし、金委員長と個人的に親交を続けた。

 トランプ前大統領は先月27日、米国のジョー・バイデン大統領との初めてのテレビ討論でも、北朝鮮の金正恩委員長について何回も話題にした。

 トランプ前大統領はこの日の演説で「多くの核兵器を持つ者と仲良くすることは良いこと」だとしたうえで、「どうやってそんなことができるのかと言うが、私は彼らとうまくやってきたし、われわれは北朝鮮のミサイル発射を中断させた」と述べた。

 また、「今の北朝鮮は再び挑発を続けている」とし、「しかし、われわれが再会すれば、私は彼らとうまくやれる。彼はおそらく私に会いたがるだろうし、懐かしく思うだろう」と述べた。

パク・ヒョンチョル記者、聯合ニュース (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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オバマ元大統領が側近たちに「バイデン大統領が大統領選で勝利する可能性が急激に低下した」とし、候補でいつづける問題を深刻に考えなければならないという立場を明らかにしたという報道も続いた。

2024-07-20 10:32:05 | 問題がないは、大問題
 

バイデン大統領、

残るは「退く決心」だけか…米民主党「早ければ週末にも決断」

登録:2024-07-20 08:58 修正:2024-07-20 09:21

 

「バイデン大統領、深刻にとらえている」 
相次ぐ党内の要求に大統領選放棄を熟考
 
 
ジョー・バイデン米大統領が16日(現地時間)、ネバダ州ラスベガスのサザンネバダ大学で開かれたイベント会場で演説中に咳払いをしている=ラスベガス/AFP・聯合ニュース

 ジョー・バイデン米大統領が大統領選挙戦からの撤退を検討しており、民主党内部ではバイデン大統領の候補辞退を「時間の問題」とみていると、ロイター通信が18日(現地時間)報じた。バイデン大統領の味方とされてきたナンシー・ペロシ元下院議長、バラク・オバマ元大統領など民主党の重鎮らの憂慮の表明により、早ければ今週末頃、選挙戦からの撤退を決断するという見方も出ている。

 ロイター通信はこの日、事案に詳しい消息筋の話として「(バイデン大統領は)この問題を非常に深刻にとらえている」とし「自己省察をしている」と述べたと報じた。先月27日の初のテレビ討論後に相次いだ党内からの候補辞退要求を一蹴したバイデン大統領は、チャック・シューマー上院院内代表、ハキーム・ジェフリーズ下院院内代表など院内指導部に続き、党内の重鎮までもが危機感を表明したことで「撤退の兆しを見せた」とロイターは伝えた。

 この日、ペロシ元議長は一部の下院議員に「バイデン大統領を近いうちに選挙戦から撤退するよう説得できると確信する」と話したと、ワシントン・ポストが報じた。また、オバマ元大統領が側近たちに「バイデン大統領が大統領選で勝利する可能性が急激に低下した」とし、候補でいつづける問題を深刻に考えなければならないという立場を明らかにしたという報道も続いた。バイデン大統領が候補でいつづけた場合、トランプ前大統領にホワイトハウスを明け渡すことになるのはもちろん、大統領選と同時に行われる下院選挙と上院選挙の一部の勝利も期待できないという非公開の世論調査結果が出て、内部のムードが急激に変わったという。バイデン大統領は17日、新型コロナウイルスに再感染し、デラウェア州の官邸で隔離中だ。

 CNNは、民主党所属のある州知事が「これからの72時間は大きい。これ以上は続けられない」とし、バイデン大統領の候補辞退の時期が近づいていることを側近たちに話したと報じた。またインターネットメディアのアクシオスは、バイデン大統領の側近を含む民主党の高位関係者らが、今週末にバイデン大統領が候補から退く決断を下すよう説得されるものとみていると伝えた。

 有力な代替候補として取り上げられているカマラ・ハリス副大統領はこの日、ノースカロライナ州のフェイエットビルで遊説を続けた。ワシントン・ポストはハリス副大統領の演説を「民主党大統領候補指名のためのオーディションのようだった」と表現した。

 党内世論もハリス副大統領に有利だ。エコノミストとYouGovが13~16日に行った世論調査で、民主党支持層の79%がバイデン大統領の撤退の際にはハリス副大統領を大統領候補として支持すると明かした。ただし、一部ではオバマ元大統領の妻のミシェル・オバマ夫人や、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏などが「サプライズ登板」する可能性も言われている。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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スミ・テリー上席研究員は米国人であり、米国の現行法に違反した疑いで米国の司法手続きが進められているため、韓国と米国政府はこの事件について公式の言及を避けている

2024-07-20 09:25:16 | しらなかった
 

韓国大統領室の監視・盗聴が発覚した米国、

韓国の諜報活動だけ起訴した理由は

登録:2024-07-19 07:55 修正:2024-07-19 09:26

 

米捜査機関、国家情報院とスミ・テリー研究員の10年間の活動を感知 
大統領選の4カ月前に、外国代理人登録法違反の容疑で起訴 
 
「各国に『ロビー活動はするな』と事前警告するモデルケース」との分析 
昨年の韓国大統領室の監視・盗聴発覚に対する「報復対応」の可能性も
 
 
2021年4月、外交問題評議会(CFR)のスミ・テリー上席研究員が、米国ワシントンで国家情報院の要員と一緒に高価なバッグを購入した後、街に出ている様子=米連邦検察の起訴状より//ハンギョレ新聞社

 米中央情報局(CIA)出身の韓国系米国人で、北朝鮮専門家のスミ・テリー米外交問題評議会(CFR)上席研究員が、外国代理人登録法(FARA)に則った申請をせずに韓国政府から金品を受け取り、韓国政府のために活動した疑いで、米連邦検察に起訴された。

 スミ・テリー上席研究員は米国人であり、米国の現行法に違反した疑いで米国の司法手続きが進められているため、韓国と米国政府はこの事件について公式の言及を避けている。米国務省のマシュー・ミラー報道官は17日(現地時間)の会見で、「韓国政府と協議したのか」という質問を受けると、「この問題については言及しない」とだけ答えた。チョ・ヒョンドン駐米大使もこの日の記者団の質問に「特に何も言うことはない」と答えた。韓国の情報機関である国家情報院(国情院)は事案が公開された直後、「外国代理人登録法での起訴報道について、韓米情報当局が緊密に連絡中」とだけ明らかにした。

 この事件をめぐる問題点は、米検察の起訴内容どおり国情院が1回に数百万ウォン分のプレゼントや違法なルートでの研究基金を提供したことが事実であれば、国情院の海外での情報活動の手法は適切だったのか▽機密性が命の国情院の海外情報活動が連邦捜査局(FBI)に発覚したことをどのようにみるべきか▽米国はなぜ今、韓国の情報活動を問題視したのか、そして韓米関係に及ぼす影響は何か、などだ。

 米検察は前日に公開した起訴状で、スミ・テリー上席研究員が2013年から最近まで、韓国政府から金品を提供され、韓国政府に情報などを提供したと主張した。各国の情報機関は、海外で国家の安全保障のための違法活動を秘密裏に遂行している。国情院の海外派遣要員は、世界50カ国あまりの拠点都市で、公使や参事官のような外交官の身分や商社員に偽装して活動している。彼らが行うことは情報収集と工作だ。各国の情報機関が外交で解決できない問題の対応を海外で秘密裏に遂行する現実を考慮すれば、国情院がスミ・テリー上席研究員から情報を得た行為を、米国の現行法に反する違法行為だとばかり非難するのは難しい。

 
 
米連邦検察は16日(現地時間)、CIA出身の北朝鮮専門家、スミ・テリー研究員を韓国政府を代理した疑いで起訴した。昨年11月、ソウルの外交部で開かれた脱北者関連のドキュメンタリー映画の上映会でスミ・テリー研究員が挨拶を述べている/聯合ニュース

 問題は、発覚してはならない国情院の活動が発覚したことだ。米検察の起訴状には、FBIが把握したスミ・テリー研究員と国情院の要員の対話内容と写真がそのまま掲載されている。大統領室高官は18日、龍山(ヨンサン)の大統領室で記者団に「国情院の要員が発覚したことについて、政府レベルでの監察や問責が進められているのか」という質問に、「監察や問責をするとなれば、文在寅(ムン・ジェイン)政権を監察したり問責しなければならない。良い指摘だ。検討してみる」と答えた。同関係者は「(国情院の要員が)写真に撮られたのは、いずれも文在寅政権下で起きたこと」だとし、「当時は文在寅政権下で、国情院から専門的な外部活動を行える要員をすべて追いだし、アマチュアのような人たちで埋めたため、このような話が出てきたようだ」と付け加えた。

 
 
米検察はCIA出身で北朝鮮専門家のテリー・スミ上席研究員を、米政府に申請せずに韓国政府のために働いた疑いで起訴し、16日(現地時間)に起訴状を公開した。31ページにのぼるこの起訴状では、テリー研究員が約10年にわたり韓国の国家情報院などから高価な食事や金品を受け取っていたと指摘。起訴状には、テリー研究員が韓国政府の関係者らとやりとりしたメッセージやどのような接待を受けたかなどについての写真まで掲載された/聯合ニュース

 この主張とは異なり、スミ・テリー上席研究員の活動は朴槿恵(パク・クネ)政権期に始まり、昨年3月には尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を称賛するワシントン・ポストのコラムを外交部の要請を受けて作成した。大統領室高官の主張のように今回の件を文在寅政権の責任だけにするのは難しい。

 米国内での外国の情報機関による違法と合法の境目の情報収集活動は昨日や今日のことでないが、米国はなぜ今、問題とみなしたのか。米検察によるスミ・テリー上席研究員の起訴は、11月の米国大統領選を前に、各国政府による民主党と共和党の大統領候補陣営を対象にした情報活動とロビー活動を制御しようとする意図が含まれているものとみることができる。情報機関出身の元政府高官はハンギョレに「11月の大統領選挙を控え、各国政府による米国内の情報活動とロビー活動をけん制するための事前警告を発信したモデルケースだと思われる」と述べた。

 スミ・テリー事件を担当する米ニューヨーク南部地検トップのダミアン・ウィリアムズ氏は、資料を通じて「公共政策に従事する人たちが自身の専門知識を外国政府に売ろうと思うときは、考え直して法を順守しなければならないという明確なメッセージを伝える必要がある」とする立場を明らかにした。

 問題は、多くの外国の情報機関活動のなかで、よりによって同盟国である韓国を標的にしたことだ。情報機関の元高官は「日本や中国に比べると韓国の情報活動は微々たる水準である現実を考慮すれば、『標的監視』である可能性は排除できない」と述べた。昨年4月に、米国の情報機関がソウル龍山の大統領室で盗聴・傍受などの情報活動を行っていたことが発覚したことに対する「報復性」の対応である可能性も排除できない。

 韓米間の「情報対立」をめぐる報復対応(推定)には先例がある。1996年9月24日、米海軍情報局に勤務していた韓国系米国人のロバート・キム氏が、北朝鮮潜水艇が江陵(カンヌン)に侵入したルートを駐米韓国大使館の海軍武官に教え、逮捕された。韓国は1997年4月、兵器購入を担当していた空軍中佐を、米国人の兵器仲介業者との協業を条件に軍事機密を流出した疑いで摘発し、米国人ら5人を処罰した。ロバート・キム事件から7カ月後に起きた米国人兵器仲介業者事件をめぐり、当時野党からは米国に対する報復対応だとする主張が出てきた。

 11月の米国大統領選を前に、米政府はもちろん朝鮮半島専門家らの緊密な意思疎通が切実に求められる状況において、スミ・テリー事件によって韓国の対米情報活動の大幅縮小は避けられなくなった。情報機関出身の元政府高官は「米国政府の関係者や専門家らが韓国側との接触を避けようとするだろう」とし、「スミ・テリー事件の悪影響は深刻だ」と述べた。

クォン・ヒョクチョル記者、イ・ジェフン先任記者、イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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会議で中国とロシアは、世界の多極化が現実であることを確認し、「反西側」連帯の強化を強調した。採択された「アスタナ宣言」には、「SCOの協力が、ユーラシアの平等かつ不可分な安全保障構造の基盤になりうる」

2024-07-19 09:16:18 | しらなかった
 

「新冷戦の尖兵」韓国

ベトナム・トルコ・インドネシアから学ぶべきこと

登録:2024-07-17 04:08 修正:2024-07-17 09:26

 

[ハンギョレS]ムン・ジャンリョルの安保多焦点 
新冷戦と多極化の時代 
 
ベトナム、米中ロと柔軟な「竹の外交」 
「NATO加盟国」トルコ、ロシアと関係維持 
多極化が混在する国際秩序の再編期 
韓国、外交的柔軟性を回復すべき
 
 
先月ベトナムを国賓訪問したロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)がハノイでベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と会い握手をしている/EPA・スプートニク・聯合ニュース

 「作用・反作用」は、自然現象だけでなく国家間にも適用されるほど普遍的な法則だ。この約1カ月に起きた国際安全保障の動向はそのような視点でおおよそ見ることができる。まず、北朝鮮とロシアは先月19日、「包括的戦略パートナーシップ」を樹立する条約を締結した。「自動介入」を含む事実上の安全保障同盟だ。ウラジーミル・プーチン大統領は翌日ベトナムを訪問し、同「ランク」の関係強化で合意した。プーチン大統領の動きは、米国主導の東アジアの有事同盟体に対応するために、能力があって信用できるパートナーを制度的に確保したものだ。北朝鮮も日増しに強まる韓米日の「脅威」に対応するため、ロシアが必要だったと思われる。

 6月27日から3日間、韓米日3カ国は「フリーダムエッジ」(自由の刃)と命名された「多領域」(multi-domain)合同演習を済州島(チェジュド)南方の東シナ海で行った。多領域作戦とは米国の戦争遂行概念で、空間的には、これまでの陸上・海洋・空中だけでなく宇宙と「サイバー空間」が加わり、機能的には、ABC(核兵器・生物兵器、化学兵器)戦、対テロ戦、心理戦などを含む外交・戦略情報・経済などの非軍事領域まで結びつけられている。朝中ロ3カ国の軍事協力に対抗するという名目もあるが、主には覇権挑戦国である中国に対する封じ込め戦略を後押しする軍事活動だ。

■手ごわい「その他の国」

 世界的なレベルでの重要な動きは、4日(現地時間)にカザフスタンの首都アスタナで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議だ。SCOは2001年6月、中国とロシアの主導で中央アジア4カ国が参加した多国間協議体だ。その後、インド、パキスタン、イランが加盟し、今回ベラルーシが合流したことで、10カ国の加盟国の「多領域」協力機構になった。会議で中国とロシアは、世界の多極化が現実であることを確認し、「反西側」連帯の強化を強調した。採択された「アスタナ宣言」には、「SCOの協力が、ユーラシアの平等かつ不可分な安全保障構造の基盤になりうる」という内容が加えられた。

 SCO首脳会議からわずか約1週間後である9日からの3日間、米国ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開かれた。NATOのアジア太平洋協力国として「選ばれた」韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国(AP4)の首脳は、NATOと別途会談を行った。NATOとAP4間の協力は、NATO加盟国である米国と英国に、オーストラリアが結んだ3カ国同盟(AUKUS、オーカス)を通じてつながっている構造だ。まずAUKUS間で推進されている先端兵器システムと軍事技術の共同開発にAP4が参加し、今後は「戦力が戦略を決める」という手順で、軍事作戦的協力を深めていく可能性がある。

 現在を国際秩序の再編期とみなすのであれば、米国と西欧を一つの勢力とし、中国・ロシアとグローバルサウスをもう一つの勢力とする新冷戦の空気と、多極化の傾向が混在しているといえる。ある人はこれを「西側とその他の国々」(The West and the Rest)間の対決と表現したりもする。「その他の国々」にはインド、中東、ASEAN(東南アジア諸国連合)、アフリカ、南米などを概略的に通称する「グローバルサウス」が含まれており、これらの国々は、西側に対しては協力と対決の二重的な関係を維持しながらも、多極化の傾向において占める割合が次第に増えている。

 覇権は静かに消えはしないため、かなりの期間にわたり、新冷戦的な対決構図のなかで軍事的な緊張と戦争のリスクは増加するものとみられる。米国の覇権維持の戦略は、多層的な同盟の強化だ。東北アジアでは韓米日を同盟水準に維持・強化し、これを台湾やフィリピン、ベトナムなどを通じて東シナ海と南シナ海に拡大する。アジア太平洋地域の同盟体は、AP4を通じてAUKUSとNATOに結びつける。戦略的優勢の範囲をインド洋まで拡張するために、インドをQUAD(クアッド)に引き込んだ。

 多極化の傾向は、中ロの主導で米国の同盟政策に対応する側面とともに、旧ソ連のような陣営内部における単独覇権を想定せず、より「平等な」世界秩序を追求するという特徴がある。これは、グローバルサウス諸国が中ロ主導の多国籍協議体により多く接近しようとし、それが西側の政治・経済・軍事的協議体よりも強くなっている理由となる。たとえば、冷戦期(1973年)に発足した主要7カ国(G7)に対抗するため、脱冷戦期(2009年)に発足したBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ共和国)は、当初から領土・人口・資源などの面で西側をはるかに上回り、昨年には国際通貨基金(IMF)の統計で購買力指数を考慮した国内総生産(GDP)の合計でもG7を追い抜いた。加盟国数も今年はイランやエジプトなどが加盟して9カ国になった。

■安全保障戦略の再調整が必要なとき

 新冷戦と多極化の傾向が乱流のように入り乱れ複雑に進む世界秩序の再編過程において、韓国の生存戦略はどうあるべきだろうか。韓国はすでに「先進国」なのに、「生存」など考える必要があるのかと軽くいなすような話ではない。地政学的な条件や過去の歴史を振り返り、未来を真剣に考えなければならない緊迫した状況にあるからだ。国家戦略として「柔軟性」を回復して発揮するためには、なにより思考の柔軟性が必要だ。

 第一に、北朝鮮に対する接近戦略の柔軟性だ。朝ロ同盟に対しても、軍事的脅威にだけ注目して過度な懸念と糾弾声明ばかりを発表するのであれば、むしろ状況はさらに悪化しうる。実際、北朝鮮の立場からみれば、ロシアとの同盟を通じて、韓国に対する同盟体系および通常戦力の劣勢をある程度克服し、経済に邁進(まいしん)しようとする意図が明白だ。これは、「均衡」という戦争抑止効果とともに、経済発展を通じての民主化の水準と平和指向性を向上させる可能性を意味しうる。

 第二に、ロシアと中国との関係を回復して発展させなければならない。両国はともに韓国政府に対して不満は強いが、それなりに我慢して待つ態度を示している。ロシアについては、朝ロ同盟と関連づけてウクライナに対する兵器支援の可能性を論じるのではなく、1992年に締結した「韓国・ロシア間の基本関係に関する条約」を再読し、盧泰愚(ノ・テウ)政権の北方政策の精神と戦略を回復しなければならない。この条約は、軍事分野を除けば朝ロ条約と根本的には違いはない。中国についても、朝ロ同盟を好ましくみていない隙を利用しようとするのであれば、稚拙かつ下策だ。安全保障と経済関係の根本問題を真剣に協議していかなければならない。

 第三に、米国・日本・西側に傾倒して新冷戦に疾走する安全保障戦略を、一度じっくりと省みる必要がある。これは誰の利益のためのものなのか、あの巨額の機会費用の喪失に対してどのように補償を受けるのか、このように新冷戦の尖兵として突き進むことで望まない戦争に巻き込まれるのではないか、などの疑問が生じるだろう。

 最後に、多極化の本質をみて新時代に相応しい対外関係の多角化戦略を模索しなければならない。おそらく、どんな論理よりもいくつかの国の事例のほうが説得力があるだろう。中国、ロシア、米国を相手に柔軟に展開するベトナムの「竹の外交」、NATO加盟国でありながらロシアとの関係を円満に維持するトルコ、ASEANの宗主国に相応しく大胆なグローバル外交戦略を駆使するインドネシアなどは、韓国よりも経済力と軍事力では劣るが、学ぶべき点が多いのではないか。韓国と北朝鮮が善意の競争をしながら、いつの日かともにSCOとBRICSのオブザーバーから交渉対象国を経て、最終的には加盟国になる日を想像してみる。

ムン・ジャンリョル|元国防大学教授。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で国家安全保障会議(NSC)戦略計画室国防担当、文在寅(ムン・ジェイン)政権の大統領直属政策企画委員会委員など歴任した。『軍事科学技術の理解』などに著者として参加した。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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