26日、税と社会保障の一体改革関連法案が衆院を通過した。1時からNHKの中継を見ていたが、造反者の数はおおよそマスコミの予想通りだった。これで民主党は完全に分裂状態となったが、野田首相は造反者の処分について「輿石幹事長と相談しながら厳正に対応したい」と語るのみ。一方、小沢氏も直ちに離党はせず「近く決断する」と述べただけ、またまた狐と狸の腹の探りあいか。
しかし、小沢グループでは、金曜日の29日にも40人程度の議員が離党届けを提出し、新党を結成する方向で最終調整をしているという報道もある。ただ、離党届を提出しても党執行部がすぐに受理するかどうかは微妙な情勢だという。が、この際、きっぱりと分裂する時ではないかと思う。ここまで来たらもう党内融和、一致団結など絶対に有り得ない。少数政党になるのを恐れて小沢グループを引き止めても、党内野党がいるようなもので、この先また小沢グループの抵抗で「何も決まらない政治」が続くだけである。むしろ、ここで党内をすっきりさせれば、国民の支持率は上がると私は思っている。
輿石幹事長は「野田首相も小沢氏も、誰も党を割って良いとは思っていない」というが、もう党は修復不可能なまでの大きな亀裂ができており、党が割れるか、これまでのように敵対しながらコップの中の争いを続けるのか、そのどちらかなのである。輿石幹事長の認識の甘さというか、小沢氏寄りの思惑で動いているように思えてならない。
万一、野田首相が輿石幹事長に与して、あいまいな処分で事を収拾するようでは「政治生命を懸ける」ことにはならない。頭数だけ揃っていても敵対していてはいないも同じである。どこまでも野田首相にはぶれずに、自分の信念を貫いてもらいたい。ここで厳しい処分を決断しなければ、野田政権への信頼は薄れ、野党からも批判されよう。
私なら、とりあえず、今回の造反劇の張本人である小沢氏1人を除名処分とし、それに続いて離党するものは除名。そして、それ以外の者は「離党の意思なし」として党員資格停止処分が妥当ではないかと考える。とにかく、これまでのような党内抗争はもう真っ平ゴメンである。これまでの民主党と変わりないなら、もう総選挙でガラガラポンにする以外にない。
それにしても、小沢氏は一体、何を考えているのだろうか。新党を立ち上げても看板となるような議員は1人もいない。大半が小沢チルドレンで、比例区で当選した1年生議員は選挙基盤が弱い。失礼だが、民主党にとって数の減るのは困るが、人材としてはいなくなっても一向に困らない者ばかりである。そんな人の寄せ集めで、総選挙に勝っても何ができるだろう。「消費増税反対」だけで行動を共にしようという政党もないだろうし、小沢氏のダーティーなイメージは誰もが敬遠する。それでも「党の代表の座」という夢が捨てきれないで、最後の賭けに出たのであろうか。人間の我欲は見苦しい。もううんざりである。
大西宏氏(エディフィストラーニング(株) 講師・元 松下流通研修所 代表)が『小沢さんは自ら政治生命を絶とうとしている』というブログを書いている。興味深い内容で納得できる箇所が多々ある。
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