その一【本格的な夏を前に、和歌山県有田市で蚊取り線香の出荷が最盛期を迎えている。1890年に同市で誕生した蚊取り線香は、1902年に現在の渦巻き形に進化。国内最大手・大日本除虫菊の紀州工場では、金網に並べて積み上げ、自然乾燥させる昔ながらの製法で、1日に約20万巻を生産している。】
私が物心ついた頃といえば今から70年も前の遠い遠い昔のこと。その頃は、金製か陶器の皿に蚊取り線香を置いて、風の通らぬ蚊帳の中で団扇を使いながら暑い夏の夜を過ごしたものである。今ではエアコンの快適さ、便利さに馴れてしまって、こんな過ごし方は苦痛にさえ感じられるだろう。
最近は、蚊帳を吊って寝るという話は聞かないし、昔ながらの渦巻き蚊取り線香を使用している家も少なくなったように聞く。が、おしゃれな蚊遣り器を好んで、わざわざ蚊取り線香を使う人もいるようで、ネットで見てもそのデザインは豊富である。
可愛らしい動物から奥床しい香炉式の和室向きのものまで、部屋のアクセントとして飾る人もあるそうだが、ほとんどの家庭では電子蚊取り器を使用しているようである。電子蚊取り器にはコンセント式、電池式、マット式があるらしい。というのは、4階とか7階とか高いところに住んでいると蚊はほとんどいないので、そうしたものは一度も使ったことがないのである。
私が子どもの頃の「夏の風物詩」といえば、花火、風鈴、団扇、蚊帳、蚊取り線香、縁台、かき氷などなど、情緒あふれるものがたくさんあった。花火、風鈴、かき氷は今も変わらないが、縁台で蚊取り線香をつけて、団扇を使いながら家族団らんというのはほとんど見かけなくなった。蚊取り器は電子蚊取り器になってしまったが、白い除虫菊の花から作られる渦巻き蚊取り線香が、今も変わりなく生産されているという記事に郷愁を覚えたのである。
その二【今、先進諸国、開発途上国を問わず、子供たちのアタマジラミ寄生率は高く、世界中にアタマジラミが蔓延している。アタマジラミは集団生活をしている保育園、幼稚園、低学年児童に、季節を問わず頻繁に発生。衛生状態には関係なく、頭やからだをくっつけて遊んだり集団で昼寝をしたりすることが蔓延の原因となっている。】
日本でも戦後の一時期、大量発生したが進駐軍によってもたらされた万能殺虫剤DDTの威力と、生活環境の改善により絶滅した。日本ではシラミは一般的な害虫ではないが、外国などではどこにでもいる害虫の一種で、海外旅行の一般化によって、しらみが再び日本に姿を現しているという。
あれは私が小学校の中学年だった頃と記憶しているが、シラミが大発生して、朝の朝礼時、先生だったか、保健所の人だったか定かではないが、一列に並んだ子どもたちの頭にDDTを噴射してゆくのである。老婆のような真っ白な頭をした子どもたちの集団は異様な光景であったが、みんながそうだったから誰も笑う者はいなかった。
そして、家に帰るとシラミ退治である。新聞紙を広げた上に頭をのぞけて、母親が梳き櫛で髪を梳くと、生きたシラミがポトンポトンと新聞紙の上に落ちてくる。また、シラミの卵がくっついた髪の毛は卵が残らないように1本1本抜いてゆく。当時は今のようなシャンプーがあるわけでもなく、洗濯用の固形石けんしかなかったので、シラミ退治はそう簡単ではなかった。
右手の親指と左手の親指で蚤やシラミをぷちんとつぶすのも平気だった。今思うと気味が悪いが、それも今では懐かしく思えてくる。シラミが絶滅するのにそう長い時間はかからなかったように思うが、何だかんだと言っても、GHQのDDTのおかげである。
おそらく、コストダウンの為でしょう。
そうですか。
最近は、何でも化学物質が混ざっているらしく、昔ながらの不純物のないものを探すほうが難しくなりました。
除虫菊は瀬戸内地方で今でも栽培が盛んなようです。
純な渦巻き香取線香って高いのでしょうね。
一台の扇風機で一家が暮らした・・。開けっ放しで寝ても敵は蚊だけ。蚊取線香の匂いがすきでした。
サイバー攻撃初め映画もどき物騒な世の中、ときどきこの分野は世界一斉に使用禁止、50年前に仕切り直せたらいいなぁ・・とぼんやり思う事があります。
昔の物のない時代と、物が有り余る今の時代を生きてきた私達の世代だけが比べてみることができます。
豊かで快適、便利な世の中ではあるけど、何かが欠けている、いつも不安を抱えている。そんな社会で生きることはしんどいでしょう。
勉強に追われることもなく、何も考えず、みんなでわいわい遊んでいた子どもの時代が懐かしく思い出されます。これも年をとった証拠でしょうね。