カネボウ「美白化粧品」の被害者１万人・・・

　「美白効果」をうたったカネボウ化粧品を使って、肌がまだらに白くなるなどの症状が出た問題は、会社側に症状が出たと連絡してきた人は今月４日時点で１万人を超えているという。問題の商品は、メラニンの生成を抑える効果があるとされる「ロドデノール」を配合した薬用化粧品で、詳しい原因は不明のままで、治るかどうかも分からないという。
　カネボウは、２０１１年から肌の異常を訴える相談が利用者から寄せられていたにもかかわらず、今年５月に皮膚科医の通報を受けるまで自社製品によるトラブルと捉えていなかったという。報道によれば、これまでも窓口担当者は発症を報告していた人たちに対して皮膚科での診察を勧めていたそうで、会社側から医院を紹介していたという。が、会社から紹介を受けた医院の医師も、薬事法上の承認を得ている医薬部外品の化粧品の成分に問題ありとする意見を出すのは、普通の医師でも困難だろうという。
　昔から「色の白いは七難隠す（色白の女性は顔かたちに多少の欠点があっても、それを補って美しく見えるということ）」といわれが、ババだって若い頃は色白になって、七難どころか十難を隠したいと切に願ったものである。が、そもそも黄色人種である日本人の肌が白くなるわけがないのに、まさか「美白ブーム」なんて世がやってくるとは想像もしなかった。 

　もう４０年ほど前のことだが、友人に女性でもうらやむほどの色白の男性がいた。人の話だが、先天的なメラニンの欠乏によるものらしい。瞳の色もちょっと茶色っぽくて、最初は白人との混血かと思ったほどである。白くてもまだらではなかったからよかったものの、小さい頃は、その病的な白さのために辛い思いをしたこともあったらしい。
　かのマイケル・ジャクソンも肌の色で悩んだらしい。なぜ肌の色が白くなったのか、彼は白人になりたくて、金に飽かして人為的に肌の色を変えたのかと思っていたが、そうではなかった。肌が白くなったのは尋常性白斑、全身性エリテマトーデスという病気で、まだらになってしまう肌の色を均一にしなければならず、まだらの肌をメークで隠していたという。体の不調もあり色々な薬に頼った挙句、命を縮めたということだろう。
　先天的な肌の異常や、病気が原因の肌で悩む人もいれば、見た目のために白くなりたいとお金を掛ける人がいる。それがこの結果である。気の毒ではあるが、自然の摂理に逆らえば取り返しのつかないことになるという教訓としたい。 

　昨夜のＮＨＫニュースで被害者の写真を見て、余りのひどさに目を背けたくなった。
　　
　しかし、一度や二度の使用でこれほどひどい症状が出るはずもなく、なぜ、こうなるまで使い続けたのだろうかという疑問も生れる。おそらく一流メーカーの商品だから全幅の信頼を寄せていたのだろうが、こうなると、一流メーカーだからといっても絶対信用できるとは限らないということになる。企業は安全な商品を提供する義務と責任があり、信用で成り立っていることを心すべきである。

　昨今は通販で、化粧品やダイエット・健康維持のためのサプリメントを定期的に購入する人が多いそうである。が、テレビのＣＭを見ていると眉につばをつけたくなるような商品がたくさんある。私は化粧品やサプリメントを買うときは、製造と販売元が同じで、ある程度知名度のあるメーカーの商品でなければ買わないことにしている。それでもカネボウのような事例もあるから、よくよく注意が必要である。
　１年ほど前のことだが、ある一流メーカーのダイエットサプリメント１０日分の試供品を注文したことがある。配達されたその日の夕方から飲み始めたが、翌早朝にひどい腹痛が起きてトイレに駆け込んだ。注意書きには、「まれに便がゆるくなる人もある」とは書かれていたが、脂汗が流れるほど苦しくて気を失いかけたほどだった。
　他に原因があるとは考えられないので、９時になってすぐにメーカーの相談口へ電話して状態を説明した。これまでにこういう例があったかどうか尋ねると、そういう事例は一件もないという。そして、申し訳ないが、代金は結構、着払いで商品を送り返してほしいというのでそのようにした。
　その後ネットで検索してみたら、私と同じような状態になったという書き込みが２件見つかった。サプリメントといえでも、薬と同じで、体質的に合う人と合わない人がいるということである。だが、こうして一度口にして異常が現れるものはすぐに止められるが、化粧品のようにある程度の期間使用し続けなければ効果が現れないものは、どうやって安全性を確かめればいいのだろう。