今日は社宅の空調の整備があり、昼過ぎまで台所にこもり、本を3冊持ち込んでいました。こういうのも久しぶりだなあ。担当のお兄さんたちがしっかりと交換してくれました。さすがプロです。
ところで昨晩聴きに行ったトリオは、『4大ピアノ・トリオを聴く』という企画の後半、第2夜でした。4大ピアノ・トリオというものがあることも今回初めて知りました。第1夜には、ベートーヴェンの「大公」ととメンデルスゾーンの二短調、そして今回聴いたのは、後半の第2夜、以下の熱きスラヴ系の曲でした。
ドヴォルジャーク:ピアノ・トリオ第4番 ホ短調 op.90
チャイコフスキー:ピアノ・トリオ イ短調 op.50 「偉大な芸術家の思い出」
アンコール
ドヴォルジャーク:ピアノ・トリオ第4番 ホ短調 op.90より第5楽章
演奏は堤 剛氏(チェロ)というベテランと、佐藤俊介氏(ヴァイオリン)、河村尚子さん(ピアノ)という若手。3人とも名前の通った実力派とのことで楽しみにしていました。
ドヴォルザークのピアノトリオは初めて聴く曲。はじめは音がホールになじんでないような気もし、硬いような気がしたのですが、だんだん入ってくるようになりました。かっちりとした形式はなく、ゆったりとした部分と快活な部分とが組み合わさったような感じでした。その流れに乗るのがちょっと私には難しかったです。(ちょっと疲れていたのもありました、すみません)しかしもっと私自身よきコンディションでしかもこの曲を聴いてなじんでいたら違っていたと思います。しかし第5楽章、第6楽章になると華やかになり分かりやすくなりました。みなさんの芯の太い迫力のある演奏にひっぱられました。
後半のチャイコフスキーのピアノトリオイ短調「偉大な芸術家の思い出」は、3年ぐらい前に第1楽章を初めて聴き、感銘を受けた曲でもあります。この曲の全曲を、あの豪華メンバーが演奏するのだからぜひ行かなくては、と思いました。そして予想通り、いや、予想をはるかに超えた熱い出だし。ピアノの河村さんの存在感大きかったです。そこにはいりこんできた堤さんのチェロの見事なこと。さすがベテランの貫禄たっぷりといった感じでした。ヴァイオリンの佐藤さんも美しい旋律を豊かに歌っていました。感動的な部分でぐいと心をつかみました。
第2楽章は初めて聴きました。多種多様な変奏がでてきて、飽きることがまったくありませんでした。変奏が終わった後のピアノの悲しみのアルペジオの壮絶なこと。友であるニコライ・ルビンシテインの死を深く悲しんでいるのがダイレクトに伝わってきました。河村さん、この難所を堂々と風格を持って弾かれていました。素早いところもかっちりはめるだけではなく、音やフレーズの特徴もつかんでいて、訴える力もあってすごいなあと思いました。その後第1楽章のテーマが堤さんのチェロで再現されたのですが、悲痛な思いが音全体からダイレクトに伝わってきました。室内楽というよりも、あの線の太さは、オケに近かったような気がしました。
私のつたない思いなのですが、もっと近く、同じ高さのところで、演奏者たちの息遣いがじかに感じられるところで聴きたかったというのが心残りです(奏者の方たちに対しては本当にどうしようもなく図々しい思いなのですが)ちゃんとしたホールでしかもかなり後ろのほうの席だったので、ちょっと遠かったし、音が耳になじむのに時間がかかったように思えたのがちょっと残念。私が室内楽にあまり慣れていなかったからというのもあるのですが。それでもプロの貴重な演奏を聴けて良かったです。また室内楽のコンサートに足を運びたいです。そして河村さんのピアノも、さらに聴きたくなりました。