ゴッホの作品といえば、思い浮かぶのが「自画像」、「ひまわり」、「夜のカフェテラス」、「スタリー・ナイト」、「アルルの寝室」等で、筆遣いや色使いに大きな特徴がみられる。しかし無名画家の作品と判断されていた絵がエックス線による筆遣いの調査により新たにゴッホの作品と確認され、話題になっている。
無名画家の作品と判断されていた絵画、ゴッホの作品と確認(FNNニュース)
この絵はオランダのオッテルロにある、ゴッホの絵で有名なクレラー・ミュラー美術館にある、「Still life with roses and field flowers (バラと野花の静物画)」だとのこと。しかもこの絵の下には、全く違う絵である、二人の裸のレスラーの絵が存在していた!このレスリングの絵もかなり強烈だ。私たちは一度に二枚のゴッホの絵を知ることになったのですね!!
それにしてもそれまで、なぜこのような誤解が生じていたのだろう。私の推測だが、表に出ている「バラと野花の静物画」の色遣いは、あまりゴッホの絵には見られない色遣いに思えた。青や黄色と白の花が含まれていてちょっぴりアクセントがみられるものの、鮮やかな赤や華やかなピンクの花はあまり彼の絵には見られなかったような気がする。そしてこのような絵が多かったのは、17~18世紀のオランダ。ハプスブルク家の栄えたフェルメールの時代だ。当時は花瓶に入った美しい花の絵がたくさん描かれていた。こんな絵とかこんな絵とか。。。
この「バラと野花の静物画」もうっかりしたら当時の絵だと思えてしまいそうだ。実物をしっかりと見たらかなり違うのだろうけど。ゴッホは「バラと野花の静物画」でも実験的なことを行ったと言われているようだが、同郷の先輩たちの絵からも少なからず影響を受けていたのでは、という気がしてきた。
そしてなぜゴッホは二人のレスラーの絵の上に、バラと野花の静物画を描いたのか、というのも気になることだ。レスラーの絵は自分でも気に入っていると、弟のテオに手紙まで出していたのだ。あえて別の絵を上に書くことはなかったろうにとも思う。キャンバスがなかったのだろうか、それとも、彼の実験だろうか。彼は二人のレスラーの絵が後世になって発見されることを想像していただろうか。興味の尽きない話だ。