新しい患者さんをお迎えして、お口の中を拝見する時に、愕然とさせられることがある。
それは、これは高額な自費の治療をされている、と認められるにもかかわらず、信じ難いような惨憺たる結果になっているのを見せ付けられる時だ。
白いセラミックの歯が間違いなく入っている、高額なインプラントが入っている。
しかし、それを支えている骨、歯茎の状態が惨状を呈しているのだ。
信じられない。
絶句するしかない。
そして、入り色とお話を聴かせていただくと、必ず一つの法則にぶつかることに気が付く。
それは、患者さん教育、患者さんの歯、口腔内に対する意識、知識がちゃんと為されていない、と言うことだ。
これだけのお金を歯科医院に払い、高額な治療を受けさせられているにもかかわらず、患者さん自身がその治療のことを全然理解していないし、何故そのようになったのかすら患者さんご自身が良く分かってない。
ここに大きな問題がある、と私は感じる。
中には、何をしているのか知らないが、毎年毎年何十万~二百万と言う金額を口腔内に使っていると自慢げに語る方もいる。
それで、この口の中の状態?と私は絶句してしまう。
私は、歯科医になってお師匠様の所に勤めて、30年40年お口を守られて来た患者さんを見て来た。
治療の一番最初に使ったお金は自費だからそれなりに使っていた。
でも、その後は、時々補修のような治療が入るが、そんな毎年毎年大きな金額を必要とされることはまずない。
そのことを、お師匠様は、本当に腕の良い歯医者がチャンと治して、患者さんが真面目に定期検診で来てくれれば、その後はそんなに治療はない。
だから、腕の良い歯医者は、全然儲からない、何かモノを売り続けられる商売の方がお金儲けをするなら良い、と。
何をしたら、毎年毎年そんなにお金が要るのだろう?
私も、インプラントとかの治療を本格的に全顎的にした患者さんでは何百万のお金をいただいたことはある。
でも、その後10年20年、何ごともなく過ぎるので、ああお師匠様の言っていたことって本当だな、と思っている。
なのに、この方は裕福な方なんだろうな、人柄も良いんだろうな、と言うお口の中が、散々な状態なのを見せられると、本当に良い歯医者ってなんなんだ、と感じてしまう。
いや、正直に書いてしまおう。
この人は、口の上手い適当な歯医者の金づるにさせられている、としか感じられない歯科医療がこの世界に存在しているのだ。
聴くと、その医院には、有名人が多く来ていると言う、芸能人もいるとか。
もしかしたら、昔、創業者の先生は立派な方で、しっかりとした歯科医療を提供していたのだろう。
でも、その水準が年月を重ねるに従って落ちてるのではないだろうか?
私は、人も良くないし、変人と言われる歯科医だが、お師匠様の名を汚す仕事だけはしたくない、と思っている。
そして、かつてお師匠様に言われたこと、一回治せば、その後は何事もなくなるから、全然儲からないものだ、と言うのを本当だな、と感じている。
皮肉で書くが、毎年毎年患者さんから多額のお金をいただくような治療をするような、しなければならないような腕ではない。
腕の良い歯医者が、納得の行く仕事をして、患者さんも誠実に頑張るなら、それがごく普通だ。
このことは声を大きくして明言して置く。
もし、あなたが裕福で、毎年毎年多額のお金を歯科医に払っているようなら、それは考え直した方が良い。
私は、金づるにされてるんじゃないか?と。
残念だが、現実にそのような新患の患者さん毎月見せ付けられて、この業界の問題点を見せ付けられるように感じている。
白い綺麗に見える歯を入れるだけが名医ではない。
インプラント入れられるだけが名医ではない。
長く綺麗で良い状態を保てる治療をしてくれる歯医者が良い歯医者だ。
そして、患者さん教育に熱心で、治療後患者さんが歯で困らないようにしてくれるのが良い歯医者だ。
その歯医者が本物かどうかは、10年単位で見て行かないと判断出来ない。
全ての資料、検査データを揃え、チャンとカルテ保存もしていて、患者さんのことを追い続けるのが良い歯医者だ。(因みに法的にはカルテ保存期間は7年程度しかない。がお師匠様は40年束ねておられた)
余りにも、性根が腐っているんじゃないか、と思わされる口腔を見せ付けられて、今日この告発ブログを書くに到った。
その心情を理解いただきたい・・・